アメリカ国防総省が在日米軍の強化計画を中止する可能性があることが、CNNやNBCの報道により明らかになった。この計画中止は、ドナルド・トランプ大統領の政権下で進められている連邦政府の歳出削減の一環として検討されている。中止が実現すれば、インド太平洋地域における安全保障体制に重大な影響を及ぼす可能性がある。
計画中止の背景と目的
報道によれば、この計画中止により約11億ドル(約1650億円)の予算削減が見込まれている。これは、在日米軍の指揮・統制機能の強化や人員増加にかかる費用を削減するためだ。国防総省は同時に、欧州軍とアフリカ軍の統合、北米および南米地域の軍事指揮系統の集約など、世界規模での米軍再編も検討しているという。
この動きは、トランプ政権が掲げる「連邦政府規模縮小」の方針に沿ったものである。一方で、この決定が実行されれば、日本を含む同盟国との防衛協力体制に悪影響を及ぼすとの懸念も高まっている。
バイデン前政権との対比
ジョー・バイデン前政権下では、在日米軍と日本自衛隊との連携強化が進められていた。特に指揮・統制機能の近代化や共同作戦能力の向上を目指し、「統合軍司令部」の設立が計画されていた。しかし、今回の計画見直しにより、これらの取り組みが後退する可能性がある。
国内外で広がる懸念
この動きに対し、アメリカ国内では議会からも反発が出ている。下院軍事委員会のマイク・ロジャース委員長(共和党)と上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長(同)は共同声明を発表し、「議会との協議なしに戦闘態勢を大幅に変更することは受け入れられない」と批判した。また、「米国が海外でリーダーシップを継続することを支持する」と強調している。
一方、日本国内でも不安が広がっている。在日米軍は、中国や北朝鮮からの脅威に対する抑止力として重要な役割を果たしており、その存在は日本だけでなくインド太平洋地域全体の安定にも寄与している。今回の報道を受け、日本政府はアメリカ側と緊密な協議を行う必要に迫られるだろう。
今後の展望
トランプ政権によるこの決定はまだ検討段階にあるものの、実行されれば日米同盟や地域安全保障体制への影響は避けられない。中国共産党政権や北朝鮮、ロシアによる挑発行動が続く中で、このような動きは同盟国間の信頼関係にも波紋を広げる可能性がある。
3月初旬には、中谷防衛相は4月上旬にヘグセス米国防長官と初の対面での会談に臨む方針が伝えられていた。今後、アメリカ議会や日本政府との調整がどのように進むか注目される。
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