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中国の不動産王 万達 1兆円超の資産売却で延命図る

2025/06/18
更新: 2025/06/18

中国の大手不動産企業・万達集団が、再び大規模な資産売却に踏み切った。太盟投資グループ(PAG)が主導し、テンセント、JDドットコム(京東)、陽光人寿保険など複数企業が出資する合同企業体が、万達が保有する48社の全株式を取得する。これにより、北京・広州など全国39都市にわたる「万達広場」プロジェクトの所有権が移ることになる。

今回の取引はすでに無条件で当局の承認を受けた。対象企業は主に大型商業不動産の運営を手がけており、1~2級都市のほか、一部3~4級都市もカバーしている。

取引額は正式に公表されていないが、市場関係者によれば、総額は500億元(約1兆円)規模とみられ、うちPAGが約50億元を出資した。さらに銀行団が300億元の融資を提供し、残りはメザニンファイナンスによって調達される予定だという。

PAGと万達の関係は過去にも深く、2024年3月にはPAGと中信キャピタル、米Ares Managementが万達の関連企業に計600億元を投資し、同社の60%の株式を取得している。今回の共同出資者であるテンセントやJDドットコムも2018年に万達商業に計150億元を出資しており、陽光人寿保険も過去に複数の万達広場案件を取得している。

万達は近年、流動性の逼迫に苦しみ、資産売却を通じた財務再建を進めてきた。過去には、出資者である中国の家電大手スーニンや不動産大手の融創中国との間で株式回収問題が発生し、仲裁や資産凍結に発展。600億元に及ぶ株式再編計画にも影響が出ていた。2025年5月時点で、創業者・王健林氏の資産も約3億元が凍結されており、その期限は2027年までとなっている。

中国メディアによると、今回の資金調達により、万達の資金繰りは一定程度改善される見通しだが、物件の地域分散や業態の多様性から、利回りは6~8%程度にとどまると予測されている。また、メザニン融資による返済リスクにも注意が必要だ。

なお、取引完了後も運営は引き続き万達商業管理が担うが、所有権は完全に移転される。

李冰