世界最速で高齢化する中国EV市場 中古買取拒否とバッテリー問題の行方

2026/09/14
更新: 2026/09/14

中国製のEVは、中国だけでなく海外市場でもシェアを伸ばしている。一方、車両の老朽化に伴う問題も表面化し始めた。中国では、車齢5年を超えたEVの買い取りを拒む中古車販売業者も多く、特にバッテリーの劣化が大きな懸念となっている。

国際テクノロジーメディア、Rest of Worldは今週、「あなたのEVは価値を保てる? 中国から悪い知らせ」と題する特集記事を掲載した。アラブ首長国連邦(UAE)の自動車コンサルタント、ハーシュ・チャトゥルヴェディ氏や、米自動車情報サイトiSeeCarsのアナリスト、カール・ブラウアー氏への取材を通じ、中国のEV市場が抱える問題を取り上げた。

中国は過去10年間、世界最大のEV市場であり続けてきた。現在、中国では約4400万台のEVが走っており、大量のEVが一斉に老朽化する局面に世界でいち早く入っている。

なかでも大きな問題となっているのが、EVで最も高価な部品の一つであるバッテリーだ。中古車市場では、その劣化度を正確に把握する手段が十分に整っていない。

国際エネルギー機関の「世界EV展望」によると、中国の中古車販売業者の約80%が、車齢5年を超えたEVの買い取りを拒んでいる。バッテリーの寿命や交換費用への懸念が主な理由だという。

中国自動車流通協会のデータによると、中国で車齢3年のEVは現在、新車価格の約45%で販売されている。2023年には約55%だった。

中国メーカーによるEVの海外輸出も急増している。報告によると、昨年の輸出台数は250万台を超え、前年の約2倍となった。最大の輸出先はヨーロッパで、東南アジアがこれに続く。現在、米欧を除く市場では、EV販売に占める中国車の割合が55%に達しているという。

ブラウアー氏によると、自動車関連機関や企業は通常、リースやローンの代表的な期間にあたる3年後、5年後の車両価値を算出する。しかし、EVは値下がりが速いという。

同氏は、EVは標準的な診断ポートを通じてバッテリーの状態を確認できるため、技術的には検査自体は難しくないと指摘する。

しかし、中国製EVでは、バッテリーマネジメントシステム(BMS)の通信規格の多くが高度に暗号化され、メーカー独自の閉鎖的な仕様となっている。このため、メーカー系列ではない一般の中古車販売業者が、バッテリーの劣化度や残存寿命について、正確性が保証された正式な診断結果を得ることは難しい。

こうしたバッテリー情報へのアクセスの難しさが、中古車業者がEVの買い取りを避ける大きな要因となっている。

UAEの自動車コンサルタント、チャトゥルヴェディ氏は、車齢が5年を超えると走行距離が増え、バッテリー保証の終了も近づくため、購入希望者の関心が大きく低下すると説明した。

「そのため、5年目は中古EV市場において、心理的にも商業的にも重要な節目になる」

同氏によると、自動車メーカーは通常、バッテリーに8年間または16万キロの保証を設けている。一方、バッテリーの交換には高額な費用がかかる場合がある。保証期間が終了した後にバッテリーが故障すれば、修理や交換の費用は所有者の負担となる。

中国EVメーカー蔚来汽車の李斌CEOは8月28日、中国SNSウェイボーへの投稿で、中国の自動車保有台数は現在3億7100万台に達し、このうちガソリン車などの内燃機関車が86.81%を占め、平均車齢は8.2年だと明らかにした。

一方、初期に普及した新エネルギー車は、相次いで保証期限を迎えつつあるという。

業界関係者によると、EVが保証期間を過ぎた後、バッテリーが大幅に劣化したり故障したりすれば、所有者が交換費用を自己負担する必要がある。

駆動用バッテリーの交換費用は数十万円から数百万円に上ることもあり、中古車としての車両価値を上回るケースもある。

バッテリーの老朽化は、廃棄問題にもつながっている。駆動用バッテリーは劣化が進み、走行に必要な性能を維持できなくなれば、廃棄処理が必要となる。

当局の情報によると、2030年には中国で年間に廃棄されるEV用バッテリーが100万トンを超える見通しだ。業界調査や一部メディアは、廃棄量が約350万トンに達する可能性もあると予測している。

課題は、こうした大量の使用済みバッテリーをどのように回収・処理するかだ。

中国では現在、安全な回収・処理体制が十分に整っていない。「世界および中国の駆動用バッテリーリサイクル業界報告書」によると、中国では小規模な業者が使用済みバッテリーを解体するケースもあり、安全面や環境面でのリスクが問題となっている。

任義