トム・コットン米上院議員(共和党、アーカンソー州選出)は、中国で製造されたインターネット接続型医療機器に対する米連邦政府の調査を求めている。同議員は、安全性が脅かされた機器によって、アメリカ人が悪意ある外国の主体によるサイバーセキュリティの脅威にさらされる恐れがあると警告した。
上院情報問題特別委員会の委員長を務めるコットン議員は、5月26日付の書簡を、米食品医薬品局(FDA)のカイル・ディアマンタス長官代行と、サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)のニック・アンダーセン長官代行に送付した。
コットン議員は「安全性が脅かされた中国製医療機器にアメリカの患者がさらされることは、国家安全保障と公衆衛生の両方に対するリスクとなる」と記している。
データ流出と患者へのリスク
コットン議員によると、外国の主体がこれらの安全性を脅かされた機器からデータを抽出することにより、「アメリカの患者を標的にした個人情報の盗用(なりすまし犯罪)、保険詐欺、恐喝、そしてより巧妙な特殊詐欺」につながる可能性があるという。
同議員は、2025年にFDAとCISAが、中国に拠点を置くコンテック・メディカル・システムズ(Contec Medical Systems)社製の患者モニターのモデル「CMS8000」に関連するサイバーセキュリティの脆弱性を特定したと指摘した。このモニターは、個人特定可能情報を含む患者データを収集する可能性があり、権限のないユーザーによって遠隔操作される恐れがあった。
コットン議員は「これにより、悪意ある中国の主体がデバイスの動作やデータの表示方法を直接操作する機会を得ることになり、心不全、不整脈、高血圧の危険な誤診につながる可能性があった」と記している。
規制の隙間
FDAは2025年5月に「CMS8000」モニターに対してクラスIIのリコールを発令した。
FDAは2023年3月以降、承認を求める新しい医療機器に対してより厳格なサイバーセキュリティ基準を満たすよう義務付けているが、この規則が施行される前に承認された古い機器は、同等のレベルのサイバーセキュリティ審査の対象となっていない。
その結果、コットン議員は「安全性が脅かされた医療機器からアメリカ人を保護するために、さらなる対策を講じる必要がある」と述べた。
同議員はFDAとCISAに対し、2023年3月29日より前に承認された中国製の医療機器を再審査するよう求めている。
「アメリカ人のプライバシーを保護し、健康データが敵対国のサイバー犯罪者からアクセスできないようにすることは極めて重要である」とコットン議員は述べた。
フロリダ州のジェームズ・ウスマイヤー司法長官も、コンテック社のモニターに関する懸念に対処するため、法的措置を講じている。同司法長官は2025年6月、潜在的なサイバーセキュリティリスクおよびフロリダ州の「欺瞞的・不公正取引慣行法」への違反容疑をめぐり、コンテック・メディカル・システムズ社と、自社ブランド名でコンテック社製モニターを販売していたマイアミ拠点の企業エプシメッド(Epsimed)社に対し、召喚状を発付した。
ウスマイヤー司法長官は当時の声明で、「患者データを記録する医療機器は安全でなければならず、中国共産党が管理する組織にデータを送信すべきではない。アメリカ人の機微な個人データを敵から守ることは最優先事項であり、私のオフィスはこの欺瞞の真相を究明する」と述べた。
他の重要インフラへの取り組み
これとは別に、米国の農業および食品という重要インフラ分野に対するサイバーセキュリティの脅威に対処するため、コットン議員とエリッサ・スロットキン上院議員(民主党、ミシガン州選出)は、2025年2月に「農業・食品サイバーセキュリティ法案」を再提出した。
この法案が成立すれば、農務長官、国土安全保障長官、保健福祉長官、および国家情報長官に対し、食料関連のサイバー緊急事態に備えるための年次危機シミュレーションの実施を義務付けることになる。
また、農務長官は2年ごとにリスク評価を実施して農業・食品分野における脆弱性を特定し、その結果を議会に提出することも義務付けられる。
コットン議員は当時、「米国の敵対国は、農業のような重要産業を標的にすることを含め、我々に対してあらゆる優位性を得ようとしている。議会は農務省と連携し、これらのサイバーセキュリティの脆弱性を特定し、排除しなければならない」と述べた。
2025年5月、コットン議員とルーベン・ガレゴ上院議員(民主党、アリゾナ州選出)は「水サイバーセキュリティ強化法案」を提出した。この法案は、地域水道システムに対し、サイバー攻撃への対応に関する訓練を支援するための技術支援や助成金調達の提供を一部盛り込んでいる。
コットン議員は当時の声明で、この超党派の法案が、不可欠なサービスを保護し、地方の水道事業体がより強力なサイバー防御を構築することを支援する米国の「能力を強化するものになる」と述べた。
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