イーロン・マスク SpaceX上場急騰で世界初の「兆万長者」に

2026/06/13
更新: 2026/06/13

投資家たちは、マスク氏が宇宙空間にデータセンターを建設し、火星に恒久的な人類居住地を築くとの見方に賭けている。

 

世界一の富豪イーロン・マスク氏が、SpaceXのウォール街デビューを受けて、早ければ6月12日の取引終了時点で、地球上初の兆万長者となった。

ロケット・衛星・人工知能(AI)の巨人である同社は、史上最大規模の新規株式公開(IPO)としてナスダックに上場した。

SpaceXとテスラの持ち株を合算した結果、マスク氏は兆万長者の地位に到達した。

寄り付き前、フォーブスはマスク氏の純資産を9810億ドルと推計していた。

マスク氏はすでに、次点の富豪たちとの差を大きく広げている。グーグルのラリー・ペイジ氏(2960億ドル)、同セルゲイ・ブリン氏(2730億ドル)、アマゾンのジェフ・ベゾス氏(2470億ドル)、オラクルのラリー・エリソン氏(2270億ドル)などがそれに続く。

マスク氏が壮大な構想を通じて他の事業で見せた成功を再現できるとの期待に投資家が賭けた結果、SpaceX株への旺盛な需要により、同社の時価総額は上場直後に2兆ドルへと達した。

マスク氏はもともと、ペイパルとZip2の設立に携わって資産を築き、その売却益をテスラへの投資とSpaceXの創業に充てた。テスラは電気自動車市場を変革し、2010年の上場以来株主に3万1000%のリターンをもたらした。SpaceXはロケットの再利用技術を確立したほか、ザ・ボーリング・カンパニーとニューラリンクも有望な事業として注目される。

今月初めに米証券取引委員会(SEC)に提出した届出書によれば、SpaceXは宇宙進出と人類の多惑星居住の実現を目指している。その第一歩として月と火星への展開を図り、新産業の創出を促す見通しだ。

「月に行きたい人、火星に行きたい人、太陽系のどこへでも、あるいは太陽系の外へも、行きたいと思う人なら誰でも連れて行けるようになりたい」

マスク氏は、同社の本拠地である南テキサスのスターベースで行われた上場記念セレモニーでそう述べた。

「いつかは、数人の宇宙飛行士だけでなく、あなた自身を連れて行きたい。文字通り、あなた自身を。この映像を見ているあなたが誰であれ、SpaceXはあなたを月へ、火星へ、そして最終的にはその先へ連れて行きたいと思っている」

さらにSpaceXは、データセンターを軌道上に打ち上げ、アンソロピックやオープンAIをAI競争で凌駕することも目指している。同社は今年2月、マスク氏のスタートアップであるxAIを買収した。

マスク・プレミアム

市場関係者によれば、こうしたビジョンこそが株価に「マスク・プレミアム」をもたらすという。

IPO目論見書は実質的に、すべてがこの起業家にかかっていることを示しており、それゆえ同社は議決権の85%をマスク氏に付与した。

また、マスク氏が持ち株を売却し、別の株主が支配権を握るに足る株式を取得した場合には「経営の方向性、経営陣、事業計画または方針に変更が生じる可能性があり」、業績に悪影響を及ぼしかねないとも明記されている。

累積赤字は410億ドルを超え、昨年の売上高は約200億ドルだった。同社は四半期業績に重点を置かない方針を示している。

こうした要因にもかかわらず、SpaceXは1兆7700億ドルという上場時の評価額を正当化しており、投資家は同社の将来性に期待を寄せている。

SpaceXの社長兼最高執行責任者グウィン・ショットウェル氏(演台中央右)が、SpaceXの幹部・社員とともに、2026年6月12日にニューヨークのナスダック・マーケットサイトでIPOを記念する始値の鐘を鳴らした(Timothy A. Clary / AFP via Getty Images)

「SpaceXは究極のグロース株だ」

ガベリ・ファンドのポートフォリオマネジャー、ジョン・ベルトン氏はエポックタイムズに送ったレポートの中でそう述べた。

「大きな成長の可能性を秘めた企業だと思う。長期的な成長の話になることは間違いなく、株式市場で株価が落ち着くまでには時間がかかるだろう。それでも、前途には多くの魅力的な機会がある」

現時点でSpaceXはマスク・プレミアムを背負っているかもしれないと同氏は指摘する。テスラも同様だが、テスラには長期的な収益力と潜在力も備わっている。

スターリンクがあることを考えれば、SpaceXにも同じことが当てはまる可能性がある。

「そのビジネスだけで非常に高い評価額がつく理由は容易に理解できる」とベルトン氏は述べた。

SpaceXの目論見書によれば、スターリンクは110億ドル超の収益を上げており、同社総収益の約61%を占めている。

最終的にはすべてがマスク氏次第となる。SpaceXとテスラはともに、同氏に破格の報酬パッケージを提示しているためだ。

テスラでは、2035年までに時価総額8兆5千億ドル達成、オプティマスロボット100万台販売、ロボタクシー100万台の商業展開といったマイルストーンを達成すれば、マスク氏は最大1兆ドルの報酬を得られる可能性がある。

SpaceXでは、時価総額7兆5千億ドル、火星への恒久的な人類居住地建設、宇宙空間のデータセンターによる100テラワット分のコンピューティング容量確保を達成すれば、1兆1千億ドルの報酬が見込まれる。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。