中国 きらびやかな夜景の裏で広がる失業と空き店舗

「こんな上海は見たことがない」 かつてない不況感に市民ため息

2026/05/11
更新: 2026/05/11

中国経済の失速が、ついに上海の街の空気まで変え始めている。

高層ビルの明かりやネオンは今も輝いている。しかし商業施設の中へ入ると、閉店した店が並び、人影も少ない。かつて「眠らない街」と呼ばれた上海で、静かな異変が広がっている。

上海で60年以上暮らす章鴻さん(仮名)は、本紙姉妹メディアNTD新唐人テレビの取材に対し、「こんな上海は初めてだ」と語った。

章さんが例に挙げたのは、地元で有名な大型商業施設「愛琴海ショッピングセンター」だった。以前は休日になると大勢の買い物客であふれ、どの店にも行列ができるほどのにぎわいだったという。

しかし現在は、多くの店が閉鎖状態になっている。

章さんは、「外から見ると派手なんです。夜もネオンは光っている。でも中へ入ると、本当に人がいない。営業している店も少ない」と話した。

上海駅周辺でも状況は似ているという。

中国有数の利用者数を誇る上海駅の地下通路は、以前は人がぶつかりそうになるほど混雑していた。しかし今は、並んでいた店舗のほとんどが閉まり、人通りも大幅に減った。

章さんは、「10店あったら、今は9店閉まっている。前は人でいっぱいだったのに、今はガラガラです」と、街の変化を語った。

上海市民の間では、「人が消えた」「街に勢いがなくなった」という声も広がっている。

不況の波は、オフィス街にも及んでいる。

NTDの取材に応じた上海でIT業界に勤めていた孫暁さん(仮名)は、2025年に失業し、その後8か月間仕事が見つからなかったという。周囲でも、大手IT企業を含めてリストラが相次いでいる。

孫さんは本紙に対し、「以前の上海では、IT関係の人が長い間失業するなんて考えられなかった。でも今は違う。本当に仕事がない」と話した。

さらに住宅価格も大きく下落している。孫さんによれば、古い集合住宅では4割から5割近く値下がりした地域もあるという。

中国当局は景気回復を強調しているが、現地の人々が感じている空気はまったく異なっている。

豪華な夜景の下で、閉店した店の暗いガラスだけが並ぶ。上海では今、「表向きの繁栄」と「市民が感じる不況」の落差が、かつてなく広がっている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!