中国共産党によるカナダでの神韻への弾圧 「拒絶しなければ国家問題に」 法輪大法協会が国会議員に訴え

2026/05/30
更新: 2026/05/30

カナダにおける神韻(シェンユン)芸術団を標的にした中国共産党(中共)政権の「国境を越えた弾圧」に対し、直接的な対抗措置をとらなければ、外国の政権が大胆に芸術や信教の自由を抑圧するようになり、最終的にはすべてのカナダ人に不利益をもたらすことになる。カナダ法輪大法協会の代表団が下院委員会でこのように訴えた。

代表団は、下院カナダ文化遺産常任委員会の国会議員たちから、中共政権によるカナダ国内での妨害工作についての懸念が提起された際、質問に答える形でこの発言を行った。

5月28日の委員会で、保守党のガーネット・ジェニュイス下院議員は「私が見るに、私たちが議論しているのは、特定の芸術・文化公演を気に入らない外国政府が、それを組織的に標的にしているという問題である」と述べた。

同じく保守党のレイチェル・トーマス下院議員は、バンクーバーの中国総領事館の職員がバンクーバー市役所側と面会し、4月に予定されていた神韻の公演を中止するよう圧力をかけようとした証拠があると指摘した。また、オタワの国立芸術センター(NAC)が、神韻と20年近くにわたり公演を行ってきた実績があるにもかかわらず、2026年と2027年の劇場使用契約の締結を拒否したことにも言及した。

トーマス氏は「トロントでも爆破予告があり、警察は最終的にその脅迫に信憑性がないと判断したものの、結果として公演が中止に追い込まれたことも分かっている」と述べた。

ニューヨークを拠点とする神韻芸術団は、数十年にわたる共産党の統治下で衰退した中国の伝統文化を復興させることを使命として、2006年に一流の中国系アーティストたちによって設立された。神韻のアーティストの多くは、真・善・忍の原則に基づく精神修養法である法輪大法(法輪功とも呼ばれる)の学習者である。

法輪大法は1990年代初頭の中国で最も急速に成長した精神修養グループであり、政府の推計によると7千万人から1億人が実践していた。中共政権はこの仏家の修煉法の高まりを一党独裁体制への脅威と見なすようになり、1999年に法輪功の根絶を誓って迫害キャンペーンを開始した。

2026年4月、バンクーバーのクイーン・エリザベス劇場で行われた神韻芸術団の公演でカーテンコールに臨む出演者たち(The Epoch Times)

法輪大法協会のスポークスマンであるジョエル・チプカー氏は国会議員に対し、神韻は20年間にわたりカナダ全土の劇場を含む世界ツアーを行ってきたが、近年の中共は、習近平党首の直接の指示のもと、外交的圧力や根拠のない訴訟、世界中で約150件に及ぶ偽の爆破予告を通じて、公演を阻止するための世界的な妨害工作をエスカレートさせていると語った。

また、流出した中共政権の内部文書から、欧米のメディアやSNSを利用して神韻や法輪大法をおとしめる世論工作を展開していることも明らかになっていると付け加えた。

チプカー氏によると、中共が神韻を抑圧しようとする理由は、同芸術団が公演を通じて「共産主義以前の真の伝統的な中国文化の美しさ」を人々に伝え、現在の共産党統治下の中国で起きている人権問題に光を当てているからであるという。

同氏は「彼ら(中共)は、過去27年間にわたり自らが手を染めてきた人道に対する罪を隠蔽したがっている」と述べ、過去2年間だけで、神韻の開催劇場、国会議事堂、政治家を標的にした偽の爆破・殺害予告がカナダ国内で20件あったと補足した。

チプカー氏は、もし貿易のために中国の機嫌を取ろうとして、民主主義、言論の自由、信仰の自由、芸術的表現が「後回し」にされるならば、「私たちは国を失うことになる」と警告した。

さらに、現在は神韻が標的になっているかもしれないが、中国の民主化を支持したり共産主義を批判したりする音楽家、文筆家、パフォーマーなど、他のカナダ人芸術家も、中国共産党の動きを放置すれば将来的に同様の介入に直面する可能性があると付け加えた。

「断固たる非難」

ジェニュイス議員は、中国共産党による法輪大法の学習者や神韻公演への妨害を挙げ、同委員会がカナダ国内における中国共産党の介入に対して「断固たる非難」を表明する報告書を下院に提出するよう求める動議を提出した。この動議はまた、「外国からの脅迫からカナダ人を保護し、基本的人権を守ることの重要性」を再確認するものである。

保守党議員ガーネット・ジェニュイスは、2026年5月5日、オタワのパーラメント・ヒルで世界法輪大法の日を祝った(Jonathan Ren/The Epoch Times)

ジェニュイス氏は、今年カナダで中共が神韻の公演を標的にした事例をいくつか挙げた。

連邦政府の王立公社であるオタワの国立芸術センター(NAC)は、これまで18年間にわたり神韻の公演を受け入れてきたが、商業的な理由を挙げて2026年と2027年の公演の受け入れを拒否する決定を下した。

2023年2月から2025年4月までのNACの電子メールを含む情報公開(ATIP)記録によると、オタワの中国大使館がNACの幹部に対し、イベントへの招待や面会の要請を行っていたことが判明している。これらの働きかけは、2024年中頃に新しい中国大使がオタワに着任した後に活発化していた。新任の王迪大使が着任した直後の2024年7月12日の内部メールで、当時のNAC最高経営責任者(CEO)であったクリストファー・ディーコン氏は、大使と会うよう「助言」を受けたと記している。

