天安門事件から37年 NYで記念シンポジウム 記憶の継承と政治変革を訴え

2026/06/03
更新: 2026/06/03

1989年6月4日の天安門事件から37年となるのを前に、「北京之春」雑誌社、中国民主団結連盟、中国民主党全国委員会は6月1日、ニューヨーク・フラッシングで「六四37周年・文化大革命60周年記念および国際情勢シンポジウム」を共同開催した。

民主運動の指導者、天安門事件の経験者、学者、弁護士、ジャーナリスト、時事評論家らが出席し、1989年以降の中国政治と民主化運動の歩みを振り返り、その教訓と今後の展望について議論した。

参加者は、文化大革命から60年、天安門事件から37年が過ぎたものの、中共の全体主義的な統治の本質は変わっていないと指摘した。天安門事件は中共がいまだ責任を問われていない惨劇であり、中国人と世界の良心を踏みにじった事件でもあるとした。

現在、中国社会では矛盾が増え続け、政治変革を求める声が高まっている。参加者らは、海外の民主勢力は将来起こり得る政治的変動に備える必要があると訴えた。

六四は過去ではなく、いまも続く問題

「北京之春」名誉編集長の胡平氏は、天安門事件はいまだ歴史になっていないと述べた。

胡氏は「市民を殺害した政権はいまも権力の座にある。犠牲者の名誉は回復されず、民主化運動に関わった人々はいまも獄中にあるか、海外亡命を余儀なくされている。天安門事件は過去の出来事ではない。現在進行形だ」と語った。

胡氏はまた、天安門事件が世界の注目を集める天安門広場で起きたため、世界中の人々がメディアを通じて虐殺を目撃したと指摘した。そのうえで、この事件は中国人の良心を踏みにじっただけでなく、世界の人々の良心をも踏みにじった事件だと述べた。

天安門事件を記念し、記憶し続けることは、中国人の道徳的良心を呼び覚ますだけでなく、世界の良心を呼び覚ますことでもあるとした。

天安門事件の経験者で、中国民主団結連盟副主席の呂京花氏は、中共が長年にわたり天安門事件の記憶を消し去ろうとしてきたと述べた。中国国内では、ネット上で検索できず、教科書にも記載されず、公の場で語ることも許されていないという。

呂氏は「根本的な問題は、中共が市民を殺害したという点にある」と語った。

同氏は、自由社会に暮らす人々に対し、天安門事件を記憶し続けるよう呼びかけた。忘却は悲劇の警鐘としての意味を失わせるだけだと訴えた。

名誉回復まで書き続ける決意

ジャーナリストの曾慧燕氏は、38年にわたる記者人生の中で、天安門事件に関する報道を数多く書いてきたと述べた。

曾氏は「天安門事件の真相解明と参加者の名誉回復がなさらない限り、私は毎年少なくとも1本、記念文章を書き続ける。決して放棄せず、決して怠らない」と語った。

曾氏はまた、天安門事件後にアメリカで永住資格を得て、後に北京当局による「弾圧は正しかった」という主張を擁護する人々を批判した。

「良心ある人なら問うべきだ。当時の鎮圧が正しかったと言うなら、なぜ永住資格を放棄し、中国に戻って、弾圧によってもたらされたという『安定』を享受しないのか」と述べた。

曾氏は「強権体制は、国家権力による弾圧、厳しいネット検閲、情報封鎖によって、中国国内の若い世代から事件の記憶を奪うかもしれない。利益を優先する価値観の浸透によって、物質的に豊かになった一部の人々が良心を捨てることもあるかもしれない。しかし、良心と正義感を持つ一人ひとりが諦めない限り、歴史の記憶が消え去ることはない」と語った。

さらに同氏は「強権体制は碑文を消すことはできても、人々の記憶までは消せない。私は生きている限り書き続ける。記録を通じて忘却に抗い、言葉で良心を守る。歴史が再び明らかになり、正義が訪れるその日まで」と述べた。

SNSは新たな天安門広場

当時の学生運動の指導者だった周鋒鎖氏は、1989年の民主化運動は、中国人が初めて大規模に集まり、民主を求め、暴政に反抗し、自由を勝ち取ろうとした運動だったと述べた。

周氏は、近年中国本土の若者の間で起きた白紙運動について、中国社会にはなお抵抗の力が存在することを示したと指摘した。また、海外の中国人と中国国内の人々が連動できることも示したとし、「海外の華人はネットで声を上げ、中国の民衆は現場で行動する」と述べた。

周氏は、抵抗の力が分散している中で、SNSは共通認識を広げ、行動を促す重要な手段だと指摘した。

同氏は「インターネットやSNSは、1989年当時の天安門広場に相当する。今年、ネット上で天安門事件を記念する規模は例年より大きく、歴史資料の新たな発掘と拡散も見られた」と語った。

全体主義体制の自壊

時事評論家の張杰氏は、文化大革命と天安門事件は、同じ全体主義体制が異なる歴史段階で現れたものだと述べた。

張氏は「文革は階級闘争の名の下で、天安門事件は政権安定の維持という名の下で政権を守った。『改革開放』が変えたのは経済政策であり、政治制度ではなかった。全体主義体制を一時的に緩めただけだった」と述べた。

