中国不動産市場が崩壊の危機に直面している。北京、上海、広州、深圳といった一線都市では物件価格が最大70%も暴落し、投げ売りが続出しているのだ。
苦境に陥った売主は「半額でも買い手がつかない」「利息すら返せない」と悲鳴を上げている。こうした事態に直面した上海当局は、3月25日、情報統制に乗り出した。
市のネット管理部門は「上海不動産市場崩壊」「暴落カウントダウン」といったタイトルで警鐘を鳴らした98のセルフメディアを「デマを流した」として一斉に禁言処分にして、さらに「違法・不良情報」として900件以上の投稿を削除したと言う。
一方で上海の官製メディアは「市場安定」を演出。しかし、多くの市民はこれに懐疑的だ。というのは、中国では当局が「デマ」と呼ぶ情報は、往々にして真実であるという前例が過去に無数にあったからだ。いくら情報が操作されていようと、この「矛盾」を、体全体で感じる市民も少なくないのだ。
「政府が火消しに走るほど、本当に状況が悪い」といった皮肉が、ネット上で拡散されている。
急落
上海では、不動産仲介業者が「市の中心部でも40〜70%の下落が発生している」と明かしており、200万元(約4200万円)だった3LDKがわずか30万元(約630万円)にまで値崩れしたケースが確認されていると言う。
北京では不動産価格が15〜60%下落し、投げ売り状態が続き、広州などでは最大60〜70%の下落が報告された。
大紀元は、中国の不動産バブル崩壊の兆候を繰り返し報じてきた。同紙は、2024年時点で地方都市に留まっていた価格下落が一線都市にも波及する恐れがあると警告した。今回の事態は、その懸念が現実になったことを示していた。
中国当局は、情報統制で事態を隠蔽しようと試みているが、市場の現実は隠せない。暴落はすでに広範囲に広がっており、いずれ政府のプロパガンダも限界を迎えるだろう。

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