社会問題 河か、それとも「病院」か? 監視大国で失踪者はなぜ見つからない?

中国甘粛省「忽然と消えた同じ村の少年4人」 村総出の捜索でも見つからず1週間経つ

2024/08/01
更新: 2024/08/02

7月31日、中国の村で同じ日に一斉に失踪した少年4人に関する情報提供を求める「尋ね人広告」が物議を醸した。

少年たちの年齢はいずれも12~14歳、全員同じ村(甘粛省蘭州市永登県河橋鎮馬蓮灘村)の出身で、7月25日から行方不明になっており、今も見つかっていない。

「毎日、数十人態勢で捜索を行い、ネットカフェなど少年たちが行きそうなところはくまなく探し尽くしても見つからない」という。

少年の家族によると、少年たちは失踪当時、全員携帯電話や身分証、財布を持っていなかったという。そのため、遠出はできないはずだと、大人は判断している。

「失踪した少年たちは25日、村の近くの河で泳ぐ約束をしていた」

「現地の河のほとりで失踪した少年のうちの1人の腕時計が見つかった」

と現地当局は発表しており、「河でおぼれた可能性」を示唆している。しかし、中国の現地政府の公式発表を鵜呑みにする市民はもうほとんどいない。

民衆はSNSなどで、

「河でおぼれたのでは」と心配する声のほか、

「臓器移植をしている病院を探したほうが早い」といったゾッとするコメントも多く寄せられている。

監視大国で失踪者はなぜ見つからない?

ある日突然、理由もなく人が消える。近年、中国のSNS上には、失踪した人に関する情報提供を呼びかける通知があふれている。

中国では年間800万人が行方不明者となり、その背後には強制的な臓器摘出の疑いが指摘されている。

失踪者は、子供に限らず、中高生や大学生、さらには働き盛りの青年から壮年期の世代までと、非常に幅がある。

「中国は防犯カメラで埋め尽くされた監視大国。それなのに、なぜ我が子は見つからないのか?」いぶかしがる声が、家族の悲痛な叫びとともに広がっている。

通常の場合、反体制派の人物や民主活動家、あるいは地方政府の不正を中央に訴える陳情者であれば、どこにいようと中国の警察は即時に居場所を特定できる。

つまり、捜査当局が本気であれば、監視カメラが無数に設置され、市民の通信を完全に傍受している監視大国の中国で、1人の失踪者を探し出すのは決して難しいことではない。しかし、失踪者が遺体になってからは別として、無事に発見されるケースは極めて少ないのが現状だ。

「中国の失踪者と臓器移植との関連」について、在米の人権弁護士・呉紹平氏は米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、次のように指摘している。

「中国では、失踪者が毎年百万人を超えている。そのなかで、臓器狩り(強制臓器収奪)に関連するケースは少なくないだろう。しかし、当局がそれを公にすることはない。なぜならば、その背後には巨大な利益が絡んでいるからだ」

 

街中で「尋ね人」の看板を掲げ、横断幕を広げて、失踪した我が子の捜索協力を呼びかける親たち。地面いっぱいに並ぶのは、失踪児童の写真である(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!