さらに、「改革開放」によって体制内部にも緩みが生じたが、中共は政権を失うことを恐れ、暴力の行使も辞さなかったと指摘した。

張氏は「全体主義には自壊する構造がある」と強調した。全体主義は腐敗、権力継承、内部闘争の問題を解決できないため、中共が永遠に存在することはないという。民主化運動が停滞している時期こそ、力を蓄え、深く考える時期だと語った。

1989年6月4日の天安門事件から37年となるのを前に、「北京之春」雑誌社、中国民主団結連盟、中国民主党全国委員会は6月1日、ニューヨーク・フラッシングで「六四37周年・文化大革命60周年記念および国際情勢シンポジウム」を共同開催した(林丹/大紀元)

中国民主党全国委員会の執行長で弁護士の陳闖創氏は、中共には時期によって違いがあるものの、全体主義体制そのものは変わっていないと指摘した。真の言論の自由、集会の自由、民衆による政権への異議申し立てを認めない点は一貫しているという。

陳氏は、文化大革命(文革)、天安門事件、そして現在の習近平時代はいずれも、同じ全体主義体制の異なる現れだとした。また、中国の民主化運動はより大きな国際情勢の中で捉える必要があり、国際政治や台湾問題と切り離すことはできないと述べた。

中国の人権派弁護士で、海外中国人権弁護士連盟の設立を呼びかけた呉紹平氏は、現在の中国政治には文革時代と似た特徴が多く見られ、「文革2.0」と見ることができると述べた。

呉氏は、海外での抵抗には、歴史を忘れない「記憶の抵抗」、真実を広める「言論の抵抗」、対中政策において人権、民主、自由を商業利益より優先する「政策面での抵抗」が含まれるべきだとした。

西側の宥和政策が中共の拡張を助長

弁護士の葉寧氏は、朝鮮戦争以降、西側諸国が反人道的で暴力的な専制体制を敷く中共に対し、長期にわたって宥和政策を取ってきたと批判した。それは、むしろ積極的ともいえる宥和政策であり、中共の拡張を助長したと述べた。

葉氏は、西側が中国民間の草の根の抵抗勢力を重視してこなかったとも指摘した。「中国には民主運動のほかにも、強い草の根運動がある。それは法輪大法学習者の抗議の力だ」と述べた。

葉氏は本紙の取材に対し、「法輪大法は神が中国人に贈った最大の贈り物である。法輪功学習者は、信仰の自由を守る強固な草の根基盤を持つ運動であり、本来は十分に大きく、衝撃的な力を持っている」と語った。

そのうえで、「国際社会が歴史の大きな流れを見極め、このような人類の自由と民主のための草の根の力を生かすことができれば、中国全体に大きな変化が起き、自由を求める人々の未来も書き換えられるだろう」と述べた。

葉氏は発言稿で、「中国民主事業の未来における最も貴重な資源は、世界の自由な市民社会に今なお存在する道義を共有する国際的な連帯であり、自由、尊厳、真理を求める人類の持続的な追求である」と記した。

さらに、「自由を求める思いは何度挫折しても、絶えずよみがえる。これこそが、六四37周年において最も記憶されるべき歴史的教訓かもしれない」とした。

突発的な政治変動の可能性

時事評論家で、天安門事件を経験した鄭旭光氏は、過去30年、多くの中国人が現状を受け入れてきたのは、経済が成長し続けていたためだと述べた。しかし現在は、経済が低迷し、自由が減少しているため、政治変革を求める声が急速に高まっているという。

鄭氏は、中共政権において起こる可能性が高い出来事として、習近平が党国体制を弱体化させ、ブレジネフ時代のソ連のように硬直した体制が延命する状況を挙げた。

一方で、可能性は低いものの、中国には突発的な政治変動が起こる可能性もあるとした。

鄭氏は「可能性の低い出来事はいつ起きてもおかしくない。可能性の高い出来事はいずれ必ず起きる。機会が来た時、われわれは『すでに準備はできている』と言えなければならない」と述べた。

ジャーナリストの魏碧洲氏、博登出版社社長の栄偉氏、学者の張艾枚氏らも国内外情勢について議論した。

魏氏は、将来中国に変化が起きた後、参加者や若い世代は海外で培われた自由の精神を中国に持ち帰り、中華民族の遺産と結びつけるべきだと述べた。それは西側をそのままコピーすることではないという。

また、中共政権樹立後に政治迫害を受けた人々に賠償するため、国家賠償基金を設立すべきだと提案した。

張氏は、中共政権がさらに全体主義へと進み、社会への高圧的な統制が常態化し、先端技術によって強化されていると指摘した。市民社会は限界まで圧縮されているという。

栄氏は、習近平は「党を滅亡に導く指導者」であり、将来を悲観すべきではないと述べた。

今後の重点は記念ではなく現状の変革

中国民主党全国委員会主席の王軍濤氏は、若い世代が急速に目覚めていると述べた。ゼロコロナ政策下の封鎖、経済低迷、中共の統治問題が庶民の不満を加速させているという。

白紙運動は新たな世代の政治的覚醒を象徴している。王氏は、中国民主運動の今後の重点は、記念や反省にとどまるべきではないと述べた。どのように組織し、どのように動員し、どのように政治の現状を変え、中共の暴政を終わらせるかを考え、実行に移すことが重要だとした。

王氏は「『中国共産党を打倒せよ』というのが、最も分かりやすい道理だ」と語った。

林丹