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日中外相会談 対話外交の現状と限界

2025/03/24
更新: 2025/03/24

2025年3月22日、岩屋毅外務大臣と中国の王毅外交部長が日中韓外相会議出席を機に約60分間の会談を行った。会談では国際情勢の変動を背景に、両国が「戦略的互恵関係」を推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築する方向性で一致したという。しかし、具体的な成果や中国側の反応については不明瞭な部分があり、対話外交の実効性が問われる状況となっている。

会談内容のポイント

1. 戦略的互恵関係の推進

  両外相は日中関係を進展させるため、懸案を減らし協力を増やすことを確認した。岩屋外務大臣はハイレベルの往来を通じて懸案解決を進める重要性を強調し、国民の期待に応える関係構築を目指すと述べた。

2. 経済分野での協力

  6年ぶりの日中ハイレベル経済対話の開催に向け、両国民が利益を実感できる経済案件について議論することで一致。岩屋大臣は日本産水産物輸入規制撤廃を求め、グリーン経済や少子高齢化への対応など幅広い分野で互恵的協力を進める意向を示した。

3. 安全保障問題

  岩屋大臣は尖閣諸島や東シナ海情勢、中国軍の活動活発化への懸念を伝え、中国側に対応を求めた。また、与那国島南方EEZに設置されたブイの即時撤去も改めて要求。日中安保対話の早期開催で一致した。

4. 台湾問題と人権問題

  台湾海峡の平和と安定が国際社会にとって重要であることを強調し、中国による一方的な現状変更への反対を表明。さらに南シナ海、新疆ウイグル自治区、香港などに関する懸念も伝達した。

5. 邦人拘束問題

  岩屋大臣は「反スパイ法」の不透明性が日本人の渡航や企業活動に影響している点を指摘し、拘束された邦人の早期釈放と安全確保を求めた。

6. 北朝鮮問題

  核・ミサイル問題や拉致問題について意見交換し、地域情勢やグローバル課題に関する協議活性化で一致した。

中国側の反応

上述の通り、発表内容には中国側の具体的な要望や反応がほとんど記載されていない。 外務省発表では日本側からの要求や懸念伝達が中心となっている。60分間も会談が行われたとあるが、形式的な議論に終始した場合、発表内容からその詳細を省略した可能性もある。

対話外交路線への疑問

日本外務省は一貫して対話外交路線を維持しているものの、その実効性について疑問視する声もある。過去の日中外相会談では、懸案事項の解決につながる具体的成果が乏しい例が多く、今回も尖閣諸島問題や邦人拘束問題などで目立った進展は見られない。 日本側から懸案解決への要望が繰り返し伝えられているものの、中国側に実効的な対応を促す力には限界があるように見える。

 定期的な会談自体は重要だが、内容が形式的である場合、真の国家の利益にはつながらず。ただ時間だけが過ぎていくという結果が出続けているのではないだろうか。そうであれば、直ちにアクションを変更しなければならない。

今回の日中外相会談では、日本側から幅広い議題について要望や懸念が伝えられたものの、中国側の具体的反応や成果については不透明な部分が多い。外務省の発表内容を見る限り、日本政府は対話外交路線を堅持しているものの、その実効性には依然として課題が残る。今後、この路線によって具体的な成果が得られるかどうか注視する必要があるだろう。

大紀元エポックタイムズジャパン記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。