イラン 長期的な展望

2026/04/19
更新: 2026/04/19

イラン戦争の先行きについては、今や政治的な思惑が絡み合い、アメリカ左派による偏った見方が強まっている。そのため、国民は真実が見えにくくなって疲れ果て、ただ事態の終結を願うばかりとなっている。しかし実のところ、状況は極めて流動的であり、正確な予測は不可能だ。それでも、最終的な結果がアメリカにとって非常に有利なものになり、戦前の現状(ステイタス・クオ)よりもはるかに良いものになると信じるに足る理由は十分にある。

ホルムズ海峡

トランプ大統領が、米国はまず封鎖を行い、その後に海峡を再開して通航を管理するという最新の発表を行うまで、海峡を通過する船はわずかであった。そのほとんどがイラン寄りか、米国に敵対的、あるいは中立的な船舶であった。

その結果、海峡の混乱ぶりは、イラン・イラク戦争時の「タンカー戦争」や、2018年から2019年にかけての執拗な船舶妨害時をも上回る、かつてないほど深刻な事態に陥った。では、現状はどうなっているのか。

トランプ氏が迅速に海峡の安全を確保し、船舶の通航量を戦前の6割から7割程度まで回復させたとする。その上で、全面戦争を避けつつも、イランの再挑発には徹底的な報復で応じる姿勢を貫けば、原油価格は1〜2ヶ月以内に下落に転じるだろう。

この戦争におけるアメリカの課題は軍事ではなく政治にある。今回、米国はファルージャで海兵隊に市街戦を強いたり、ヘルマンド州の村々を掃討させたりはしていない。そうした戦闘は数百人の死傷者を出し、ジハード主義者やテロリストに有利な状況を生むからだ。

現政権が武力行使をあえて抑えている理由は、ただ一つ。戦争が米国経済や原油価格に与える悪影響、そして中間選挙を控えた共和党議員たちの当落を懸念しているからに他ならない。

軍事的に、米国には選択肢がある。海軍は掃海を続け、米軍および同盟国の軍艦によるパトロールを交代で実施し、同盟国や中立国の船舶の通航を許可する一方でイラン行きの船舶を阻止できる。そしてイランが通航を妨害しようとするたびに、海岸線のミサイルやドローンを排除することを含め、定期的にイランを攻撃すればよい。

つまり、トランプ氏はイランがこれまで行ってきた「恣意的な通航制限」という戦略を、そのまま相手に突き返すことができる。両者の決定的な差は、トランプ氏にはそれを完遂する圧倒的な軍事力があるが、イランにはないという点だ。経済安定を望む世界世論も、今回は米国を支持するだろう。もしイランが抵抗すれば、それは自ら停戦を破ったと見なされ、米軍による容赦ない報復爆撃を正当化する口実を与えることになる。

あるいは、イランが地域内の米軍や同盟国に対してミサイルやドローン攻撃を再開すれば、米政権はイランに対し、攻撃を止めるまでカーグ島の石油施設や民生・軍事兼用の発電所を失うことになると警告できる。

長期的に見れば、イランによる3度目の、そして最も悪質な海峡乗っ取りの試みは、たとえそれが完全かつ持続的な成功を収めなかったとしても、人々の記憶に刻まれるだろう。

湾岸の輸出諸国は、ホルムズ海峡を回避する紅海やオマーン湾へのパイプラインを倍増させるだろう。サウジアラビアなどは、ヨルダン経由でイスラエルのハイファ(地中海)に至るルートなど、さらなる経路を模索するはずだ。

結局、イランには稼働しない資産(あるいは負債)だけが残る。なぜなら、米国はパトロールされた海峡を通じてカーグ島から石油が流れないようにすることができ、西側諸国はやがて海峡そのものを無意味なものにするからだ。輸入国は静かにベネズエラ、米国、そしておそらく近いうちに制裁が解除されるロシアからの増産へとシフトし始めるだろう。イランが中東の11のイスラム諸国を攻撃した事実は、地域の人々に忘れられることはない。多くの湾岸諸国は、自国の安全のためにイランの再軍備を封じ込めるよう、イスラエルと米国に求め続けるだろう。同時に、イランという狂信的な後ろ盾を持つハマスへの資金提供も、賢明な湾岸諸国であれば今後は完全に遮断するに違いない。

