トランプ米大統領は3月25日、不法移民や外国人による連邦選挙への投票を防止し、選挙日の厳格な順守を州に求める大統領令に署名した。選挙制度の透明性向上を狙った措置である。
この命令ではまた、選挙日以降に到着した投票用紙を集計に含めた州に対し、アメリカ司法長官が法的措置を講じるよう指示している。
署名時、トランプ氏は「選挙不正。聞いたことがあるだろう? この大統領令で終わらせたい」と語り、「大差で勝ったのだから不満を言うべきではないと考える人もいるかもしれないが、我々の選挙制度は正さなければならない」と強調した。
外国人投票の排除と市民権確認の強化
今回の大統領令は、連邦選挙での外国人投票を禁じた法律の厳格な適用を命じており、選挙支援委員会(EAC)に、有権者登録の郵送フォームで市民権の証明書類の提出を義務化するよう指示している。証明手段にはパスポートなどが含まれる。
EACは2002年に設立した連邦機関で、州や地方の選挙運営を支援している。
ドナルド・パーマー委員は「大統領令の内容を精査し、州および連邦選挙の有権者登録制度の透明性向上に向けた対応を検討している。今後は州や地方の選挙当局と協議を進める予定だ」とコメントした。
情報連携による不正対策
大統領令はまた、ノーム国土安全保障長官、ルビオ国務長官、社会保障庁などに対し、有権者の国籍や社会保障番号の確認に必要な情報を州・地方政府と共有する体制の整備を命じた。
各州の有権者名簿と連邦の移民データベースを照合する作業も進められる。命令から90日以内に、国土安全保障長官は、移民申請の過程で「投票した」「登録した」と申告した外国人の情報を司法長官に報告することが求められている。
さらに、国土安全保障省と政府効率化省は、各州が公開している有権者名簿を精査し、連邦の移民データベースと照合することしている。
命令から90日以内に、ノーム長官は、移民手続きの書類で「アメリカの選挙で登録または投票した」と申告した外国人すべてに関する情報を、ボンディ司法長官に報告するよう求めている。
選挙法
大統領令では、連邦法が定める統一選挙日の厳守も明記した。選挙日以降に届いた不在者投票や郵便投票を最終集計に含めた州に対し、司法長官は必要な措置を講じて法律を厳格に適用するよう命じている。
EACには、これらの法令に従わない州への資金提供停止も命じられた。
トランプ政権による過去の大統領令の一部は、司法判断が無効化した経緯がある。今回の命令では、一部の条項が無効とされた場合でも他の条項に影響を及ぼさないとする条項が盛り込まれており、法的な対立を見据えた内容となっている。
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