中国政府が、富裕層の海外資産への課税を本格的に始めた。
中国の財政当局は7月24日、富裕層が海外に預金や株、不動産などの資産を預けて管理する「オフショア信託」を新たに課税対象とすると発表し、即日施行した。
新制度では、2023年以降に設立したものにもさかのぼって課税する場合があり、対象者は90日以内に申告・納税しなければならない。期限を過ぎると、追徴課税などの対象となる。
背景には、中国経済の低迷による深刻な財政難があるとみられる。政府は近年、海外所得への課税強化に加え、民間企業への規制強化、金融当局の権限拡大、寺院への大規模な税務調査など、あの手この手で税収確保と資産管理を強化してきた。
こうした中、北京は民間企業家や富裕層の政治的影響力を弱める一方、資産への監視や管理を年々強め、多くの著名な経営者を摘発してきた。そのため中国では、富豪ランキングが「屠殺リスト(殺豬榜)」と皮肉られるほどになっている。
中国問題に詳しい評論家の王赫氏は、今回の海外信託への課税もその流れの一つだと分析する。狙いは税収を増やすだけでなく、富裕層が海外に持つ資産や資金の流れを把握し、海外への資産流出を防ぐことにあるという。
今回の新制度で特に影響を受けるのは、IT企業や不動産会社の創業者、海外へ移住した富裕層、大手民間企業の経営者などとみられる。王氏は、財政難が続く限り、企業家や富裕層への監視や締め付けは今後さらに強まる可能性が高いとみている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。