9つのグラフで見る中国経済の弱体化

2026/08/28
更新: 2026/08/28

中国経済は全体として弱く、状況はさらに悪化している。

リン・ドンさんは、上海にあるフォーチュン500企業の支社を解雇されて以来、2月から仕事を探し続けている。

これまで11社で計22回の面接を受けたが、いずれも採用には至らなかった。

上海では、多くの多国籍企業がコスト削減を進めている。ドンさんは外資系企業3社の3つの求人で最終選考まで進み、給与交渉まで終えた。しかし、その後、求人そのものが突然なくなった。企業が組織再編に入ったり、採用を凍結したりしたためである。

「今年の就職市場は、本当に現実とは思えないほど異様だ」

38歳でマーケティングの仕事に携わってきたドンさんは、エポックタイムズにこう語った。(※中国当局から報復を受けることを避けるため、仮名を使用)

彼女には小学生と幼稚園児の2人の子供がいるため、「躺平(寝そべり主義)」を選ぶことはできなかった。「躺平」とは、自分の状況を改善するために懸命に努力することを拒む社会的な風潮を指す俗語である。

リンさんの経験は、中国経済が減速するなか、企業が広く直面している圧力を映し出している。先端技術への賭けが北京の経済的苦境を和らげる可能性はあるものの、支出先を特定の分野へ偏らせるやり方は、中国経済が抱える不均衡をむしろ一層強めていると専門家は指摘している。

中国経済の第2四半期の成長率は4.3%となり、過去3年間で最低の水準となった。北京当局は公式の月次国内総生産(GDP)成長率を公表していないものの、経済全体を示す指標は弱く、中国経済の低迷を示している。

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2024年6月5日、上海市静安区で開かれた就職説明会を訪れる人々。多くの多国籍企業がコスト削減を進めるなか、中国の求職者は厳しい状況に置かれている。Hector Retamal/AFP via Getty Images

また、今年1~7月の各種統計は、中国がデフレと闘っている状況を示している。

今年1~7月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で平均0.9%上昇し、わずかな伸びを示した。しかし世界銀行によると、この上昇は国内需要の回復によるものではなく、イラン戦争に関連したエネルギー価格の上昇が要因だった。

また、中国当局は自動車や大型家電などの買い替えを促す「以旧換新」政策を実施しているものの、個人消費も低迷した状態が続いている。

 

デフレと闘う中国

中国の消費者物価指数(CPI)は、依然として根強いデフレ圧力を示している。2026年の物価上昇は、その大部分がイラン戦争に伴うエネルギー価格の上昇によるものである。

※2026年のデータは上半期(1~6月)のものである。
グラフ: The Epoch Times 出典: 中国国家統計局 作成: Datawrapper
デフレと闘う中国(2023年1月~2026年6月)

 

中国経済の現状を大きく左右している要因の一つが、底がいまだ見えない不動産市場の急落である。

不動産開発投資は、2021年のピーク時から44%減少した。また、新築住宅市場では、販売面積、販売額ともにピーク時のおよそ半分にまで縮小している。

さらに、中国当局が中古住宅市場の動向を把握するために調査対象としている70の主要都市でも、軒並み価格が下落しており、その下落幅は2~9%に達している。

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2026年7月14日、中国・天津市に立ち並ぶオフィスビルと集合住宅。Adek Betty/AFP via Getty Images

 

中国の不動産市場、いまだ底見えず

不動産開発投資の減少が、中国全体の固定資産投資を押し下げている。昨年、中国では年間投資額が30年ぶりに減少した。

※2026年のデータは1~7月のものである。
グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
中国の不動産市場、2026年6月時点でも底見えず

 

中国の新築住宅市場、2021年から2025年で半減

※2026年のデータは1~7月のものである。
グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
中国の新築住宅市場、2021年のピークから2025年には半減

 

 

中国70主要都市、中古住宅価格が軒並み下落

2026年1~7月、中国では中古住宅価格の下落がさらに進んだ。70の主要都市すべてで価格が下落し、その下落幅は2~9%となった。

中国70主要都市の中古住宅価格が軒並み下落(2026年1~6月)

 

政策支援にもかかわらず、中国の消費は依然低迷

「政策支援対象商品」には、消費財の買い替え補助制度の対象となっている自動車、家電製品、通信機器、家具などが含まれる。

※「政策支援対象商品」のデータは、経済全体の動向を示す代替指標として、一定規模以上の企業による販売額を使用している。世界銀行も同様の手法を採用している。
グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
中国の消費は依然低迷(2026年6月)

