北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を前にリトアニアは5日、中国の圧力に屈せず、台湾との協力を優先事項に挙げた「インド太平洋戦略」を策定した。
バルト三国の一つであるリトアニアは、最大の脅威であるロシアと連携を強める中国への警戒感を示すとともに、「インド太平洋の経済的・地政学的な影響が増している」として、日、韓、豪などが関係強化することの重要性を強調した。
台湾と近い関係にあり、日本にとっても心強いパートナーであるリトアニアは、かつてのソ連時代に、共産党政権に支配されるという過酷な経験をもつ。ロシアに協力的なベラルーシと国境を接していることもあり、ロシアによるクリミア併合以降、国防軍を強化させてきた。
またリトアニアは、ロシアと関係を強化する中国に対する警戒を強める一方、台湾との関係を深めたことで中国から制裁を受けてきた。
昨年11月、大使館に相当する「台湾代表処」がリトアニアの首都ビリニュスに設置された。これは欧州初の開設となる。
それも「台北」ではなく、あえて「台湾」の名称を使用したため、中国は台湾を独立国家とみなす動きとして猛反発。リトアニアとの外交関係を格下げしたり、リトアニア産牛肉の輸入を停止するといった露骨な報復措置を取ってきた。
東京の麻布十番駅から徒歩約15分の高台にある「リトアニア大使館」では、自国旗や欧州連合(EU)の旗のほか、ウクライナ侵略が始まった時からウクライナ国旗を掲げている。オーレリウス・ジーカス駐日大使は、「ウクライナが勝利するまで、ウクライナ国旗を揚げる」としている。
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