F-35部品はなぜ中国側の手に渡ったのか UPSのアジア輸送ルートに焦点

2026/09/27
更新: 2026/09/27

オーストラリアから米国へ修理のため送られたF-35戦闘機の部品の一部が、輸送途中で香港に転送され、中国共産党(中共)当局の手に渡っていた。最新の飛行データによると、運送会社UPSのアジアから米国への物流網は、しばしば中国を経由している。米国防総省は事件を調査し、部品の回収を進めており、米議会も調査に乗り出した。

焦点となっているのは、貨物がなぜ本来の輸送ルートを外れたのか、また、これらの部品からF-35のステルス技術に関する情報がどの程度明らかになる可能性があるのかという点だ。行方不明となった部品にはF-35のコックピット・キャノピーと兵器倉扉が含まれ、いずれにも電波吸収材が塗布されている。ロッキード・マーティン社は、該当部品はすでに使用不能であり、分析によって利用されるリスクは低いとしている。ただ、米議員らは、なぜこれらの部品が香港へ転送されたのか明らかにするよう求めている。

UPSのアジア路線、複数の積み替え経路浮上

ブルームバーグは9月25日の報道で、Flightradar24の公開飛行データを基に輸送経路を追跡した。これによると、部品は5月末にオーストラリアから米国へ向けて発送され、途中で韓国・ソウルを経由した後、香港に到着した。

データによると、5月後半、UPSはシドニーからソウルへの直行便を4便運航しており、これらはいずれも最終的に米ケンタッキー州ルイビルへ向かっていた。ソウル出発後、このうち3便は中国・鄭州に立ち寄り、5月25日の1便だけがソウルから米国へ直接向かった。また、5月21日に出発した1便は、その後の運航経路に香港が含まれていたが、この便がF-35部品を実際に輸送していたかどうかは確認できていない。

ブルームバーグはさらに、同じ時間帯にUPSがソウルから香港を経由して米国へ向かう便を2便運航していたことも確認した。運航時間はシドニーからソウルに到着する便と重なっており、貨物がソウルで積み替えられた後、香港に送られた可能性がある。ただし、公開データから実際の輸送便を特定することはできていない。

現時点では、部品が物流上のミスによって別ルートに振り替えられたのか、それとも意図的に転送されたのかも明らかになっていない。中国側が部品を取得した後、現在まで返還されていない。

UPS貨物機。参考写真(Michael Clevenger – Pool/Getty Images)

部品に電波吸収材 F-35のステルス性能に関係

行方不明となった部品には、コックピットのキャノピーと兵器倉扉が含まれている。ブルームバーグは事情を知る関係者の話として、両方にF-35のステルス性能を高めるための電波吸収材が塗布されていると報じた。

CBS Newsは、行方不明となったのが実際にこの2種類の部品である場合、相手側が入手することで直ちに明確な優位性を得られるような先進航空電子機器は含まれていないと指摘した。ただし、キャノピー自体はステルス・システムの一部であり、表面の電波吸収材からF-35のステルス技術に関する情報が得られる可能性はあるとしている。

ロッキード・マーティン社は、物流上の判断を自社だけで決めているわけではなく、米政府が使用を認める輸送方法を指定し、その中から同社が規定に適合する運送会社を選んでいると説明した。

議会が説明要求 国防総省は部品回収を進める

この事件は米議会の民主、共和両党の議員から注目を集めている。少なくとも2つの議会委員会が、部品がどのように中共政府側の手に渡ったのか調査している。

上院情報委員会の副委員長を務める民主党のマーク・ワーナー上院議員は、「何が起きたのかについて完全な説明を受けるよう動いている。極めて憂慮すべきことだ」と述べた。

ワーナー氏は今週末までに説明を受ける見通しである。

一方、上院軍事委員会の下で事件を調査する小委員会の委員長を務める共和党のケビン・クレーマー上院議員は、「これは運送会社のミスなのか。われわれの同盟国のミスなのか。それとも中国側が当初からこれらの品を阻止する計画を立てていたのか」と問いかけた。

クレーマー氏は、部品が回収されることを望んでいるとしたうえで、中国側はこれらの部品からどのような情報を得られるか、可能な限り調べるだろうとの見方を示した。

戦争省は、この貨物輸送事案について調査中であることを確認している。米国防当局者は、「これらの部品を回収し、事件を調査すると同時に、同様の事態が再発しないよう予防措置を講じるため、米国の関係当局および産業界のパートナーと積極的に協力している」と述べた。

中国外務省は9月24日、「関連する状況について承知していない」と表明した。現時点でも、なぜこの貨物がソウルから香港へ転送されたのか、また今回の転送が物流上のミスによるものなのか、それとも別の原因によるものなのかは明らかになっていない。

責任編集:李沐恩

陳霆