バイデン政権はトランプ政権の政策を覆し、19日にパリ協定に再加入した。これを受けて専門家らは、中国はこれを利用して米国を弱体化させる恐れがあると警告した。
パリ協定では、先進国は発展途上国に対して2025年まで毎年約1000億ドルの援助を行うことになっている。発展途上国のエネルギー構造の改善、技術の開発と移転を支援するためだ。また、中国は2030年に炭素排出量のピークに達することを約束した。つまり、2030年までは無制限に排出していいということだ。
アメリカ・カトリック大学の機械工学教授で元学部長でもあるセン・ニエ(Sen Nieh)教授は大紀元香港版に対して、中国共産党にとってパリ協定は「一石四鳥」のようなものだと述べた。
パリ協定を通して、中国共産党は資金支援を得られ、2030年まで炭素排出量を増加させることができ、環境にやさしい「先進国」のイメージを世界で確立し、米国を打ち負かすことができる。
これは、パリ協定は先進国と途上国に異なる責任を与えているからだとニエ教授は考える。中国は「途上国」として、気候協定で多くの利益を享受してきた。
ニエ教授は、これまでの過ちを正し、気候問題に取り組むために直ちに行動を起こすべきだと述べた。「中国共産党は、2030年に炭素排出量のピークに達してから削減すればいいことになっている。これは、泥棒が『10年間盗みを続けた後、2060年まで毎年徐々に盗みを減らす』と言っているようなものだ」
ニエ教授はまた、協定を結ぶ事によって環境問題を解決出来るとはかぎらないと指摘した。「実際、中国共産党の約束には何の価値もない。炭素削減は必ずしも環境保護を意味するわけではない」とニエ教授は説明する。
中国共産党は2060年までに「カーボンニュートラル」(二酸化炭素排出実質ゼロ)を達成することを約束しており、一見環境保護に貢献しているように見える。このように概念が混乱しているため、中国共産党は中国を世界最大の環境汚染国にしたにもかかわらず、世界から「環境保護国」だと思われているとニエ教授は話す。
中国共産党は世界を汚染しているが賞賛を得ている
中国共産党は、1997年の京都議定書や2015年のパリ協定など、世界的な気候会議に積極的に参加している。中国共産党の機関紙である人民日報は、「中国はパリ協定に歴史的な貢献をし、大国としての責任を示した」と報道している。
中国国営メディアはまた、中国共産党の気候問題への取り組みに対する国際社会の支持を報道している。チャイナ・デーリーの報道によると、国連環境計画のエリック・ソルハイム事務局長は2018年、「中国は環境保護において世界をリードしており、世界の国々の非常に良い模範となっている」と述べた。新華社が2018年に報じたところによると、ゴア元米副大統領は、中国の気候変動対策のリーダーシップを賞賛し、「中国はパリ協定の目標達成へ順調に進んでいる数少ない国の一つだ」と評価した。
実際、中国共産党の二酸化炭素排出量は過去20年で急増し、今では世界最大の二酸化炭素排出国となり、世界の排出量の1/3近くを占めている。
ブラジルの米国大使館のウェブサイトに公開された「中国の環境汚染の事実一覧表」によると、中国は2006年以降ずっと世界最大の温室効果ガス排出国であり、その総排出量は米国の2倍にのぼる。「中国のエネルギー関連の排出量は、2005から2019年の間に80%以上増加したが、米国は同時期で15%以上減少した。2019年だけで中国のエネルギー関連の二酸化炭素排出量は3%以上増加したが、米国は2%減少した」
「中国共産党は話すことはいいが、実際の行動に欠ける。一方、アメリカは2017年にパリ協定から離脱したものの、炭素排出量の削減には大きな成果をあげている」とニエ教授は言う。
トランプ前大統領は就任直後、パリ協定は「他国の独占的利益のために米国を不利にする」と話し、中国の温室効果ガス排出量に甘すぎると批判した。同政権は2019年にパリ協定から正式に脱退した。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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