レジーム・チェンジ(体制転換)

イランは、47年間に及ぶ数十億ドルの兵器投資と軍事産業複合体の大部分を失った。再軍備は体制にとって多大なコストとなり、食料や燃料が不足している不満を抱えた民衆にとって、その莫大な支出は不評を買うだろう。

国の指導者が誰であれ、軍事兵器庫を再建し、アラブのテロリストに対する数十億ドルの支援を再開するのは困難だ。実際、イランの補助金を受けている代理勢力――ヒズボラ、ハマス、フーシ派――は孤児となり、イラン国民から蔑まれ、かつての湾岸のスポンサーたちからはさらに嫌われることになるかもしれない。

「イランの軍事力は難攻不落である」という奇妙な神話は打ち砕かれた。そのメンツの失墜は、国内および海外ですぐに結果をもたらすだろう。イランのムッラー(聖職者)たちが主張してきた唯一のナショナリズム的論理、すなわち「半世紀と5千億ドルをかけた軍備増強が中東を震撼させ、西側を恐怖させ、イランに世界的な信用を与えた」という主張が決壊したことに、イラン国民はさらなる怒りを募らせるだろう。

強大な武力で世界に睨みをきかせる独裁体制なら、恐怖による統治も成立するだろう。しかし、完敗して威信を失い、無力さを晒した無能な道化師たちに支配されるとなれば、話は別だ。民衆の間に渦巻くのは、恐怖ではなく軽蔑である。

ベルリンの壁が崩壊した際、東欧の人々が共産主義の抑圧者を打倒するのに数週間、時には数ヶ月を要した。壁が崩壊した全影響が波及し、ソ連が解体されるまでには2年以上かかった。その基準に照らせば、終戦からわずか数日で体制転換が起きると期待すべきではない。

西側諸国は、現在誰がイランを動かしているのか、彼らが誰を、あるいは何を代表しているのかについて、ほとんど実態を把握していない。わかっているのは、二流、三流の神権政治家、軍人、政治屋、そしてイスラム革命防衛隊の凶漢たちが権力を争っているということだけだ。それぞれの幹部たちは、自分が融和的すぎると見なされて強硬派から攻撃されるか、あるいはライバルが寝返ってイラン国民と取引し、絞首刑を免れるための暫定的な人物として振る舞うのではないかと恐れている。最悪の連中は、再開された戦闘でドローンやミサイルに殺されなければ、体制崩壊時にイラン国民によって殺されるかもしれないと自覚している。

勝者と敗者

戦争の最終的な受益者と犠牲者は、今後3〜4週間で明らかになるだろう。それは、米国が現在の指導部を「交渉の価値がない相手」と結論づけ、攻撃が続くならさらなる武力行使で説得せねばならないと判断するかどうかにかかっている。

しかし、より広い視点で世界情勢を俯瞰すれば、かつての反西側勢力の結集は瓦解しつつある。ロシアの後ろ盾を失いかけたシリアのアサド政権、中国の属国も同然となったイラン、そしてその代理勢力であるヒズボラ、ハマス、フーシ派。彼らは今や、消滅の危機に瀕しているか、屈辱的な敗北によって孤立を深めるばかりだ。

ロシアが原油高で得た一時的な利益も、間もなく底をつくだろう。ウクライナ戦線は第一次大戦のソンムの戦いさながらの消耗戦と化しており、イランとの兵器供給ルートを以前の状態に戻すのは至難の業だ。プーチン氏に少しでも理性が残っているなら、早期にウクライナと折り合いをつけ、石油制裁の緩和を勝ち取った上で、猛烈な増産に転じるのが賢明なはずだ。

中国はベネズエラとの独占的な石油利権を失い、現在あるいは近い将来、イランとの同様の有利な契約も失う可能性がある。体制が崩壊すれば、北京はその後の暫定政府から嫌われることになるだろう。むしろ中国は、イランが米国を刺激してカーグ島を失わない限り、自国のタンカーを海峡に通過させるために米国と何らかの合意を結ぼうとするかもしれない。

