不動産業界が揺れる中、国内有数のデベロッパーである万科企業(China Vanke)が、巨額赤字に陥り、事業の縮小を急いでいる。
同社が発表した2026年1~3月期の決算によると、赤字は59億5千万元(約1370億円)。売上高は前年より約24%減り、住宅の販売額も半分以下に落ち込んだ。
さらに2025年通年では885億6千万元(約2兆円)の赤字となり、2年間の累計赤字は1380億元(約3兆1700億円)を超えた。いずれも同社の過去最大の赤字であり、不動産市場の低迷が経営を直撃した形だ。
こうした中、万科企業は不動産以外の事業からの撤退を進めている。
その象徴が養豚事業だ。万科企業は4月29日、傘下の養豚会社の株式を32億9千万元(約760億円)で売却すると発表し、この分野から完全に手を引く方針を示した。
同社は「養殖事業は資金負担が大きく、現在の財務状況では維持が難しい」と説明している。
万科企業は2018年ごろから養豚事業に参入し、2021年には経営権を握るなど本格的に投資していた。当時は不動産企業が新たな収益源を求め、農業など異業種に進出する動きが広がっていた。
しかし現在は状況が一変している。
中国では住宅市場の低迷が続き、不動産企業の資金繰りは急速に悪化している。加えて養豚業界でも、豚肉価格の下落が続き、売値が飼料代や人件費などの飼育コストを下回る状況が起きている。
このため、豚を出荷するたびに赤字になるケースもあり、1頭あたり400元(約9200円)の損失が出る例も報告されている。
万科企業はすでにスキー場など観光事業も売却しており、資産を現金化して資金確保を急いでいる。
中国不動産業界は、すでに拡大どころか、生き残りのために事業を削る段階に入っている。万科企業の養豚事業撤退は、その象徴的な動きといえる。中国メディアも、今回の撤退について「企業が自らを救うための現実的な選択」であり、不動産業界全体が拡大から縮小へ向かう変化を映していると報じざるを得ないほど、業界の厳しさは隠せなくなっている。
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