WHOの主任科学者が退任へ 9月末 定年で

2026/08/19
更新: 2026/08/19

世界保健機関(WHO)は18日、2023年から主任科学者を務めてきたジェレミー・ファラー氏(64)が9月末に退任すると明らかにした。定年を迎えるためとしている。

WHOのクリスチャン・リンドマイヤー報道官が同日、スイス・ジュネーブで記者会見し、「そのため9月末に退任する」と述べた。後任については明らかにしなかった。

ファラー氏は会見には出席していなかった。会見では主に、コンゴ民主共和国でなお続いているエボラ出血熱の流行について説明が行われた。ファラー氏からコメントを得ることはできなかった。

ファラー氏はベトナムの病院で約20年間、臨床研究の責任者を務めた後、慈善団体「ウェルカム・トラスト」のトップに就任した。新型コロナウイルスの感染拡大時には、英国政府に助言する専門家グループの一員として活動した。

また、コロナ禍には米国のアンソニー・ファウチ博士ら政府高官とも接触し、複数回の電話会議に参加した。会議には、後に新型コロナウイルスが中国・武漢の研究所から流出した可能性を否定する立場を示した科学者らも参加していた。

米議員らが入手・公開した電子メールによると、ファラー氏は、研究所起源説の可能性を否定した論文の作成にも関与した。ただ、同氏は論文の著者や寄稿者として記載されていない。ファラー氏は電子メールについてコメントしていない。一方、ファウチ氏は7月に開かれた米議会の公聴会で質問への回答を拒否した。

ファラー氏は2023年、WHOのチーフ・サイエンティスト(主任科学者)に就任した。当時、WHOは、感染症、精神衛生、気候変動が健康に及ぼす影響という「3つの緊急課題」に対し、「科学に基づく解決策」を支援する取り組みを率いると説明していた。

昨年、WHOはファラー氏を事務局長補に昇格させた。

WHOではテドロス事務局長の最終任期が来年に終了する予定で、加盟国が後任を選出する。

WHOはコロナの世界的流行への対応を巡り、中国共産党との距離が近く、初期の感染拡大に関する情報を抑え込んだ中共側に同調したとの批判を受けてきた。米国はこうした対応を問題視し、脱退を通告した1年後の今年1月、WHOから脱退するとともに拠出金を停止した。

資金不足に直面したWHOは組織再編に着手し、人員削減も進めている。

ファラー氏は3月、スイス紙「ル・タン」とのインタビューで、2025年について「非常に困難な年だった」と振り返った。「公的機関であれ民間企業であれ、職員の30%を削減すると考えれば、極めて痛ましい」と述べた。

その上で、「多くの組織では通常、10%を1年目、さらに10%を翌年というように段階的に削減する。1年ですべてを実施するのはひどい」と批判。「組織は多くの優秀な人材を失った。人事部門は最善を尽くした」と語っていた。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。