中国政府は今月7日、新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を放棄した。感染拡大により病院は感染者の対応に追われている。中国系米国人の疫学者・丁亮(Eric Feigl-Ding)氏は、向こう3か月で中国人口の60%にあたる9億人が感染する可能性があり、死者は数百万人に達するとの推計を示した。
中国疾病予防コントロールセンター(CDC)の梁暁峰副主任も同様の推計を示している。羊城晩報によると、梁暁峰氏は18日に広東省で開かれた衛生セミナーで、コロナ感染率は60%程度に達し、最終的に80%から90%の人が感染する可能性があると述べた。
中国国家衛生保健委員会は20日、中国大陸全域で新たに2656例の感染と、5例の死亡が確認されたと発表した。
別の統計によると、3年前に湖北省武漢で新型コロナが流行して以来、中国のコロナ感染症による死亡例は現在5000程度だという。この信憑性に対して懐疑的な見方が広がっている。
北京では防疫対策の急転換に伴う混乱の中、多数の遺体が病院の地面に放置されたり、また火葬場への霊柩車の長蛇の列を捉えた動画などがネットに拡散されている。病院の霊安室も火葬場も多忙であることを物語っている。
北京市の葬儀社の職員は14日、「かつてないほどに忙しい。遺体を引き取れず自力で運んで来るしかない。火葬するまでに何日も待たなければならない」と明かした。
中国の清華大学では、11月10日から12月10日までのわずか1カ月間で18件もの訃報を発表した。
白紙革命、当局が口実に利用
在米時事評論家の秦鵬氏は、自身の動画チャンネルの番組で、北京のコロナ重症者の指定病院の副院長や北京市衛生当局の幹部らから非公開の情報を聞いたという北京の友人の話を取り上げた。
この北京市民は「政策を変更するずっと以前から北京ではすでにコントロールができない状況にあった。政府は抗議デモに屈したわけではなく、むしろデモを利用して逃げ道を見つけた」と語った。
また、北京の高齢者が相次いで亡くなっている原因について、「入院中の高齢者たちは厳しい感染対策により退院もできず、最終的に院内感染で亡くなるケースが多い。規制緩和前だったので、感染を公にできず、治療を施すこともできなかった」と指摘した。
中国外務省の毛寧報道官は20日の記者会見で過去3年間のゼロコロナ政策によってワクチンや治療薬の開発、国民のワクチン接種率向上のために貴重な時間を稼いだのは事実だ」と、政策の正当性を強調した。このうえで「最小の代価で最も良い結果を実現した」と自画自賛した。
(翻訳編集・李凌)
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