 

 

中国の若者失業率、高止まり続く

グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
中国の若者失業率、高止まり続く(2026年6月まで)

 

中国経済の成長を支える主力は依然として輸出

グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
中国経済の成長を支える主力は依然として輸出(2026年6月時点)

 

ハイテクとAIに賭ける中国

中国では、全体の投資が減少する一方、先端技術への投資は拡大している。しかし、こうした投資は今のところ、雇用の増加や消費の拡大にはつながっていない。

同時に、中国共産党党首の習近平は、資金をどこへ振り向けたいのかについて明確なシグナルを発している。

7月17日、上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)で、習は中国の低コストAIをアピールし、中国が世界各国にAIサービスを提供していく方針を示した。

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2026年7月18日、上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)で、荷物を扱うRoboteraの人型ロボット。中国では全体の投資が減少する一方、AI分野への大規模な投資が続いている。Hector Retamal/AFP via Getty Images

「習近平氏AIにすべてを賭けている。中国のあらゆる資源を投入する大勝負だ。もし成功すれば、米国と互角に渡り合えるようになり、北京はワシントンと対等な存在になれる」

中国で数十年にわたり米国人投資家に助言してきたマイク・サン氏は、エポックタイムズにこう語った。

「しかし失敗すれば、中国は今後数十年にわたって、さらに深刻な経済低迷に陥ることになる」

 

ハイテク分野は異なる投資環境を享受

※2026年1~7月の前年同期比の伸び率を示している。
グラフ: The Epoch Times
出典: 中国国家統計局
作成: Datawrapper
全体の投資が減少する一方、ハイテク投資は増加(2026年1~5月)

 

「従来のやり方は通用しない」

一方、中国が新たな借り入れを行う余地は狭まりつつある。北京の政府系シンクタンク、国家金融与発展実験室(NIFD)によると、昨年、中国の債務残高の対GDP比は初めて300%を超えた。

中国はこれまで、1990年代の住宅制度改革や2008年の世界金融危機後のインフラ投資など、投資を拡大することで経済成長を押し上げてきた。しかし、その代償として債務が膨らんだ。

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2026年1月19日、上海市内の街頭で、中国の国内総生産(GDP)の数値を表示するスクリーンの前を歩く人々。中国経済は昨年、過去数十年で最も低い水準の成長率を記録した。Jade Gao/AFP via Getty Images

「これまでの常套手段は、もはや通用しない」

独立系評論家の蔡慎坤氏は、エポックタイムズにこう語った。

「投資という成長エンジンさえ冷え込んでいる」と同氏は付け加えた。中国の今年1~7月の固定資産投資は、2025年同期と比べて6.7%減少している。昨年、中国では30年ぶりに年間投資額が減少した。

 

中国の債務対GDP比、20年間で2倍に

2025年、中国のマクロレバレッジ比率(債務残高の対GDP比)は初めて300%を超えた。

 

※2026年のデータは上半期(1~6月)のものである。
グラフ: The Epoch Times
出典: 国家金融与発展実験室(NIFD)
作成: Datawrapper
中国の債務対GDP比、20年間で2倍に(2026年6月時点)

 

市場の流動性を高めるため、中国人民銀行(中央銀行)は2027年1月15日までに、1兆4千億元(2千億ドル超)を国内経済に供給する。

サン氏と蔡氏はいずれも、この1兆4千億元の資金供給でも経済成長率が目標とする4.5~5%の範囲まで押し上げられなければ、中央銀行が成長を支えるため、市場にさらに資金を供給する可能性があるとみている。

しかし、北京当局は供給を増やすことには長けているものの、それが必ずしも需要の喚起につながるわけではない。中国の消費者物価指数(CPI)は7月、前月比で0.1%下落した。

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2024年10月19日、中国・北京にある中国人民銀行(中央銀行)の前を歩く人々。Adek Berry/AFP via Getty Images

世界銀行が7月に発表した報告書によると、北京当局の現在の財政支出は、既存の需要と供給の不均衡をさらに強めている。報告書の執筆者らは、重点分野への投資をさらに拡大し続けることは、短期的な成長を優先する代わりに、需給の不均衡を是正する機会を犠牲にすることになると指摘した。

こうしたことから、世界銀行は今年の中国経済の成長率を4.4%と予測しており、中国当局が掲げる成長目標をわずかに下回るとみている。

Terri Wu