中国当局はこれまで、不動産市場の過熱を抑えるために様々な規制措置を打ち出したが、住宅の年収倍率が依然と高水準で推移し、不動産バブルへの懸念は高まっている。
調査会社の上海万得信息技術(Wind資訊)によると、北京や深センなど一線都市では、住宅平均価格は過去6年間(2010〜17年)で約2倍に急騰し、二線都市は50%値上がりした。二線都市のサラリーマンは、飲まず食わずでもマンションを買うには10年以上かかるとされている。
また、中国の主要16都市では、住宅の年収倍率が10倍超の水準にあり、適正比率と言われる3〜6倍を大幅に上回っている。深センは32.44倍で、中国で最も「家を買えない」都市となった。上海は26.08倍、北京は25.48倍とそれに次いだ。
英調査会社ロングビュー・エコノミクス(Longview Economics)は2016年9月に発表報告書によると、深セン市の住宅年収倍率が70倍に上昇し、米シリコンバレー所在地のサンノゼに次いで世界2位の住宅価格の高い都市となった。同社のクリス・ワトリング社長は「数字を7回以上確認したが、間違っていない。本当に尋常ではない」と述べ、「不思議」「気掛かりな状況」とした。
北京と上海の場合、年収倍率が深センほどではないが、発展トレンドではほぼ同じ動きが見て取れる。
上海易居不動産研究院が6日に発表した「6月不動産取引報告書」によると、深セン市の不動産市場の取引状況が6月に、4つの一線都市(上海、北京、広州、深セン)の中で最も活発だった。
深セン市規画国土資源委員会の発表によると、同市の6月の新築住宅の平均価格は1平方メートル当たり54,492元(約91万円)で、前月比0.3%下落した。昨年9月より11.52%減少し、9ヶ月連続の減少となった。地方当局が昨年から打ち出した不動産バブルの抑制措置が、新築住宅の取引には大きな影響を及ぼしたとみられている。
一方、同市の中古住宅市場の動きは活発化している。平均価格は前月比1.02%増の46,631元(約78万円)であり、前年同月比3.68%増と5ヶ月連続の上昇となった。同市の住宅流通総量に占める新築住宅の割合は昨年より12%低下し、14%を占めている。中古住宅の割合が86%に増加した。
当局の抑制措置が短期的に奏功しているようだが、バブルを根本的に沈静化できないとの見方が広がっている。経済界では、中国不動産バブルの根本的な原因が土地の公有制や地価高騰にあるとの指摘がある。地方政府の財政は土地売却収入に依存しているため、地価は上がる一方だ。
中国指数研究院が発表したデータによると、2017年上半期における約300都市の土地譲渡による収入は約1兆4,735億元(約24.7兆億円)で、前年同期比34%上昇した。平均取引価格は1平方メートル当たり2,249元(約3万8,000円)で、前年同期比40%増加した。
(翻訳編集:王君宜)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。