中国経済の減速で、飲食業界が深刻な打撃を受けている。かつて富裕層の象徴だった五星級ホテルでさえ生き残りをかけ、屋台販売に続き「シェフ出張サービス」に乗り出す事態となっている。
浙江省のある有名ホテルは、料理長とスタッフを客宅に派遣する「料理長の出張宴会」を開始。食材提供から調理、配膳、片付けまでを一括で行う仕組みで、料金は1800元から3999元(約3万7千円〜8万2千円)と幅広いプランを用意している。西安市の高級ホテルも同様に、誕生日会や商談などを想定した「シェフ出張宴会(食卓の準備から後片付けまで)」を打ち出した。
こうした背景には「消費の格下げ」がある。庶民は高額な宴会場を避け、家庭や小規模な集まりへと切り替えている。そこに中国当局の「禁酒令」が重なり、宴会需要は一層冷え込んだ。追い詰められた星付きホテルが参入したことで、もともと乱立していた「出張料理」市場の競争はさらに激化している。
かつて贅沢の象徴だった五星級ホテルが、街頭や家庭にまで出張して食を売り込む姿は、経済失速の象徴そのものである。

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