日本の電力設備サイバー認証 中国大手ゼロ 安保リスクが参入障壁に

2026/07/13
更新: 2026/07/13

政府はこのほど、電力設備に関するサイバーセキュリティ認証の審査結果を公表した。日本、アメリカ、韓国、ヨーロッパなどの約30社が審査を通過した一方、BYD、ファーウェイ、寧徳時代(CATL)など中国の主要企業は、いずれも認証リストに入らなかった。背景には、中国共産党(中共)の「国家情報法」への懸念があるとみられる。

経済産業省は、国家の電力インフラのサイバーセキュリティを強化するため、2027年度から、送電網に接続されるすべての設備について、「JC-STAR」のサイバーセキュリティ認証を取得しなければ市場投入できない方針を示している。

認証の対象には、大型蓄電所の電池管理システム、電力変換装置、太陽光発電システムで使われる電力変換設備などが含まれる。重要インフラへのサイバー攻撃や情報漏えいを防ぐことが目的だ。

「日本経済新聞」によると、6月30日までに政府は第1弾となる認証リストを公表し、日本のPowerX、米テスラ、韓国サムスン、ドイツSMAなど約30社が認証を取得した。一方、世界市場で大きなシェアを持つBYD、ファーウェイ、CTAL、陽光電源などは、1社も認証リストに入らなかった。

中国のある電池メーカー幹部は、今回の結果に強い不満を示した。これに対し経済産業省は、審査結果について、企業が提出した資料と政府が把握している情報を総合的に判断したものだとしている。

台湾南華大学国際事務・企業学科の孫国祥教授は、日本政府は表向きには製品やシステムの情報セキュリティを問題にしているが、実際に懸念しているのは、2017年に中共が施行した「国家情報法」による制度的リスクだと指摘する。同法は、すべての組織と国民に対し、中共の情報活動に協力することを求めているためだ。

孫氏は「この法律があるため、日本は中国企業が極端な状況下で北京の要求を拒否できるとは考えにくい。日本が本当に懸念しているのは、送電網が中国設備に大きく依存した場合、将来、台湾海峡、東シナ海、あるいは日米中間の緊張が高まった際に、これらの設備が単なる商業製品ではなく、戦略的な圧力手段になり得るという点だ」と述べた。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授も、同様の懸念を示している。

「BYDであれ、ファーウェイであれ、日本の基幹送電網に関与すれば、関連する情報やデータが中共側に渡るおそれがある。日本のエネルギー安全保障にとって深刻なリスクになり得るため、日本側が慎重になるのは当然だ」と語った。

一部では、中共の「国家情報法」は「近年の国際外交と経済拡張において、中共が制定した法律の中でも、最も大きな悪影響を及ぼした自滅的な法律だ」とする見方もある。

孫氏は、この表現は強いものの、相当の根拠があると指摘する。

「中国の『国家情報法』の最大の問題は、すべての中国企業が実際に海外で情報活動をしているということではない。問題は、外国政府がその可能性を排除できなくなる点にある。そのため、この法律はすでに、中国企業の海外展開にとって重大な制度的障害となっている。説明が難しく、信頼回復も容易ではないうえ、外国政府がリスクとして扱いやすい根拠にもなっている。今後、同様の対応を取る国は増える可能性が高い」と述べた。

謝氏も、「国家情報法」は中国企業の海外展開における重要な障害だとしたうえで、それが唯一の要因ではないと指摘する。

「たとえば中国の外貨規制、企業に対する統制、中国社会全体の環境、さらに中共内部の不透明性などがある。これらは『国家情報法』とは別に、中国企業の海外展開を妨げる制度的障害になっている」

注目されるのは、BYDが価格面での優位性を背景に、日本の大規模系統用蓄電所市場で、すでに約18%のシェアを占めている点である。

今回の認証結果は、海外の新エネルギー市場や蓄電市場への進出を積極的に進めてきた中国企業にとって、日本市場で新たな参入障壁が生じたことを意味する。

「日本経済新聞」は、一部の中国企業が合弁会社の設立や第三国での販売会社設置を通じて、中国色を薄めようとしていると報じている。

しかし、専門家の間では、その効果は限定的だとの見方が一般的だ。

孫氏は「こうした手法は、安全保障上の機微性が低い商品であれば一定の効果があるかもしれない。しかし、送電網、通信、クラウド、AI、ドローン、スマートカー、港湾、蓄電などの高リスク分野では効果は限られる。今後、各国の審査の焦点は中国ブランドかどうかではなく、中国による支配、中国技術、中国側に流れるデータ経路、中国法上の義務へと移っていく。中国企業が看板や販売経路を変えて海外展開しても、制度的リスクを本当に払拭することは難しい」と述べた。

謝氏も、企業が引き続き中共の支配下にあり、中国資本を背景にしていたり、中国資本と何らかの関係を持っていたりする限り、各国政府や取引先の疑念を解消することはできないと指摘する。国家安全保障に関わる分野では、今後も制限や禁止の対象となる可能性があるという。