中国共産党外相王毅が全人代会見で米国の「拳は硬い」と認め、イラン支援失敗を暴露。台湾触れず日中でも軟化か。米中対立の行方は?
米国がイランのハメネイ師を殺害した後、中国共産党(中共)の王毅外相は、ごく限られた少数の国の外相と連絡を取り、口頭で抗議を行ったが、自身にはイランを救う力がないことを露呈したのである。3月8日、王毅は中共全人代の記者会見で、米国の「拳は硬い」ことを公然と認める発言も行った。米中関係について語る際、王毅は口調を和らげ、台湾問題に触れることすらできなかった。日中関係について語る際にも、王毅は高市早苗氏に対し、これまでの発言を撤回するよう改めて求めることはしなかった。どうやら「拳」が中共には最もよく効くようである。
米国の「拳は硬い」王毅の本音
3月8日、王毅は中共全人代の記者会見で最初の質問として、米国とイスラエルによるイラン攻撃について問われた。王毅は「停火と戦闘停止」を望むと主張したが、自らには何もする力がないことを十分承知しており、「拳が硬いことは、理が硬いことと同じではない……やたらに武力を行使することは、自らの強大さを証明するものではない」と、やりきれない思いを込めて述べたのである。
米国とイスラエルのイラン空爆は1週間以上続いており、イラン政権が降伏するまで攻撃を続けると明言している。中共にはこれを阻止する力はなく、王毅は表向きには米国の「強大さ」を認めたくないかのように振る舞いながらも、実際には米国の「強大さ」を認め、米国の「拳は硬い」と公然と認めた格好になった。
王毅はさらに、「大国は建設的な役割を発揮し、善意をもって実力を行使すべきだ」とも述べたが、これは米国が真の「大国」としての「実力」を持っていることを認めたに等しい。中共も「実力」を示そうとしているのかもしれないが、ベネズエラやイランの問題では続けざまに、その貧弱な「実力」と脆弱な外交が露呈している。
中共は「拳」を前にして弱腰に
2月28日、米国とイスラエルはイランを空爆し、白昼にハメネイ師と数十人の高官を殺害した。中共はすっかりうろたえたのである。
3月1日、王毅はロシアのラブロフ外相と電話会談を行い、「高度の懸念」を表明し、強い焦燥感をにじませた。しかし、ラブロフロシア外相は、国連や上海協力機構などのプラットフォームを通じてシグナルを発し、停戦を呼びかけることはできると述べるにとどまった。
中共はロシアを巻き込み、イラン救済を試みたいと考えたはずだが、ロシアにはそれほど強い意欲はないようである。ロシア軍はウクライナ戦争に陥り、自らの身を守るのが精一杯だからである。
3月2日、王毅はイランのアラグチ外相と電話会談を行い、中共外交部は王毅が「要請に応じて」会談したと発表し、王毅が自ら積極的に会談を求めたわけではないことを印象づけようとした。イラン外相は中共に救いを求めたが、王毅はイラン情勢に対する「原則的立場」を表明しただけで、直接手を差し伸べる意図は示さなかった。自らにイランを救う力がないことを認識していたからである。
王毅はさらに、米国とイスラエルに対し、直ちに軍事行動を停止するようすでに「促した」と述べた。しかし王毅は今に至るまで、米国のルビオ国務長官と電話会談を行っておらず、そもそも話すことすらできない状況にあり、「米国に停戦を促す」というのは荒唐無稽な話である。
3月3日、中共外交部は、王毅が「要請に応じて」イスラエルのサル外相と電話会談を行ったと再び発表し、ここでも王毅が自ら積極的に通話を求めたわけではないことを印象づけようとした。中共が言うところの「イスラエルに停戦を促した」というのも、同様に成り立たない。イスラエルは中共をまったく意に介さず、イランへの攻撃を続けるだけでなく、同時にレバノンのヒズボラも攻撃し続けている。
中共のイラン支援力不足の実態
この二度の「要請に応じた」とされる通話は、むしろ中共にはイランを救う力がなく、救うつもりもないことを示しているように見える。
米国とイスラエルが2月28日に軍事行動を開始して以降、各国外相の間では毎日十数回もの頻繁なやり取りが行われている。だが中共は、3月1日から9日までの間、王毅がロシア、イラン、オマーン、フランス、イスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など、ごくわずかな国の外相と通話したとする声明を出したにとどまった。国際的な懸案において、中共の外交能力は今回もまた化けの皮がはがれた格好である。
3月4日、王毅はサウジアラビアのファイサル外相と電話会談を行い、ファイサル外相は自衛権を留保すると述べた。これを受けて王毅も、「無差別な武力行使はいずれも受け入れられず、罪のない民間人や非軍事目標へのいかなる攻撃も非難されるべきだ」と述べざるを得なかった。王毅はイランを名指しこそしていないが、これはイランを「非難」したに等しい。この通話は、実際のところ中共をきわめて気まずい立場に追い込んだのである。
