中共 先端半導体H200購入を禁止 業界では迂回取得の実態も

2026/06/03
更新: 2026/06/03

米政府が今年1月、中国向けにエヌビディアのAI半導体「H200」の輸出を認めた後も、中国共産党(中共)当局は国内企業に対し、H200の購入禁止措置を続けてきた。表向きは、中国産半導体の研究開発を支援するためとしている。

しかし専門家からは、中国の関連企業や研究機関がアメリカの規制の隙間を突き、先端半導体や海外の計算資源を迂回的に利用しているとの見方が出ている。

一方、ファーウェイが掲げる「韜定律」については、業界専門家から「宣伝色の強い表現にすぎない」との指摘がある。中国製チップが先端分野で後れを取っている状況を覆すものではないという。

米国 規制の抜け穴封じへ 海外子会社も許可対象に

米商務省は5月31日、中国企業の子会社に対する新規制を発表した。中国国外に所在する子会社であっても、先端半導体の販売には許可制を適用する。

販売許可の対象となるのは主に、エヌビディアの最上位クラスの「Blackwell」および「Rubin」プロセッサー、AMDのMI350xなどだ。

報道によると、過去1年間に「数十万個」に上る高性能チップやプロセッサーが、マレーシアやタイなどにある中国資本のAI企業の海外子会社を通じ、中国に流入した疑いがある。さらに、1億6千万ドル相当のH100とH200チップの輸出案件や、総額5億1千万ドルに上るサーバーの違法転送案件も確認されている。

中国問題に詳しい王赫氏は大紀元に対し、大量のアメリカ製先端チップが中国に流入すれば、中共がAI分野や軍事開発で利用できるようになると指摘した。これは、米中間の技術格差を広げようとするアメリカの政策にとって「大きな打撃になる」と述べた。

王氏は一方で、アメリカが規制を強化しても、中共は密輸など別の手段で先端半導体を持ち込もうとするため、規制の実効性には限界があるとの見方を示した。

中共は自主開発を主張 海外H200の利用権を迂回取得

ブルームバーグが6月2日に報じたところによると、中共国防科技工業局の監督下にある7つの軍事系大学(国防七子)が、2025年6月以降、H200の使用権取得を目指している。対象には、アメリカの制裁を受けている中共の「国防七子」の一つ、北京航空航天大学や西北工業大学も含まれる。

報道によれば、中国の一部大学は第三者を通じてH200を購入するだけでなく、海外のデータセンターから計算能力を借りる形でもH200を利用している。半導体本体が中国に入らないため、アメリカの現行規制上は「輸出」とみなされないが、アメリカの安全保障当局者の中には、これを先端半導体規制の大きな盲点と見る向きがある。

台湾国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長は大紀元に対し、こうした算力サービスの利用は、実質的に「別の形の知的財産盗取」だと述べた。

蘇氏は、中共側が米国AI企業のサービスに大量の質問を投げかけることで、相手のモデルの特徴や応答傾向を推測できると説明した。そのうえで、「こうして得た情報を自国のモデルに転用すれば、一種の知的財産の窃盗に当たる」と述べた。

ブルームバーグはまた、2011年以降、中共軍や国防産業と協力する25以上の大学・研究所が、比較的下位のエヌビディア製AIチップを使用、または取得を目指してきたことも明らかにした。このうち6大学は、ミサイルや核技術の研究開発に関与したとしてアメリカの制裁対象となっている。

蘇氏は、中国国内では現在、比較的遅れた製造プロセスのチップを多数組み合わせることで演算能力を補っていると分析した。ただ、この方法は消費電力が大きく、システム全体も大型化しやすいため、効率面で限界があるという。

華為の「韜定律」 中国製半導体の遅れを覆せず

中共は、アメリカが承認したH200の購入を拒んでいる。公式には自主研究開発を促すためとしている。こうした中、通信機器大手のファーウェイは「韜定律」と称する半導体技術を打ち出し、「世界の半導体競争のルールを変える」との姿勢を示した。中国本土のネット上では大きな反響を呼んだ。

ファーウェイは5月25日、過去6年間に「韜定律」に基づいて381種類の先進チップを設計し、量産してきたと発表した。今年秋には「韜定律」を採用した次世代の麒麟チップを投入する予定だという。さらに2031年までに、TSMCの1.4ナノメートル製造プロセスに相当する水準を目指すとしている。

蘇氏は、「韜定律」について、「実態以上に技術力を大きく見せる宣伝色の強い表現だ」と指摘した。

蘇氏によると、「韜定律」は基本的には既存のチップ積層技術であり、TSMCは同様の技術をすでに長年使っているという。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも5月28日、台北で台湾メディアから「韜定律」について質問を受け、「ファーウェイにとっては突破口かもしれないが、TSMCにとって脅威ではない」と答えた。フアン氏は、TSMCと台湾はチップ積層や3Dパッケージ技術をすでに10年近く使用しており、技術は非常に先進的だと述べた。

蘇氏は、ファーウェイが現在、製造プロセス面で制約を抱えていると見る。「韜定律」にせよ、半導体の迂回取得にせよ、中国製チップが演算能力の不足を数量で補わざるを得ない現状を示しているという。

中国チップ、西側最先端技術と大きな差

王赫氏は、中共は常に「自己評価が高すぎる」としたうえで、独自の半導体体系を築こうとしているものの、その技術力には疑問が残ると指摘した。

王氏は、「中共がファーウェイに過度に依存すれば、最終的に米中間の技術デカップリングを招く。その結果、中国の半導体技術は、西側の世界最先端技術と比べて大きな差を抱えることになる」と語った。

蘇氏は、中共によるH200の購入禁止措置は、今後、実務上は黙認に近い運用へ変わる可能性があると見ている。H200はすでに最先端ではないものの、中国国内にとってはなお有用であり、AIモデルの性能向上に役立つためだ。

蘇氏によると、アメリカの戦略は、中共のソフトウエア分野での進歩速度を抑え、技術格差を維持することにある。

蘇氏は、アメリカが半導体輸出規制によって中共の技術進展を抑えようとしている一方、アメリカや民主主義国家はTSMCの技術を通じてさらに前進し、差を広げようとしていると分析した。

易如
程雯