「うちの中学3年生の娘は、朝5時半に起き、夜12時に寝る。1日中学校にいて、帰宅しても宿題漬け、寝る直前まで宿題をしている」――保護者より
中国の多くの地域では、中学生は朝7時~夜11時まで勉強し2週間に1日休む。1週間の平均学習時間は100時間以上だ。
「子供たちの身体的健康を害しているだけでなく、メンタルの健康も害している」
「世界一愚か」
「非人道的」
「子供の健全な育成ができない」
などの罵声が絶えない悪名高き中国の学校教育制度。
昔から「勉強漬け」「授業間の休み時間が短すぎて生徒がトイレに行く時間もない」といったことが指摘されてきた。
あまりに管理主義的で、生徒が窒息しそうな環境である中国の学校では、最近生徒の自殺者が増えたため、学校校舎に「落下(自殺)防止用」の金網や鉄格子が設置されているところも増えてきている。
中国の学校の実態について、動画の画面越しに見ているだけでも、窒息しそうになるほどの苦しさを覚える。そんな「檻の中」で日々を暮らすのが、中国の子供たちなのだ。
この子たちに、どれほど明るい未来があるのだろうか。過酷な受験競争を経て、著名な大学を卒業しても「いきなり失業」という過酷な運命が待っているのが、今の中国である。
自殺生徒が多すぎてついに「テスト中止」に
湖北省武漢市の小中学校ではこの頃、生徒の飛び降り自殺が頻繁に起こっている。
複数の情報筋によると、武漢市では9月以降、少なくとも30人の小中学生が学校や自宅で飛び降り自殺した。
この非常事態に多くの学校で予定していた試験の中止、学生に出す宿題も大幅に減らす、あるいは宿題を一切出さない、成績表を出さない、成績ランキングを公表しないなどの対策がとられていることが関係者への取材でわかった。
「テストの中止や宿題激減の結果は、子供たちが(自殺して)命と引き換えに勝ち取ったもの」と保護者たちは嘆いている。
相次ぐ生徒自殺の事態に、市内の全学校では保護者会議を開き、「子供に対する心理的なケアの強化」求めている。
実態
12月3日、エポックタイムズの取材に応じた武漢市の教職員によると、「10月8日の1日だけで市内で小学生2人、中学生6人がビルから飛び降りている」
「ほかにも多くの子供が飛び降りていると聞いているが、具体的に何人かは自分はそこまでは把握していない。今では予定されていた中間試験は中止になり、学校は家庭訪問をし、保護者会を開くなどして対策に追われている。また、(以前のように)成績については決して言及しないのが方針だ」という。
12月1日、エポックタイムズの取材に応じた武漢市の中学校3年生の楊さんは次のように明かし、一学生としての苦痛を訴えた。
「先生から聞いた話では、武漢市第三中学校では成績が発表された翌日に1人飛び降り、そのさらに翌日にまた1人飛び降り、その次の日もさらに1人飛び降りている」
「その結果、今は先生が、週末用の宿題を出す勇気がなくなったみたい。『家に帰ってテレビでも見て、リラックスしてね』と言われた」
「多大なプレッシャーを受けている校長先生に至っては心が折れそうになっているよ」
「他の学校でも自殺が起きているようだが、その学校が情報を封鎖をしているため、外部はその件をあまり知らないんだ」
「自分も、もし親からあまりに多くのプレッシャーをかけられたのならば、自分もどうなるかわからない」
「一部の受験が命の親は、学生本人より焦っていて、それに学生は、消耗して本当に疲れている」
「一部学校では週末にまで補習させられる、親も親で子に必要以上の期待をかけてくるからプレッシャーに耐えきれずに、学生は飛び降りるんだ」
中国当局は2021年7月、宿題を減らし、塾などを禁じた「双減」政策を施行している。
これについて、「国の『双減』政策で塾に行けなくなったのに、実際のテストの難易度はちっとも下がっていない、私たち学生は、より苦しくなっている」と楊さんはいう。
(中国のある高校生のカバンのなか)
中国の自殺者は1日平均千人以上?
中国のポータルサイト大手「ネットイース(網易)」に掲載された文章によると、今年上半期の中国の自殺者数は、23万人で1日平均千人以上という計算になる。
もちろん、「政治的に恥になるようなことは公表しない」ことを伝統に持つ中国当局の公式統計が信用できないことは常識である。
公式データですら半年23万人となると、統計に含まれなかった実際の数はもっと多いと思われる。
(「落下防止用」の鉄格子が設置されている中国の学校)
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