海底撈創業者の妻 2億5900万株を売却 中国の富裕層徴税強化で警戒広がる

2026/09/15
更新: 2026/09/15

中国共産党(中共)当局は最近、富裕層の海外資産に対する税務監視を強めている。中国火鍋チェーン「海底撈(ハイディラオ)」の共同創業者で会長を務める張勇の妻、舒萍が先週、2億5900万株を突然売却し、27億5千万香港ドルを得た。これを受けて海底撈の株価が下落したことから、アナリストは、創業者が経営権を握り、オフショア信託を通じて大量の株式を保有する香港上場企業にも、同様の株売却が広がる可能性があると指摘している。

ブルームバーグが9月14日に報じたところによると、創業者が支配する香港企業では、オフショア信託の利用が広く見られる。一部の投資家は、海底撈株の売却が今後、同様の事例が相次ぐ前触れになる可能性があるとみている。李寧(リーニン)、小米(シャオミ)、融創中国なども、創業者やその家族がオフショア信託を通じて多額の株式を保有している。

リーニンの創業家は、家族信託が支配するViva Goodsなどの持ち株構造を通じ、約19%の株を保有している。中国の茶飲料チェーン、古茗控股の創業者、王雲安は、家族信託が支配するModern Leavesなどを通じて同社株を保有しており、古茗の上場時にはModern Leavesの持ち株比率が約40.3%に達していた。

小米の創業者、雷軍は、家族信託が支配するSmart Mobile Holdingsを通じ、小米株の約8.9%を保有している。ただしブルームバーグは、これらの創業者が株式売却を計画していることを示す証拠は現時点でないと指摘した。オフショア信託を通じて株式を保有しているからといって、創業者が売却に動くことを意味するわけではない。リーニン、古茗控股、小米はいずれも、ブルームバーグの取材要請に直ちには回答しなかった。

ブルームバーグは、中共当局が徴税を強化するなか、投資家が厳しさを増す税務管理の影響を警戒していると報じた。ゴールドマン・サックスのアナリストによると、最近の顧客とのやり取りでは、中共による税務監視の強化が、かえって中国経済のさらなる重荷になるのではないかとの懸念が出ている。

中共は7月末、中国人が保有するオフショア信託への税務監視を強化すると発表した。富裕層の家族や個人が資産保全に利用してきたオフショア信託をめぐる税務上の抜け穴を全面的に塞ぐ狙いがある。

対象者には90日間の猶予期間が設けられ、10月22日までに納付すべき税金を支払わなければ、延滞金などが課される可能性がある。

ロイターは、米ボストン・コンサルティング・グループのデータを引用し、中国の超富裕層が保有する海外資産は最大1兆2千億米ドルに上る可能性があると報じた。また、中国の超富裕層の半数以上が、オフショアの家族信託を利用して資産を管理しているという。ロイターは8月にも、中共による海外資産への課税強化を受け、一部の富裕層が家族信託や海外投資の仕組みを見直し始めたと報じた。税負担に対応するため、資産を売却したり、借り入れで納税資金を確保したりする必要に迫られる人もいるという。

こうした動きは、低迷する香港株式市場に新たな下押し圧力を加える可能性がある。

ブルームバーグによると、9月11日のハンセン指数は2万4805ポイントで取引を終え、週間では3.3%下落した。年初来の下落率は約3%に達しており、中国の消費低迷やインターネット企業の収益見通し悪化などが市場の重荷となっている。

ブルームバーグは、ダンテ・リサーチ創業者、陳達氏の見方も紹介した。陳氏は、中国の不動産市場が低迷するなか、政府の税収への依存が強まっているとして、今後さらに税務執行が厳しくなると予想した。多くの企業家が「戦々恐々としている」と述べた。

また、シティグループの中国担当チーフエコノミスト、余向栄氏は、税務管理の強化によって一部の株主が資産を売却して現金化するようになれば、オフショアの持ち株構造を採用し、創業者の支配力が強い企業は短期的に圧力を受ける可能性があると分析した。大口取引が、株主にとって短期間で現金を確保する重要な手段になる可能性もあるという。

李皓月