台湾の桃園市で、台湾人を高収入の仕事で誘い、中国へ移送して臓器を摘出しようとしたとされる越境人身売買事件が摘発された。被害者3人は住宅に監禁され、港から中国へ送られる計画だったが、警察が移送前に阻止した。犯罪グループの通信記録からは「台湾人の器官が最も良い」とするやり取りも確認され、事件を巡っては臓器摘出だけでなく、台湾人の身分情報が悪用される可能性についても懸念が出ている。
桃園市の検察・警察当局が摘発したのは、江姓の男を中心とする犯罪グループだ。グループは高収入の仕事を持ちかけて3人を誘い出し、桃園市中壢区の住宅に集めて監禁、監視していた。その後、被害者を港へ運び、中国へ移送して臓器を摘出する計画だったとされる。
警察が途中で阻止し、被害者は中国へ移送されずに済んだ。事件に関与したとされる容疑者7人について、懲役7年が求刑された。
1人900万元 「台湾人の器官が最も良い」
容疑者のスマートフォンに残されたグループ内のやり取りでは、1人を中国側の買い手に引き渡すことに成功すれば、900万台湾ドル(約4335万円)を受け取れるとの内容が確認された。
グループ内ではさらに、「台湾人の器官が最も良い」とする発言があり、米国人の臓器についても言及されていたという。
台湾人工知能実験室の創設者、杜奕瑾氏は交流サイト(SNS)への投稿で、人を中国へ送り「臓器を取り出す」行為に対し、懲役7年の求刑では軽すぎるとの考えを示した。
一方、杜氏は、問題は臓器そのものだけではないと指摘した。詐欺グループ側の情報として、杜氏は、犯罪組織にとって台湾人は、臓器だけでなく、個人情報や健康保険、パスポートなど台湾人としての身分そのものを悪用できるため、価値が高いと指摘した。
身分証悪用に「システム上の穴」指摘
杜氏は、今回のような越境犯罪は単なる治安問題にとどまらず、台湾の身分証明制度にシステム上の弱点が存在する可能性を示していると指摘した。
その上で、証明書の再発行、生体情報が一致しないケース、血液型や身長が不自然に変化しているケースなどを全面的に調査すべきだとの考えを示した。
杜氏は台湾人の身分について、選挙への介入に利用できるほか、健康保険を利用でき、台湾のパスポートで世界100か国以上へ査証なしで渡航できることから価値が高いとの見方を示した。
嘉義市議の王浩氏も、個人情報や身分を識別する情報は極めて重要であり、大量に流出すれば国家安全保障上の問題につながるとして、厳重な防止策が必要だと指摘した。
王氏はまた、中共による臓器の強制摘出を巡る問題にも言及し、今回の事件について「非常に危機的で、軽視できない状況に至っている」と述べた。
「単純な詐欺ではない」背後関係の捜査求める声
嘉義市議の林煒軒氏は、今回の事件について「単純な詐欺事件ではなく、背後に集団があり、組織的かつ目的を持って動かしている」と指摘。その上で、背後の指示役や資金の流れを明らかにし、中共が関与しているのかを調べる必要があるとの考えを示した。
「中共が人権を侵害するのは今回が初めてではない」
記事によると、中共については2006年以降、法輪功学習者や良心の囚人から臓器を強制摘出しているとの告発が出ている。台湾の大陸委員会は、今回の事件について、犯罪組織と供給網の実態をさらに確認する方針を示している。
台湾立法院では現在、「臓器の強制摘出の取り締まり・防止条例」が審議されており、国境を越えた違法な臓器移植への対応が十分でない現行法を補強することが検討されている。
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