米国の「拳は硬い」ことは、世界中がすでに認識している。そして、長年イラン政権から脅かされ、災いを被ってきた各国は、いまや米国に頼らなければ混乱の根源を一掃できないことを、いっそうはっきりと理解しつつある。しかし、このタイミングで米国の「拳は硬い」と率直に語ったのは、米国と敵対する中共であった。
中共が最も恐れるのはイランの後を追うこと
ハメネイ師が殺害された後、中共が最も気にかけたのは、イランを救うことではなく、同じことが自らの身に起こることを恐れることであったはずである。王毅は中共全人代の記者会見でイラン問題に言及した際、「カラー革命を画策し、政権転覆を図ることは民心を得ない」とも述べた。
これこそが中共が抱く最大の悩みである。バイデン氏在任中、中共は繰り返し、米政府に対し中共政権を転覆させないと約束するよう求めたが、最終的にバイデン・習近平会談でも明確な回答は得られなかった。トランプ氏が復帰すると、態度はきわめて強硬で、2025年10月末には習近平はトランプ氏に対し、対面で頭を下げ、譲歩を強いられた。
王毅が中共両会のさなかの記者会見で、米国の「拳は硬い」と認めたのは、中共が内心で恐怖におののくあまり、つい本音を漏らしたものである。中共トップは皆、殺害され、政権を打倒されることを恐れているのは言うまでもない。

中共はトランプ大統領訪中の波乱を恐れる
王毅は中共全人代の記者会見で米中関係について問われ、「米中は互いを変えることはできない」と述べた。これもまた、中共が恐怖に駆られた末の一方的な独り言にすぎない。中共にはトランプ大統領の戦略を変える力はなく、ひたすら対応に追われるしかない。だからこそ王毅は「平和共存のボトムラインを守る」と述べたのである。その含意は、米国に対してイランを攻撃したような「拳」を中共には向けないでほしい、ということである。
王毅はまた、「ハイレベルの往来の議程はすでに我々のテーブルに載っている。現在必要なのは、双方がそれに向けて周到な準備を行い、適切な環境を醸成し、存在する相違を管理し、不必要な妨害要因を排除することだ」とも述べた。
この言葉はかなり率直であり、中共がトランプ訪中前に思わぬ事態が起きるのを恐れていることを意味する。ホワイトハウスはすでに、トランプ大統領が3月31日から4月2日まで中国を訪問すると発表した。中共は綿密な準備を整えているはずで、これまでの譲歩を確認し、さらに新たな譲歩も行って、トランプ大統領が中共トップに面子を立てるよう図るであろう。
中共内部の激しい権力闘争はすでに公然化している。現任党首である習近平であれ、その他の派閥であれ、この時期に中共が脆弱な状態にあるところへトランプ大統領が致命的一撃を加えるのを恐れている。トランプ大統領がまだ友人だと言っている限り、習近平はおそらく新たな譲歩をしてでも、それを受け入れざるを得ないだろう。中共内部の他の派閥も、米国との関係を緩和する必要があることを理解しており、もはや強硬に対抗することはできないとわかっている。
こうした状況の下で、イラン問題は中共にとって「不必要な妨害要因」と見なされ、とりあえずは放棄せざるを得ないと判断されたようである。さもなければ、トランプ大統領がイラン問題を片付けた後、そのまま北京に軍を向ければ、次は中共指導部がこの硬い「拳」を味わう番になる。
王毅は「存在する相違をできる限り管理する」ため、米中関係についての質問に二度答えた際も、台湾に一切触れなかったうえ、「中国側の米国に対する態度は一貫して前向きだ」と述べた。
王毅が党メディアからの、台湾問題をあえて取り上げた質問に答えた時になって初めて、台湾を「レッドライン」だと述べたが、その際も米国には触れず、米国の対台湾武器売却にも言及しなかった。
日本へのトーンダウンと外交脆弱
王毅は中共全人代の記者会見で日中関係について問われた際、「台湾有事は日本の『存亡危機事態』にあたる」と述べた「日本の現職指導者」に言及した。王毅は一連の反日的な論調を続けながらも、高市早苗首相の名を挙げることはなく、高市氏に以前の発言を撤回するよう改めて求めることもなかった。
これは、中共が自らこれまでの強硬な立場から後退したことに等しく、おそらく中東情勢の変化とも関係している。中共が反日姿勢をエスカレートさせ続ければ、日本は軍事力を一段と強化し続けるだけであり、中共はさらに孤立を深める。一たび開戦となれば、中共政権はいっそう早く崩壊することになるだろう。
王毅がやむなく米国の「拳は硬い」ことを認め、米国や日本に対してさまざまな程度で態度を和らげたことは、中共外交の脆弱さを改めて露呈させるとともに、中共政権が今この瞬間、極度に脆い状態にあることを余すところなくさらけ出したのである。イランに続き、国際社会ではさらに大きなドラマが近く幕を開ける可能性がある。

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