中国の不動産大手・碧桂園(カントリーガーデン)は、深刻な経営難に直面している。最新の販売データによると業績の悪化が一段と進んでおり、総債務が約1.3兆円に上る中で資金繰りも厳しさを増している。
同社は6月6日、2025年5月の権益販売額が30.9億元、販売面積は34万平方メートルだったと発表した。今年1~5月の累計権益販売額は139.4億元(約2927億円)で、前年同期の216.5億元(約4547億円)から35.6%の減少となった。累計販売面積は169.9万平方メートル。不動産市場の低迷を背景に、同社の販売成績も大きく落ち込んでおり、業界全体の苦境を浮き彫りにしている。
6月5日の株主総会では、常務副総裁の程光煜氏が「市場環境に応じて柔軟に販売戦略を調整する」と述べ、2025年通年の権益販売目標を300~400億元(約6300億~8400億円)に設定した。これは過去に比べて大幅な下方修正であり、同社の慎重な経営姿勢がうかがえる。
販売不振は不動産業界全体の停滞と密接に関連している。2025年1~3月期の契約販売額は前年比42.5%減で、キャッシュフローも引き続き圧迫されている。債務負担が重い中、同社は資源配分の最適化やプロジェクトの引き渡し加速などにより、経営基盤の安定を図っている。
しかし、債務再編の進展は遅れている。経営陣は年内に海外債務の再編、2026年上半期までに国内公募債務の再編完了を目指しているが、いずれも計画は繰り返し延期されている。2023年10月に発表予定だった再編支援協定は2024年1月にずれ込み、その後も海外債権者との合意が今年上半期まで持ち越された。
3月には、債務再編のアドバイザーとして米財務アドバイザリー大手ホウリハン・ローキーと中国国際金融(CICC)が新たに就任した。しかし、現時点でドル建て債権者の約70%しか再編案に賛同しておらず、銀行団との交渉も一部で停滞している。
2024年末時点での同社の総負債は9845億元(約20兆円)に達し、資産負債率は95.1%。2025年には90億ドル(約1.3兆円)の債務が満期を迎える予定で、返済への圧力は極めて大きい。販売の落ち込みと資金繰り難が重なり、依然として厳しい経営状況が続いている。
碧桂園の取締役会会長・楊恵妍氏は、最近「鍋を売ってでも住宅を引き渡す」と強調し、住宅供給の継続を最優先する姿勢を示している。しかし、2023年8月の債務不履行以降、ドル建て債券の利払いは依然として遅延している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。