今年から中国各地では、年金受給者が年金を継続受給する際に、関連部門に対して「生存証明」つまり「まだ本人は生きている」と証明することが求められている。
国外に住む年金受給者の場合、年金を継続受給するには、当該国の中国大使館や領事館による資格審査を受けなければならない。その際、海外で人権擁護活動や反共運動に参加したことがあれば、国内の年金を止められる可能性があるという。
米政府系のラジオ自由アジア(RFA)によると、この政策は今年初めから北京や山東省、河南省などで実施されている。
自分では動けない寝たきりの高齢者の場合は、当局がオンラインの動画通話などの方法により生存確認をする。しかし、その方法が使えない場合は、家族数人で老人を担いだり、荷車に乗せて関連部門の窓口まで運び、老人の「顔認識」を行うことが求められることもあるという。
そうしたことから、「なぜ関連部門が、老人の家に赴いて調査を行わないのか?」とする不満の声も上がっている。
カザフスタン人権組織の創設者であるサリクジャン・ビラシ(Serikzhan Bilash)氏は、RFAに対し「現在、カザフスタンに住む新疆ウイグル自治区出身の年金受給者は、地方によっては半年ごとに生きているかどうかを確認している。さもなければ年金が凍結される」と明かした。
また、新疆からカザフスタンに移住した後、国外で人権活動に参加したために年金受給資格を取り消されるケースもある。その一方で「中国政府に近い人、あるいは中国政府に近い華僑組織と何らかの関係をもつ人だけが年金をもらえている現状がある」とビラシ氏は訴える。
中国国内の様子について、河南省南陽市で教会の牧師をしている李さんは、「教会活動を行ったために、年金支給を止められる信者が多数いる」と明かした。南陽市では今年から、年金受給者の生存確認を毎年実施することになったという。
中国国営の新華社通信が以前に公表したデータによると、2022年末の時点で、中国の基礎年金の加入者数は10.5億人。このうち、実際に年金を受給している人は1.62億人だった。
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