イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省（DOGE）は5月末までに1兆ドルの政府支出削減を目指すと発表した。マスク氏は任務完了後、政府職を辞しトランプ大統領から「離れる」計画を明かした。この大胆な改革は支持と批判を呼び、アメリカ政治に大きな波紋を広げている。

3月27日、イーロン・マスク氏は「政府効率化省」（DOGE）の主要メンバー7人を率いて初めて公の場に登場し、フォックスニュースのインタビューを受けた。この謎の部門の実態を明かすのは、トランプ大統領の委託を受けて以来初めてである。

マスク氏は自信に満ちた表情で、DOGEの任務がまもなく完了し、5月末までに1兆ドルの政府支出を削減する見込みであると宣言した。任務終了後はワシントンを去り、政府職を辞してトランプ大統領から「離れる」計画だと述べた。彼はこの改革を「アメリカ独立戦争以来最大の革命」とし、最終的にはアメリカがより良くなると強調した。

マスク氏は、130日以内に1兆ドルの削減目標を達成できると自信を示し、彼のチームが「週7日、1日平均40億ドルを節約している」と説明した。3月24日現在、DOGEは人員削減や資産売却、契約取り消しなどを通じて、アメリカの納税者に1150億ドルの節約をもたらしたとしている。

しかし、予算の専門家は、「社会保障」（Social Security）などの社会福祉費を削減しなければ、マスク氏が1兆ドルの節約目標を達成するのは難しいと指摘している。一方、トランプ大統領は「社会保障」を絶対に削減しないと誓っていた。

マスク氏は、支出削減の目標を必ず達成すると強調した。「この行動が成功すれば、アメリカという船は沈まない。これが我々がこれを行う理由である」と述べている。

マスク氏はインタビューで、DOGEチームがほぼすべての連邦機関に介入し、プロセスの合理化とAI駆動の監視を通じて無駄や不正行為を特定し排除したと明かした。

ロイター通信によると彼は、この削減計画は「重要な政府サービスに影響を与えない」と強調し、「政府の運営は非効率で、多くの無駄と腐敗がある。だから我々は、重要な政府サービスに影響を与えることなく、15%の支出を削減できると確信している」と述べた。

このインタビューは、トランプ大統領のコスト削減計画の内幕を示したが、マスク氏はこの改革の急速な推進が代償を伴うことも認めた。

このテック業界の巨人の大きな野心には、巨大な圧力がかかっている。マスク氏は3月24日のホワイトハウス閣僚会議で、DOGEが毎日死亡脅迫を受けていることを明かし、改革の困難さを嘆いた。同時に、DOGE職員の個人情報が漏洩し、状況はさらに緊迫した。

さらに、マスク氏のビジネス帝国も世間の怒りを免れなかった。最近、アメリカ各地でテスラの車両や施設が相次いで破壊や放火の被害に遭い、シアトルのCybertrucksの火災やボストン近郊の充電ステーションの破壊など、これらの事件は彼の政府改革への参加による論争と関連していると見られている。

テスラの株価は、マスク氏がトランプ政権に加わって以来、継続的に下落し、3月24日には15%以上の暴落を記録した。マスク氏は「Fox Business」のインタビューで苦笑しながら、「他の事業を経営する上では確かに困難は山積みだが、この道を引き返すことはない」と語った。これらの圧力ではマスク氏の決意は揺るがないようで、DOGEの使命を全力で完遂すると強調している。

いずれにせよ、マスク氏のこの「革命」はアメリカ政府に大きな影響を与え、支持者と反対者の間で激しい論争を引き起こしている。反対者は、大幅な削減が重要な公共サービスの弱体化につながると懸念しているが、支持者はDOGEは官僚主義に対する必要な改革であり、トランプ大統領の選挙公約である政府の無駄削減を実現したと信じている。

インタビューの最後に彼は「我々は速く進んでいるので、間違いを犯すこともあるが、迅速に修正する。これが革命の代償である」と述べた。5月末の期限が迫る中、DOGEの成否とマスク氏の次の一手は、世界中の注目を集めるだろう。