12日、中国の人権問題を非難する国会決議の早期成立を求める記者会見が衆議院議員会館で行われた。中国共産党によって弾圧されている民族や団体の代表が多数参加し、詰めかけた報道陣に対し現状を訴えた。そして一日も早く国会決議を全会一致で成立することを求める声明文を発表した。
今なお続く中国共産党による人権弾圧
中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)の根本敬夫氏は、中国の違法な臓器移植の最大の犠牲者は法輪功学習者であると述べた。「(臓器狩りについては)昔から証言もある。2013年の欧州議会、2016年米下院で343決議が全会一致で可決した。民主国家が証拠を認めて決議を行い、中国に対し臓器狩りの停止を求めた。証拠がないのにアメリカ下院議員が満場一致で認めることはあり得ないのではないか」。
また、法輪功学習者に対する臓器狩りは過去のものだ、という意見についても、「2019年、ロンドンの民衆法廷は、現在中国本土では強制的臓器移植が相当な規模で行われており、最大規模の被害者は法輪功学習者だ、との裁定がなされた」と反論した。
在日香港人のウィリアム・リー氏は、日本はG7諸国の中で唯一対中制裁を課していない国であり、「マグニツキー法」がない日本にはそもそも制裁ができないと指摘した。そして、諸外国では先に国会決議があり、その後立法にこぎつけたという流れがあるため、日本ではまず国会決議を出すことが必須だと述べた。
民主活動家の王戴氏は、「中国国内の諸問題の本丸は中国共産党である。世界の独裁政権の裏にはたいてい中国共産党の影がある」と強調した。そして「中国のことを他人事と考えてはいけない。みな当事者である」と述べた。
チベット代表の小原カルデン氏は、中国共産党によってチベットの寺院が破壊され、僧侶が死亡していると語った。日本ウイグル協会の于田ケリム氏は、日本政府が発する「深刻な懸念」という言葉を中国は全く気にしていないと述べ、米国のように制裁を課すべきだと主張した。
評論家・西村幸祐氏「日本メディアはバイアスがある」
評論家の西村幸祐氏は、国会議員が中国の人権状況を非難する決議を出そうと動いているなか、「色々な団体が集まって共同で声明を出すことは非常に有力で、議員にインパクトを与えることができる」と述べた。
では欧米諸国と比して、日本で人権決議や人権法案を推進するのが難しいのはなぜか。西村氏は「日本は侵略されているから」ときっぱり答えた。「日本は実際に香港みたいになっていないが、構造的には同じだと思う。特にメディアがそうなっている」。
記者会見では法輪功に対する迫害も取り上げられた。1999年から大規模な人権弾圧が行われているにも関わらず、日本のメディアはめったに取り上げない。この問題について西村氏は「メディアバイアスがあり、触れるものと触れないものを(メディアが)はっきり分けている。臓器移植の問題にしても、ヨーロッパやアメリカ、カナダでは当たり前のように報じているし、国会決議を行っている。日本の場合は中共の影響を受けすぎている」と語った。そして、中国共産党こそがバイアスの根源であるとの認識を示した。
自由インド太平洋連盟副会長・石井英俊氏「日本は国家の意志を示さないといけない」
自由インド太平洋連盟で副会長兼日本代表を務める石井英俊氏は、中国共産党の脅威に対抗するためには「日本が国家の意志を示さないといけない」と強調した。そして共産党のイデオロギーそのものが多くの人々を不幸にしていると述べた。
そのうえで、日本の国会が決議案を成立させ、中国共産党の一党独裁体制と人権弾圧にノーを突きつけることが重要であると述べた。
SMGネットワーク・根本敬夫氏「法輪功学習者に対する臓器狩りは終わっていない」
中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)の根本敬夫氏は、中国では法輪功に対する迫害はいまだ行われていると述べた。「(調査により)若い人の、場合によっては15歳から20歳の人の臓器があることが明らかになった。執刀医の名前も分かっている」。そのため、法輪功学習者に対する臓器狩りは終わっていないという認識で頑張らないといけないと根本氏は強調した。
そして、NHKのBS1は法輪功学習者に対する迫害を描いたドキュメンタリー映画「馬三家からの手紙」を放映するなどしたが、法輪功迫害に対する一般人の認識はまだ低いと根本氏は語った。「一般のテレビやラジオ、新聞が報道しなければならない」とし、「国会での決議がその第一歩になるのではないか」と述べた。
(王文亮・蘇文悦)
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