このATIPの記録には、誰がその「助言」を出したのかについての明確な記載はない。ディーコン氏はその後、2024年8月にNACで王大使と会談し、同年10月には再び王大使の公邸での夕食会で面会した。

その後数ヶ月間、NACは神韻の2026年の公演日程の確定を遅らせ続け、最終的に2025年6月、地元の主催者に対し、2026年シーズンは神韻への劇場の貸し出しを行わない決定を下したと通知した。NACの新しいCEOであるアナベル・クルティエ氏も、この拒否姿勢を維持している。

神韻の観客や支持者のコミュニティである「ファンズ・オブ・シェンユン・カナダ」は、公共への問題提起キャンペーンと署名活動(LetShenYunPerform.ca)を立ち上げ、NACと中国大使館との関係を記録・告発している。

チプカー氏は委員会の席上で議員に対し、「税金から年間6千万ドル以上の資金援助を受けている王立公社が、中国の検閲目的に加担するような決定を下すことは避けるべきである」と訴えた。

トーマス議員から、法輪大法や神韻をよりよく保護するために連邦政府が取るべき行動について問われたカナダ法輪大法協会(FDAC)の法的アドバイザー、ジョエル・エティエンヌ氏は、政府はカナダ安全情報局(CSIS)、カナダ王立騎馬警察(RCMP)、カナダグローバル連携省(外務省)に対し、中共政権による脅迫や妨害工作に対応するよう命じるべきだと述べた。

エティエンヌ氏は「外交官がカナダ国内で犯罪行為に関与している場合、私の見解では、彼らを『ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)』に指定し、そのような行為をやめるか出国するよう求めることができる」と語った。

エティエンヌ氏は、FDACによるその他の提言もいくつか列挙した。その中には、カナダ文化遺産省が、外国政府からの脅迫に直面している公的資金支援を受ける文化機関向けに、連邦レベルの指針や対応プロトコルを策定することが含まれている。同氏は、NACのような公的資金を受ける会場や王立公社は、外国からの介入、国境を越えた弾圧、外交的圧力の手口に関する研修を受けるべきであると述べた。また、NACに対し、オタワでの神韻の公演日程を提供するよう指示すべきだとも述べた。

大紀元(エポックタイムズ)はNACにコメントを求めたが、記事公開までに返答はなかった。

FDACはまた、カナダの治安機関に対し、文化セクターを標的にした外国からの介入や国境を越えた弾圧の広範なパターンを調査し、現行法の関連規定を執行すること、およびカナダグローバル連携省に対し、カナダの会場に対する領事館からの圧力が、外交官による内政干渉を禁じる国際ルール(ウィーン条約)に違反していないかどうかを検証することを求めている。

法輪功学習者たちがトロントの中国総領事館前に集まり、1999年4月25日に北京で同志たちが信仰の自由を求めて行った訴えから27周年を記念した(Evan Ning/The Epoch Times)

チプカー氏は、FDACがジェニュイス氏の動議を支持していると言及した。その上で、中共によるカナダへの内政干渉は、法輪大法や神韻のコミュニティだけでなく、すべての人に影響を与える「超党派の問題」であると強調した。 同氏は「外国の独裁政権に、私たちの声や芸術を封じ込めることを許せば、カナダはすべてを失う。主権は奪われ、外国の独裁政権の言いなりになってしまう」と付け加えた。

カナダ遺産委員会の自由党議員らは、「今後さらに審議し、再検討する必要がある」と主張し、ジェニュイス氏の動議を即座に満場一致で可決させる手続きを否決した。

中国に結びつく脅迫

トロントのフォーシーズンズ・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツは、警察の捜査によって脅迫が根拠のないものであると確認されたにもかかわらず、3月29日から4月5日に予定されていた神韻の全8公演のうち最後の6公演を中止した。劇場側は数週間後、地元の主催者であるトロント法輪大法協会からの度重なる要請を受け、日程を再調整した公演の開催に同意した。

バンクーバーのクイーン・エリザベス劇場も、4月の神韻公演の前に偽の爆破予告の標的となったが、バンクーバー警察(VPD)が脅迫に信憑性がないと確認したため、劇場側は公演の続行を許可した。VPDのサイバー犯罪部隊は、脅迫メールが送信されたアカウントに関連付けられた電話番号が中国国内のものであること、また同じメールアカウントからトロントの劇場にも脅迫が送られていたことを突き止めた。

一方、5月4日のグローバル・ニュースの報道によると、バンクーバーの中国総領事館の職員は4月に市役所の関係者と面会し、バンクーバー市が所有するクイーン・エリザベス劇場での神韻の公演を許可しないよう市に圧力をかけていた。

保守党のケビン・ウォー議員は、わずか13ヶ月前にマーク・カーニー首相が中国をカナダに対する最大の安全保障上の脅威と言及していたにもかかわらず、現在のオタワ(連邦政府)は、1月に北京と複数の協定を締結した後、中国との貿易を拡大し、最底限の関税で中国製電気自動車の国内流入を認めていると指摘した。

この委員会が開催されたのは、中国の王毅外相とカナダのアニータ・アナンド外相の会談が予定されている当日であった。