米国の航空戦力の誇示と、21世紀の戦術および弾薬の進化する性質は、台湾に関しても中国を躊躇させるだろう。台湾からのスマート機雷、水上・水中ドローン、そして空飛ぶドローンとミサイルの嵐――これらに同様の装備を持つ同盟艦隊が加わるという光景は、中国にとって安心できるものではない。

中国が110マイルにおよぶ台湾海峡を越えて数十万の兵士を輸送しようとすれば、血の海に直面するだろう。1804年から1805年にかけてのフランスの絶頂期、ナポレオンでさえ、わずか26マイルのイギリス海峡を越えて兵士を運ぶという賭けに出ないだけの賢明さを持っていた。1940年後半、現在のEU全体を支配下に置いていたヒトラーも、イギリス海軍に海峡で挑まないだけの知恵があった。

要するに、北京はかつて恐れられたロシア軍がウクライナで死と無能の沼に嵌まっているのを見ている。対照的に、米国とイスラエルはわずか数日でイランの海軍、空軍、そしてミサイルとドローンの大部分を壊滅させた。明白な結論は、中国が台湾侵攻という賭けに出る可能性は低くなったということだ。

今回の事態で最大の敗者となったのは、西欧諸国である。かつてはアメリカと歩調を合わせていた主要同盟国のほぼすべてが、自らの無力さを露呈し、見るに堪えない醜態をさらす結果となった。イギリスの無能ぶりは凄まじい。イランの標的となったキプロスのアクロティリ基地を救援しようにも、数週間にわたって、そこまで派遣できる軍艦がただの一隻も稼働していないという有り様だった。

もし1982年にマーガレット・サッチャーが行ったフォークランドへの単独遠征艦隊に対し、米国がキア・スターマー(現英首相)のように対応していたら(つまり、イランの武装解除と核武装阻止のための米国の努力を冷遇したように対応していたら)、フォークランドはいまだにアルゼンチン領のままであろう。(今や、アルゼンチンとイギリスのどちらがより開かれた社会で、親米的な安定国家であるか、判別がつかないほどだ。かつては勝利したイギリスだが、現在の主力駆逐艦がただの一隻でも、遥か彼方のフォークランド諸島までたどり着けるのか、甚だ疑問である。)

フランスは威勢よく強気な発言を繰り返したが、実際には海峡に軍艦を派遣する気など毛頭ない。弱体化したヒズボラの支配から、かつての委任統治領であるレバノンを解放する手助けをする気も、彼らにはさらさらないのだ。代わりに、フランスが唯一熱心なのは、米軍によるフランス領空の通過を拒否することだけのようだ。

スペインはさらにひどかった。イスラエル大使館の格下げを行う一方でイラン大使館を再開するなど、時にイラン寄りであるかのように見えた。スペインは米国に対し、スペイン国内のNATO共同基地や領空は、米国の作戦に関しては無価値であるというメッセージを送った。これは同盟国としての義務を完全に放棄したに等しく、スペインは同盟国として無意味であり、敵対的な中立国という地位を選んだことになる。

NATOという名は残るかもしれないが、少なくとも近い将来、米国はスペインを疎外し、シチリア島の上陸権を拒否したメローニ首相のイタリアに対して冷淡になり、二枚舌を使ったドイツに対しては素っ気ない態度を取るだろう。そして、NATOは事実上、米国と東欧諸国との二国間同盟の集合体であると見なすようになるかもしれない。

いずれにせよ、次にフランスがアフリカでの絶望的な冒険のために兵站やインテリジェンスの支援を求めても、あるいはNATOの「志願連合」が、リビアの港や通信網を爆撃したりベオグラードの橋や電力網を破壊したりする「道徳的」十字軍を米国が先導するよう懇願しても、米国がそれに同意することは政治的に不可能だろう。イギリスに関しては、二度とフォークランドのような冒険が必要にならないことを祈るばかりだ。なぜなら、次は米国が微笑みながらスターマー首相の言葉を繰り返すだろうからだ。「これは我々の戦争ではない……我々は巻き込まれるつもりはない!」と。

