先月31日、中国の天津市津南区で突然、広範囲にわたる地盤沈下が発生。6日時点で約4000人が避難したことがわかった。中国メディアなどが報じた。
地盤沈下を起こした地域の道路には大きな亀裂が生じている。建物が傾いたことで、壁にも亀裂が見られた。地盤沈下が起きている団地の入居者は、ホテルなどでの仮住まいや転居を余儀なくされている。
分析を行った中国の専門家は「短期間で、これほど大規模な地盤沈下が発生するのは、中国の内外を問わず、非常に珍しいことだ」と驚きを見せている。
専門家は「地熱井(じねつせい)の掘削が深層の地質構造に影響を与えた可能性もある」と指摘しているが、今回の地盤沈下の原因については、まだ明らかになっていない。「地熱井」は、地下の地熱資源を小規模発電などに活用することを目的として、縦に掘削する坑のこと。
「何もわからない」住民 「何もしない」地元当局
いずれにしても、この大規模地盤沈下で我が家を失った大勢の市民の不安と怒りは、地元当局による「不作為」や、あまりにも乱暴な「安定維持」などが火に油を注いだこともあり、一気に高まっている。
SNS上には、団地の入居者らと、現場で「安定維持」を施行する警官隊の間で激しい衝突を起こしている場面の動画などが拡散されている。
また、別の動画では、長い会議テーブルがある役所の室内で、押し掛けた大勢の市民が、席に座っている「役所の幹部」を囲んで立っている。市民のリーダー格のような男性が、こう詰め寄った。
「(地盤沈下の)発生から、もう9日経った。当局の公告には、一連の措置をとったと書いてあったが、例えば、どんな措置をとったというのか?」
当局の「不作為」つまり言葉を弄するだけで、実際の住民支援などは何もやっていないことに、ついに痺れを切らしたのか、男性はさらに問いかけた。
「ビルの傾斜やヒビ割れの程度が、どれほどのものか」「それは直すのか、そもそも直せるものなのか」「発生原因は?今後の対応や措置は?解決期限は?」
室内にいる大勢の住民は、当局から何も知らされていないという意味で「わからない」と口々に答える。
男性が「そうだ、何もかもわからない。わかっているのは我われの住所だけだ」と皮肉交じりに言うと、住民から笑い声が上がった。
男性はさらに「ホテルに泊まるしかない私たちはよく寝れない。(ストレスで)鼻血を出す子供もいる」と住民が置かれた厳しい現実をも口にした。
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