タバコを止めようと思いたち、私の診療所を訪れる患者の85パーセント以上が治療によって禁煙に成功しています。これは完全に、私の優れた医療技術と彼らの固い決意の賜物でしょうか?いいえ、それだけではありません。
2021/05/21
10数年前、私がアメリカの漢方医学院で漢方の修士課程を習得した時、クラスの生徒30人余りの中で、中国人は2、3人しかいませんでした。卒業した後、免許を取るための試験の時でさえ、中国人はきわめて少数派でした。
2021/05/20
人は長年、仕事をしていく上で、様々な過程と段階を経ながら、徐々に経験を積んでいきます。もっとも厄介な時期は、知識と経験が中途半端な、いわゆる「コップ半分」の状態です。
2021/05/19
昔の人は養生の道(どう)を理解しています。養生は生命の自己管理法であり、芸術でもあります。
2021/05/18
世の中に病気の原因は数多くありますが、治療法は限られたものしかありません。現代人の病は様々であり、生理的、心理的、あるいは環境から引き起こされたものがあり、本当に多種多様といえます。
2021/05/17
フェルナンド医師は患者さんたちから尊敬されているホームドクターで、私と同じ診療所に勤めています。私たちはよく漢方医学と西洋医学の異なる治療法を互いに検討しながら、おのおのの持つ良い点を取り入れて欠点を補い合っています。
2021/05/16
「長い間ずっと頭痛に悩まされています…。漢方で何か良い治療法はないですか」とよく聞かれます。そんな時、私はいつも「何が原因で頭痛を引き起こしているのでしょうか。どの部位がどのように痛いのですか、それはいつからですか?」と問い返します。
2021/05/15
中国では昔から「仙人になるより、よく眠れる秘法を探したい」という諺があります。睡眠がいかに大切かをもの語っています。
2021/05/14
私と長年の付き合いがあるルーシーは、少しでも体の調子が悪いと、私の診療所を訪れて漢方の治療を受けていました。彼女の家族も漢方医を信頼していて、どこか調子が悪いところがあればまず漢方薬の処方と鍼灸にかかるので、私は彼女の生活状況などが徐々に分かってきました。
2021/05/13
人間は意志が強くなければ、何かに依存しやすいものです。最初はよいものだと思い、少なくとも悪いものだとは思っていなかったのですが、いったん引っかかると、やめようとしてもやめられなくなります。
2021/05/12
「医学の父」と呼ばれる古代ギリシャの医学家・ヒポクラテス(紀元前377年~460年)が書いた『ヒポクラテスの誓い』は西洋医学史の中でも有名な医者の倫理に関する文章で、『ヒポクラテス全集』に収録されています。米国の医学部生は卒業後、医療の道に進むにあたり、この『ヒポクラテスの誓い』に沿ってどのように道徳理念と人道主義を守るのか、という誓いの言葉を書かなければなりません。
2021/05/11
私の診療所に通っている患者のジェンさんはある日、「持っているピアノを売りたいので、買ってもらえませんか。あなたがこのピアノを見る前に、決して売りはしません」と私に言いました。私は特にピアノを必要としていなかったので、ずっと見に行かなかったのですが、ジェンさんはくり返しこの話を持ち出してきました。
2021/05/10
ジャックは弁護士です。初めて私の診療所に来た時、彼の表情は患者というよりも、むしろ裁判官といったほうが適切でした。
2021/05/09
マルクは私の良い友達です。私が困難に遭った時、彼はよく助けの手を差し伸べてくれました。
ある日、彼の余命が短いということを知らされました。彼は脳の末期ガンで、命はあと一週間ほどだといいます。生命維持装置は全部外され、生命の「明かり」が自然に消えるのを待っている状態でした。友人たちは彼の最期を見守るために病院に駆けつけ、親族は涙を流して彼に別れを告げました。
2021/05/08
彼はすでにこの世を去りましたが、彼の顔、声、彼と交わした会話は、よく私の記憶の中に蘇ります。
2021/05/07
