【分析】中国共産党軍の粛清続く 台湾包囲演習で衝突リスク高まる

2026/09/04
更新: 2026/09/04

中国共産党(中共)は軍上層部の粛清を続ける一方、台湾を包囲する海空軍の活動を拡大し、封鎖演習も行っている。当初7人だった中共中央軍事委員会のメンバーは、習近平と張升民の2人だけになったと報じられている。中国本土の研究者は、中共軍の指揮系統が動揺する中で台湾への軍事的圧力も並行して強まっており、台湾海峡で誤算や衝突が生じるリスクが高まっていると指摘した。

台湾国防部の報告によると、中共軍はほぼ毎日、台湾周辺で軍事活動を行っており、その行動はより攻撃的で予測困難になっている。中共軍は、無人機群、長距離攻撃、弾薬消費、海上封鎖、同盟国間の連携などの問題を研究している。また、衝突の初期段階で台湾を孤立させ、外部からの補給を遮断し、台湾の防衛システムを弱体化させることも試みている。

中共軍に近い消息筋は、中共の国防科学技術・工業部門が、戦時に台湾周辺海域の機雷を除去するための機械システムを開発していると述べた。

「今年の予算配分では、水中機雷除去装置の研究開発にも重点が置かれている。現在、多くの国が研究しており、日本も研究しているようだ。この技術では米国が最も進んでいる。中共の技術がどこから来たのかは、私が言わなくても分かるだろう」

軍内の粛清が指揮系統に影響

軍事研究者の陳超氏(仮名)は、中共が最近も軍内部の粛清を続けており、その規模はすでに通常の範囲を超えていると指摘した。習近平が軍上層部の忠誠度に、依然として不安を抱いていることを示しているという。ただし、台湾に対する軍事的圧力が低下することを意味するものではないとした。

「中央軍事委員会では、これほど多くの人が問題となった。第20回党大会以降、軍出身の中央委員はすでにほとんど残っていない。戦争の可能性は高くないが、嫌がらせは止まらない。偶発的な衝突によって戦闘が拡大する可能性がないわけではない」

陳氏はまた、自身の把握しているところでは、張又俠がかつて台湾作戦を想定した模擬訓練の責任者に任命されていたが、現在は代わりとなる人物を見つけることが難しく、中共の対台湾戦術が直面する難題の一つになっていると述べた。

「中央軍事委員会には2人しか残っていない。ロケット軍と装備部門の上層部も1桁しかおらず、われわれが把握できる範囲では、海軍と空軍の指揮系統にも将官はほとんど残っていない。現在の台湾への圧力は軍事的威嚇に集中している。威嚇を放棄すれば、より良い方法を打ち出すことがまったくできない」

2025年10月、中共中央軍事委員会の何衛東副主席ら高級将官9人が、党籍と軍籍を剝奪された。今年1月には、張又俠・中央軍事委員会副主席と劉振立・中央軍事委員会連合参謀部参謀長に対する立件調査が、公式に発表された。

ロイター通信によると、中共軍では近年、最高指揮官のほぼ全員が交代させられた。台湾海峡での作戦を担当する東部戦区の林向陽司令官も、粛清されたと伝えられている。

陳氏はさらに、中共の第21回党大会を前に、各軍種と兵科が異例の権力空白期に入っており、大規模な軍事行動の計画と配置を統括できる将官が不足しているとの見方を示した。

「鄧小平以降、軍の上層部から末端まで、指揮系統が初めて名ばかりで実体を失った状態となっている」

中国共産党軍と海警局、グレーゾーンでの圧力を拡大

台湾の蔡明彦・国家安全局長は7月、中共軍による演習が毎年7~9月に頻繁に行われると述べた。台湾側の監視では、中共海軍などの海上戦力の活動が増加傾向にあり、当時は中共海軍の4個編隊が西太平洋で活動していた。

台湾は6月、中国海警局の船舶と調査船が台湾周辺で活動した事例を55回確認した。5月から83%増加し、2025年の同じ時期と比べて120%増加した。この統計には、金門島や馬祖列島など、台湾が実効支配する島々の周辺にいた船舶は含まれていない。

中国本土の軍事研究者、余楽群氏(仮名)は、中共が軍事演習、戦備警戒パトロール、海警局による法執行を組み合わせ、台湾に対する行動を平時と戦時の間に位置づけていると述べた。これは長期的な傾向に基づく配置であり、中共が直ちに軍事行動を取ることを意味せず、台湾への武力行使に向けた事前配置とみなすこともできないとの見方を示した。

「中国共産党が台湾への武力行使に踏み切るには、まず戦争動員を行い、後方支援を配置する必要がある。さらに、強力な攻撃兵器と、強固で有効な指揮系統が必要となる。10月1日に施行される、いわゆる『国防動員法』は、金を吸い上げるための法律だ。政権の強硬さを示しているが、私はすでに勢いを使い果たした状態だと考えている」

軍事研究者「台湾は警戒維持を」

台湾国防部の報告は、中国共産党が現時点で、全面的な水陸両用上陸作戦を開始するために必要な能力を全て備えているわけではないと指摘した。一方、中共政府は、海上隔離、共同封鎖、ミサイル攻撃、サイバー攻撃、認知戦などの手段を選択し、台湾に圧力をかけることができるとしている。

取材を受けた研究者によると、全面上陸と比べ、封鎖を段階的に実施する場合に必要な兵力は少なく、軍事演習や法執行を隠れみのにすることも容易である。台湾が反応しなければ、中共は支配範囲を引き続き拡大できる。台湾が軍事的に対応すれば、中共政府は台湾が衝突を引き起こしたと非難する可能性がある。

台湾の頼清徳総統は9月2日、台湾の2027年度国防予算が初めて1兆台湾ドルを超えると述べ、無人システム、人工知能(AI)、台湾の防衛産業を発展させる方針を示した。

余氏は、中共が台湾を包囲する活動を拡大し続けていることで、台湾の早期警戒に使える時間が短くなっていると警告した。軍内部で政治的忠誠が専門的判断よりも優先される場合、中共が実施する、いわゆる戦備警戒パトロール、海上での阻止行動、実弾演習は、透明性のある意思疎通を欠いたまま衝突へ発展する可能性があるとして、台湾は警戒を維持すべきだと述べた。

施又良