左派メディアのネットワークは、イラク戦争の時よりもはるかに、ヒステリックというより正気ではなかった。復活祭後の月曜日、メディアはトランプ氏を「戦争を煽る犯罪者」と罵った。ところが翌晩には一転して、彼を「2026年に復活したチェンバレン」だと断じたのである。つまり、敵(イラン)に弱腰な姿勢を見せ、破滅的な戦争を招き寄せようとする「救いようのない平和主義者」、ナチスの台頭を許したイギリスの弱気な首相チェンバレンの再来だと批判した。独裁者に譲歩して事態を悪化させる「無能な指導者」というレッテルを貼ったのである。

中間選挙に関しては、伝統的に経済が鍵を握る。戦争が数ヶ月にわたって経済を損なった可能性は高いが、11月時点の状況がどうなっているかは誰にもわからない。もし2〜3週間以内に決着がつき、海峡が開放され、原油価格が下がり、イランが今後数年間にわたって無力化されれば、国民は国内外で良い時代が来ると感じるかもしれない。

欧州やアジアの民主主義諸国の多くは半世紀の間、イランを公然と疎外したり、中東でのテロを非難したりしない代わりに、海峡の自由通航とイランの代理勢力によるテロの免除を得るという、暗黙の了解を持っていた。そうした「過去の遺物」とも言える古い政策が、いまだに根強く残っている。そのため、米国よりも中東の石油への依存度が高いにもかかわらず、欧州やアジアの国々は、イランの攻撃能力を無力化するための軍事支援に加わるよりも、イランを刺激しない「暗黙の合意」を選んだ。自らの手を汚さず、巧妙に立ち回ることで海峡の安全を手に入れようとしていたが、その目論見は今や崩れ去っている。

米国は比較的容易に海峡を開放できる。戦術機やドローンを派遣して海岸をパトロールし、艦隊に上空援護を提供し、掃海を行い、船舶を護衛するという直接的な手段だ。ただし、イランが攻撃してきた場合はカーグ島の施設を破壊し、空爆キャンペーンを再開するという条件付きである。

トランプ氏はまだ、軍事行使を断行できる段階にはない。1月の中間選挙での議会奪取や、自身の弾劾、家族の裁判、そして「トランプ旋風」の終焉を狙う政敵たちのなりふり構わぬ攻撃を考えれば、今まさに進退をかけた大勝負の真っ最中だからだ。これらすべての危機を退けるには、安定した株価と低金利、そして歴史的な安値の原油に支えられた「目に見える好景気」を、今後7ヶ月以内に実現させなければならない。

また、アメリカ国民はイランにおける「勝利」を期待している。その定義は現在、イランが海峡を閉鎖できず、米国や同盟国の標的にミサイルを発射できず、「核兵器の原料となる核物質」を放棄することにある。イランの戦略は、アメリカの中間選挙を盾に取った「引き延ばし工作」だ。11月の中間選挙まで「時間稼ぎ」ができると踏んでいる。非難の応酬や実のない交渉を繰り返し、アメリカが手出しできない状況を維持しようと画策している。トランプ政権にとって、軍事的解決を選択できる好機は刻一刻と失われており、もはや一刻の猶予も許されない状況だ。

トランプ氏は、長期的にはイランに勝ち目はないと断じるだろう。サウジアラビアは紅海ルートのパイプラインを増強し、UAEもオマーン湾へ抜ける現行ルートを拡張している。さらにサウジがヨルダンを経由し、イスラエルの地中海港ハイファへ至る巨大な新ルートを建設するという構想まで浮上している。 これらの計画が実現すれば、ホルムズ海峡の戦略的価値は暴落し、イランのような輸出業者にとっては無用の長物となる。かつてイランが「武器」として振りかざした海峡封鎖の脅威は、今や自らの首を絞める「致命的な弱点」へと逆転するのだ。 

結局のところ、我々はメディアや左派の目まぐるしく変わる過剰反応に惑わされるべきではない。直視すべきは戦争の現実であり、その先に待ち受ける長期的な情勢の変化を見極めることである。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。