本稿は、ポッドキャスト「Victor Davis Hanson: In His Own Words」の8月17日配信分を、軽微に編集した書き起こしである。
イランで何が起きているのか。より正確に言えば、イラン情勢は今後どうなるのか。われわれは「戦争状態にある、交渉している、戦争状態にある、交渉している、戦争状態にある」という状況を、これまでに6回か7回繰り返してきた。
今年2月28日に始まった、いわゆる戦争の約75%は交渉であり、実際の軍事行動は約25%である。このため、われわれがイランで何をしているのかが、やや見えにくくなっていると思う。
われわれは交渉中も受け身ではない。ドナルド・トランプ大統領とトランプ政権が現在行っていることは、南北戦争の開戦時に北部が取った行動とよく似ている。当時、北部は南部にどう対処すべきか確信を持てずにいた。南部へ侵攻しなければならなかったが、その広さは欧州に匹敵したからである。
そこでウィンフィールド・スコットは、中南米に生息するニシキヘビのようなヘビにちなんで名付けた「アナコンダ計画」を考案した。南部を締め付ける作戦である。
言い換えれば、ミシシッピ川を占領し、西部方面からの交易や商業を遮断する。北部の戦線では、南部と北部の工業都市とのつながりを断つ。さらに、チャールストン、サバンナ、アラバマ州モービル、ニューオーリンズを海上封鎖し、南部が綿花を輸出したり、工業製品、とりわけ武器を輸入したりできないようにするというものだった。
この作戦には非常に長い時間がかかった。当時は、口座を凍結したり、地域全体を経済的、より正確に言えば金融面で孤立させたりできる国際銀行システムが存在しなかったからである。しかし、この作戦は機能した。
ウィリアム・テカムセ・シャーマン将軍が1864年のジョージア州進軍で成功し、ユリシーズ・S・グラント将軍がリッチモンドを陥落させることはできなかったものの、その包囲戦で成功を収めた理由の一つは、南部が北部の兵器庫に匹敵する武器を使い果たしていたことである。
南部には北部ほどの工業力がなく、欧州、特に英国から高度な武器を輸入することもできなかった。
われわれは現在、対話と戦闘を交互に続けながら、意志の戦いを繰り広げている。イランは、自分たちが有利な立場にあると考えている。中間選挙まで80日を切り、戦争は不人気だからである。
イラン側は、今では明言しているように、民主党が権力を握り、戦費を打ち切る可能性があると期待している。あるいは、民主党政権が誕生するまで持ちこたえられると考えている。
しかし、トランプ氏はイラン側にはない切り札を持っている。これはどういう意味か。われわれは今、近代国家に対して行われたものとしては、実に史上最も成功した封鎖、禁輸、資産凍結、制裁、銀行取引の排除を目の当たりにしている。
敵対行為が続いた一部の時期の北朝鮮を例外とすれば、ほかに同様の事例は思い浮かばない。イランは原油を輸出できない。鉄道や海路で物資、工業部品、国外からの補充用兵器を輸入できず、空路による輸入も次第にできなくなっている。世界経済や国際通貨に金融面でアクセスする手段もない。
イラン国内の通貨をドルやユーロに換え、公開市場で物品を購入することもできない。イランを出国して旅行することもできない。バンク・オブ・アメリカやシティバンクに保有する口座を、小切手を振り出せる状態にしておくこともできない。外貨を国内へ持ち込むこともできない。
このため、イランが失っている経済生産による収入は、1日当たり4億ドルから5億ドル、つまり約5億ドルに上ると推計されている。
これは、イランがすでに失った、半世紀をかけて築いた5千億ドル規模の巨大な軍事・産業・核複合体による損失とは別である。
イランは、これまでに例のないアナコンダ計画のような方法で締め付けられている。この神経戦に誰が勝つのかを考えるとき、イラン側は、中間選挙が近づけば、トランプ氏が下院を維持するために圧力を緩めざるを得なくなると考えている。一方、われわれはイランを破産させようとしている。
しかし、実際には中間選挙の結果はそれほど重要ではない。トランプ氏が下院で敗北しても、民主党には米軍への支援を打ち切るだけの票数はない。そもそも、そのようなことはしないだろう。
トランプ氏が中間選挙に勝ったとしても、敗北した場合と同じように自由に行動できる。敗北しても勝利しても、中間選挙が終われば関係はない。
トランプ氏は望むことを何でもできる。しかし、イラン国民の生活基盤や生計を損ないたくないと考えている。
そのため、圧力をかけ続け、イランをほとんど無力な存在にしようとしている。
最後にもう一つ指摘したい。イラン側は、長期的には未来は自分たちのものだと考えている。ホルムズ海峡を支配すると繰り返し豪語しているからである。
しかし、現在も実際に支配しているわけではない。イラン側の意思に反して船舶は出入りしている。イランには物資を輸入する船舶が入っておらず、原油を積んだ船舶も出ていない。それでもイラン側は、嫌がらせや機雷敷設を激しく行うことによって、海峡を全面的に利用できない状態にすることに成功したと考えている。
しかし、そこには問題がある。
イラン軍は今この瞬間にも縮小している。部品がなく、燃料も確保できず、上空を援護する空軍もない。湾岸諸国や米国がイラン国内の施設を破壊しようと思えば、ほぼいつでも実行できる。実際にそうしてきた。その規模は、イラン軍が実質的に海上戦力を持たないほどに達している。
さらに重要なのは、トランプ氏が、ホルムズ海峡を国際管理下に置くか、さらには米国領とする意向を表明したことである。
米国民がそれを望んでいるとは思わない。トランプ氏自身も望んでいないと思う。近いうちにホルムズ海峡が世界経済にとって重要ではなくなるため、トランプ氏はイランを挑発しているのだと思う。
ホルムズ海峡を通過する輸出原油は2千万バレル余りに上るが、そのうちすでに600万~800万バレルが、海峡の外側にあるオマーン湾へ延びるパイプラインや、紅海へ延びるパイプラインを通じて海峡を迂回している。船舶はスエズ運河を通るか、インド洋から紅海へ入り、イランに介入や阻止の手段を与えることなく原油を受け取ることができる。
現在は、オマーン湾と紅海へ通じる双方のパイプラインについて、並行する新たなパイプラインを敷設するか、既存設備を増強するとの話も聞かれる。
それに加え、湾岸産原油、特にサウジアラビア産原油を輸出する地中海沿岸の港が整備される可能性もある。パイプラインはヨルダンを横断してイスラエルへ延び、ハイファまたはその付近の港に至る可能性がある。さらに、トルコに面するシリア沿岸へ延びる可能性もある。
私が言いたいのは、戦争のことは別として、船舶が狭い海峡を通って湾内の奥深くまで入る必要はなくなるということである。位置にもよるが、中東諸国が原油を輸出するためのはるかに理想的な仕組みは、タンカーを狭い海峡から湾内の奥まで航行させるのではなく、地中海、紅海、あるいはオマーン湾の港に接岸させることである。それは今後、現実のものとなる。
したがって、イランは、世界経済全体にとっても、同国の歳入危機という点でも、とりわけ重要ではなくなった海峡の支配者になる可能性がある。
結論として、人々が何を語り、叫び、何に取り乱しているかではなく、現地で実際に何が起きているかを見るべきである。
われわれが関与を続ける一日一日ごとに、イランはますます貧しくなっている。これは、中間選挙やホルムズ湾の重要性を超える事実である。
ヘリテージ財団の出版物「デイリー・シグナル」の許可を得て転載。
本稿で示された見解は筆者個人のものであり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではない。
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