中国河南省はこのほど、幹部に率先して休暇を取るよう求め、各機関や企業に休暇取得状況を記録する管理台帳の作成を命じた。観光地や宿泊施設、交通機関の割引も打ち出し、有給休暇の取得促進を消費刺激策に組み込んだ。
これに対し、研究者やネットユーザーからは、地方政府が行政主導で休暇取得を促し、低迷する消費を喚起しようとしているとの指摘が出ている。
8月5日、中国共産党(中共)河南省委員会組織部、河南省人的資源・社会保障庁、商務庁、文化・観光庁、国有資産監督管理委員会、総工会(労働組合)の6部門は、「従業員の有給休暇の分散取得を一層推進する通知」を共同で発表した。
通知は、幹部が率先して休暇を取り、従業員が規定の日数どおり有給休暇を取得できるよう促すとした。書面上は休暇を取ったことにしながら、実際には休めない「名目上の休暇」や虚偽の処理も是正するよう求めている。
通知によると、継続して12か月以上勤務した従業員は、正規職員、契約社員、派遣社員、臨時職員の別を問わず、有給年次休暇を取得できる。
通算勤務年数が1年以上10年未満の場合は5日、10年以上20年未満は10日、20年以上は15日の有給休暇が認められる。
民間企業は経営難 「有給があっても申請できない」
河南省は、各機関や企業のトップを制度実施の責任者とした。
行政機関や公的機関では、本人が申請し、所属先が記録・管理する方式を採用する。企業については、何段階もの承認手続きを設けたり、別の形で休暇取得を制限したりしてはならないと定めた。雇用主には年間休暇計画の作成、管理台帳の整備、取得状況の公表も求めている。
中共は行政命令を通じて有給休暇の取得を促そうとしているが、官僚組織の上下関係や民間企業の厳しい経営環境の下で、こうした措置が実際の休暇取得につながるかどうかを疑問視する声もある。
鄭州市の作家、許慶華さん(仮名)は、中国の官僚組織では上意下達の権力関係が強く、上司が休暇を取らなければ、部下も休みを申請しにくいと指摘した。
また、「河南省が幹部の率先した休暇取得を責任体系に組み込んだのは、(中共)中央に対するアピールにすぎない。最近、河南省では多くの幹部が交代した。新任幹部が成果を演出しようとしているだけで、率先して休暇を取るというのも形だけだ。これは中共の官僚文化の特徴だ」と語った。
許さんによると、党・政府機関では行政命令によって措置を実施できる可能性があるが、多くの民間企業は、受注の減少や利益の低下、人員削減の圧力に直面している。制度上は有給休暇を取得できても、従業員が実際に申請できるとは限らない。有給休暇が文書に明記されていても、一般の労働者が自由に休めることを意味するわけではないという。
休暇を取得できるかどうかは、依然として上司が認めるか、企業側に従業員を休ませる経営上の余裕があるかに左右される。
河南省の通知は、重要事業や緊急対応、祝祭日の当直などで休暇を与えられない場合、従業員の同意を得たうえで、取得できなかった休暇分の賃金を支払うよう定めている。
人的資源・社会保障部門は、有給年次休暇の実施状況を通常の監督・検査や特別検査の対象とする。休暇取得を拒否したり、補償金を支払わなかったり、是正命令に従わなかったりした組織は公表するとしている。
関連情報が中国のネット上で広がると、ネットユーザーの関心は休暇よりも収入や雇用の問題に向けられた。
広東省のネットユーザーは「私たちは休暇を取る余裕がない。外出すればお金がかかる。庶民にはお金がなく、消費できない」と投稿した。
別のユーザーは「今、最も必要なのは安定した仕事と給料だ」と指摘した。江蘇省のユーザーからは「休みになっても給料が出なければ、何を使って消費するのか」との声も上がった。
中共国務院が制定した「従業員有給年次休暇条例」は2008年に施行された。
制度の施行から18年が経過した現在も、河南省は幹部による率先取得や管理台帳の作成、特別検査、違反組織の公表といった手段で実施を促さなければならない状況にある。
許さんは、これは中国で労働者の休暇取得の権利が長年、十分に保障されてこなかったことを示していると指摘した。
休暇で消費を刺激、内需拡大策の手詰まりを露呈
河南省当局は、年次休暇を週末や法定休日、小中学校の春休み・秋休みと組み合わせ、3~7日間の連休を設けるよう奨励している。条件が整った組織では、「金曜午後の半休+週末+有給休暇」を組み合わせた短期旅行向けの休暇制度を試行することもできるとしている。
これについて、湖南省の研究者、劉学斌氏は大紀元に対し、消費が伸びない主な原因は、収入の減少と家計負担の増加にあると指摘した。
地方政府が住民に休暇取得を促し、観光地や交通機関の割引を提供しても、失業や賃金低下、不動産価格の下落による家計資産の目減りは解決できないという。
劉氏は「中共は消費を刺激することで経済を押し上げようとしているが、こうした政策が機能しないことはすでに明らかだ」と述べた。
今年国務院の政府活動報告書は、従業員が時期をずらして有給休暇を取得する制度を実施する方針を示した。その後、貴州、雲南、山西、海南、浙江、安徽、陝西の各省や天津市などが、関連措置を相次いで発表した。
有給休暇制度は、労働者の休息権を保障するとともに、消費に充てる時間を増やす施策として位置付けられている。
劉氏は、有給休暇によって消費を刺激しようとする政策は、中共の内需拡大策に有効な手段がないことを示していると指摘した。
また、当局は未払い賃金の支給を求める集団的な抗議活動に対しても有効な打開策を示せず、抑圧によって対応していると批判した。こうした対応が続けば、いずれ大規模な抗議活動を引き起こす可能性があるとの見方を示した。
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