中国企業が、ヒラリー・クリントン氏の私用メールのほぼすべてを、ヒラリー氏の送受信と同時に入手するハッキングを行なっていたという。米政府関係者と元諜報員の話を、ウェブメディアが8月28日に報じた。
英字ウェブメディア「デイリー・コーラー」に語った匿名の政府職員の1人によると、クリントン氏の電子メールは、サーバに組み込まれたコードにより、添付ファイルを含めてリアルタイムに在米の中国企業に送信されていた。
フォックス・ニュースは29日、関係筋の取材から、この中国企業が中国政府の諜報役を担っていると報じた。
報道を受けて、トランプ大統領は同日ツイートし、「中国はヒラリー・クリントンの私用メール・サーバーをハックしたとの報告。ロシアではないことが明らかになった。(冗談だろう?)FBIと司法省は優先するべきではないか?実際、非常に大きな話だ、多くの機密情報がある!」と驚きを隠せない様子だ。
中国外務省の華春瑩報道官は同日「この種の疑惑は、初めて聞いた訳ではない」「中国はサイバー安全保障に尽力しており、いかなる形のインターネット攻撃や秘密盗用にも断固として反対し、取り締まる」と述べ、メールハッキングと中国関与の報道を否定した。
7月12日の米議会で発言したルイ・ゴーメット議員(テキサス州・共和党)によると、米政府機関・諜報交流調査庁(ICIG)はクリントン氏の電子メールのほとんどが「外国企業」に送られていると確認しているという。
ゴーメット議員は、「外国企業」の詳細を語らなかったが、ロシアとは無関係であると述べた。また、ICIG調査官ら2人は、FBI関係者に対して、中国側の侵入に繰り返し警告したという。にもかかわらず、当時のFBIベテラン諜報官でロシア介入疑惑捜査担当ピーター・ストラック氏は、ICIGが提供した情報を深刻に受けることもなく、クリントン氏に警告したという報告もないと述べた。
ストラック氏は2016年大統領選挙期間に、同僚で愛人のリサ・ページ弁護士に対して、トランプ氏のことを「バカ」「(大統領になるのを)我々は止める」と批判的な意見を送っていたことが発覚し、FBIは8月に同氏を免職した。
デイリー・コーラーに語った元諜報員によると、ICIGは2015年頃からハッキングの可能性を指摘していたという。ICIGが深く調査したところ、ヒラリー氏の電子メールの最上部と最下部には装飾が付けられているが、そのなかにメールのコピーデータを中国企業へ送信する仕組みがあった。
「ICIGは、ある程度のフィッシングがあったと考えている。中国側がこのような工作をするのは有名だ」。この元諜報員は「トカゲのしっぽ切り」になる可能性があるとして、企業の名前を明らかにすることを避けた。
デイリー・コーラーに語った別の政府職員によると、このハッキング問題には、ワシントンのヴァージニア北部郊外にある中国国営企業が関連していると語った。その企業は、中国政府のための諜報役を果たすとされる。さらに、技術系企業ではなく「中国政府の(諜報の)前線組織だ」と述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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