ボビーは煉功と座禅を始めました。どのように煉功して、どんなことをするのか、ボビーは師から受けた注意を守り、誰にも教えません。しかし、暫くすると、「座禅する時、もし良くない物や光景を見たら、どう対処したらいいのかしら」と私に聞いてきました。
2021/05/06
ボビーと私は十数年来同じ診療所に勤務し、ほぼ同年齢ということもあって仲良くしています。彼女は心理学科の医者で、時々、私達はお互いに自分が治せない患者の治療で助け合ったりしていました。
2021/05/05
私が大学院生だった頃、次のような印象深い出来事がありました。 ある日、講義が始まる数分前、教壇に座っていた先生は少しも気にかけない様子で本をめくっていました。そして腕時計を見て
2021/05/04
心に残る良い本とはまるで良き友のようであり、たがいに学びあい成長することができます。この『医山夜話』をきっかけに、いろいろと考え体験していただければこの上なく嬉しく思います。読者の皆様からのご意見・ご感想なども頂けましたら幸いです。
2021/04/27
20世紀後半の80年代に、私は同じ漢方の処方で二人の患者を治療したことがあります。この二人は、それぞれ眼科と肛門科の病気を患っていました。二つの病例の成功例から、私は漢方医学の奥深さとその一体観の重要性を認識しました。
2021/04/26
人は長年、仕事をしていく上で、様々な過程と段階を経ながら、徐々に経験を積んでいきます。もっとも厄介な時期は、知識と経験が中途半端な、いわゆる「コップ半分」の状態です。
2021/04/25
人は人生の中で、記憶に残る瞬間というものがひとつやふたつあるものです。それは、例え衝撃的な出来事でなくても、何かの拍子に蘇ります。その人にとって、その一時は、とても意味のある出来事なのです。
2021/04/24
「大工の家の腰掛けは3本足、裁縫の家の子供は尻丸出し、医者の家の病人は誰も治さない」という諺があります。
2021/04/23
私が大学院生だった頃、次のような印象深い出来事がありました。
2021/04/22
月の周期的な変化は、地球生命に影響があるといわれています。最も分かりやすい例をあげると、それは女性の月経です。普通、女性の生理周期は28日間で、ちょうど月の「恒星周期(月が地球を中心に一周するのに要する日数)」の27日間と、「朔望周期(月の満ち欠けの一周期)」の29日間の間に介在します。月の周期は人類の出産とも関係があり、産婦の圧倒的多数は満月の後に出産します。
2021/04/21
人体には時間的な規律が存在しています。 これを「人体の生物時計」といい、これの進み具合に合わせて、臓腑機能も変化します。飲食、睡眠、排泄などは普通、それなりの規律があるのです。この「時計」は人体にいつ、何をするべきかを教えるだけでなく、その規律に背く場合、時計は運行休止になる場合もあります。この時計の「鍵」は人間自身の手に委ねられてはおらず、ある神明がこのすべてを制御しています。
2021/04/20
飛行機事故で3人の子供と夫を失ったアンナは、ある有名な心理学の医師から私の診療所を紹介されました。「毎日、飛行機事故が起こった時間帯になると、アンナは必ず病症の発作を起こします。
2021/04/19
西洋医学のアレルギー性鼻炎は、古代の漢方医学では鼻鼽(びきゅう)と呼ばれていました。この病気に罹っている患者は、命に別状ありませんが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が長期に続き、味覚、臭覚まで鈍くなる場合があります。
2021/04/18
私は昼間、診療所で患者を治療した後、家に帰ってから治療の心得を医療カルテに書き込みます。例として挙げたケースの多くは、漢方医が持つ病気治療の効果を読者に伝えるために最も適していました。一方、多くの難病は人間の「業力」と関係しており、遠い前世から積み重ねてきた業力の大きさが病の重さを決めているのです。医者として、その因縁関係を知っていても、はっきりと患者に告げられない場合もあります。
2021/04/17
舌診(舌を診る)は漢方医が患者の病状を診断する時によく使う方法です。全身の病状が明らかでない時でも、舌にはすでにある程度の症状が表れるからです。
2021/04/17