中共 スカボロー礁に自然保護区 米国が非難「地域の安定損なう」

2026/08/10
更新: 2026/08/10

アメリカは、中国共産党(中共)が南シナ海の係争海域にあるスカボロー礁(中国名・黄岩島)に自然保護区を設けたことを非難し、「地域の安定を損なう行為だ」と指摘した。アメリカは、この措置がフィリピン漁民による伝統的漁場の利用を妨げるだけでなく、自由で開かれたインド太平洋の秩序を損なうとしている。

中共は8月1日、スカボロー礁の「国家級自然保護区」に関する新たな管理規定を施行した。

スカボロー礁は、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置する三角形の環礁で、中共が10年以上にわたり事実上支配している。2025年には、中共がさらに環礁北東部の広い海域を自然保護区に指定した。

新規定では、指定海域内で漁業や採鉱、サンゴ礁の掘削などを全面的に禁止している。また、中共海警などの関係機関が同海域で常態的な巡視体制を構築し、中共が「違法」とみなす活動を取り締まるとしている。

こうした動きについて、米国務省は8月8日の声明で中共を非難した。トミー・ピゴット報道官は、「これは中共が再び、環境保護や法律を口実に、一方的かつ威圧的な手段によって近隣諸国の利益を犠牲にし、南シナ海における拡張的な主張を推し進めるものだ」と述べた。

さらに、「アメリカは同盟国フィリピンとともに、自由で開かれたインド太平洋を支持する」と強調した。

中共、国際法上の仲裁判断を無視

南シナ海は天然資源が豊富で、世界の海上輸送にとっても重要な海域である。中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどの間で、領有権や海洋権益をめぐる主張が複雑に交錯している。

2016年、国連海洋法条約に基づいて設置された仲裁裁判所は、中共が「九段線」などを根拠に主張する南シナ海での広範な海洋権益について、法的根拠がないとの判断を示した。

しかし、中共はこの仲裁判断を受け入れず、その後も海警船や軍艦を係争海域に繰り返し派遣し、主権や海洋権益を主張し続けている。

今年7月には、中国とフィリピンの間で1週間足らずのうちに3回の海上対峙が発生し、地域の緊張が急速に高まった。

中比の海上衝突激化 アメリカは防衛関与を改めて強調

フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ報道官によると、7月24日、中共海警船はスカボロー礁付近でフィリピンの公船に放水銃を使用したほか、複数の「危険な行動」を取ったという。

タリエラ氏は、中国船が一時、フィリピン船に約7メートルまで接近し、「深刻な衝突」が起きる恐れがあったと説明した。

前日の7月23日にも、フィリピン側は中共海警から2分以上にわたり連続して放水銃による攻撃を受けたと主張した。

これに対し中共は、自らの管轄海域に進入したフィリピン船に対し、法に基づいて「管理措置」を講じたものだと主張している。

7月20日には、南シナ海のもう一つの係争地であるセカンド・トーマス礁(中国名・仁愛礁)付近で、双方の間に暴力的な衝突が発生したとフィリピン側が発表した。

この衝突では、フィリピン海軍の兵士1人が中共の要員によって負傷した。アメリカ、EU、オーストラリア、日本などが強い懸念を示した。

セカンド・トーマス礁での衝突について、ルビオ国務長官は7月23日、マニラで開かれたASEAN関連会合の場で記者団に対し、衝突発生時には米沿岸警備隊の船舶が現場周辺にいたと明らかにした。

米沿岸警備隊は双方の間の調整に当たったほか、負傷したフィリピン要員の救助にも協力したという。

ルビオ氏は、米中は世界の二大経済大国であり、核保有国でもあるため、両国関係を維持する必要があるとしたうえで、「しかし、それは決して、この地域におけるわれわれの同盟国やパートナー、あるいはアメリカのインド太平洋地域でのプレゼンスを犠牲にして行われるものではない」と強調した。