中国外交部は12日の記者会見において、台湾の頼清徳政権に対し、極めて強硬な姿勢を示した。 台湾の頼清徳総統がAFPのインタビューに答え、「台湾が一度『併呑』されれば、次に脅威にさらされるのは日本やフィリピンなどのインド太平洋諸国だ」と述べたことに対し、中国外交部の林剣報道官は激しく反発した。報道官は頼氏を「平和の破壊者」「危機の製造者」そして「戦争の扇動者」と断定し、「台湾独立」こそが台湾海峡の平和と安定における「禍根」であり「混乱の源」であると主張した。
また、報道官は「台湾が中国領土の一部であるという歴史的・法的事実は変えられない」と強調し、国際社会が堅持する「一つの中国」原則の枠組みは揺るがないと述べた。その上で、「外部勢力に頼って独立を図る(倚外謀独)」ことや「武力をもって統一を拒否する(以武拒統)」試みは「失敗する運命にある」と警告し、外部との連携を強く牽制した。
分析レポートによる戦略的影響とリスクの指摘
日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長は、同会見の内容を分析した戦略解析レポートで、中国共産党(中共)政権の一連の発言が「法律戦」の一環であり、日本の安全保障に致命的なリスクをもたらすと指摘している。
台湾有事の「内政化」と軍事行動の正当化
レポートによれば、中共が頼清徳氏を「戦争煽動者」とレッテル貼りした意図は、中共による台湾への軍事行動を「侵略」ではなく、分離主義者に対する処罰や秩序回復のための「内政」活動として法的に正当化することにある。これにより、中共は自らの武力行使を「平和維持」のための措置であると国際社会に主張する法的基盤を固めている。
日本が攻撃対象となる法的ロジックの構築
中共が台湾問題を純粋な「内政」と定義することで、有事の際に介入しようとする日本や米国の行動は、中共の主権に対する違法な「外部干渉」や「戦争煽動への加担」とみなされることになる。 レポートは、この論理により、沖縄の米軍基地や自衛隊の活動が「外部干渉の拠点」として位置づけられ、中国軍による攻撃の「正当な標的」とされるリスクが最大化すると分析している。
「内政」ナラティブの拡大適用
さらに、中共はこの「内政」の論理を拡大し、沖縄周辺の海域・空域における中共軍の活動を正当化する恐れがある。レポートは、中共が沖縄周辺での軍事・準軍事活動に対する日本の抗議さえも「内政干渉」として退け、日本の主権行使を無効化しようとする「法律戦」のリスクについても警鐘を鳴らしている。
日本が展開すべき対抗戦略:カウンターナラティブの構築
中共が展開する「法律戦」「心理戦」に対抗するため、レポートは日本政府に対し、独自の戦略的ナラティブ(語り口)を構築し、国際社会に向けて積極的に発信すべきであると提言している。
「平和の定義」の奪還
中共が頼氏を「戦争煽動者」と呼び、自らを「平和維持者」と装う心理戦に対し、日本は「平和の定義」を奪還する必要がある。具体的には、「台湾海峡の現状変更を試みる行為こそが地域の平和を破壊する最大の脅威である」と主張し、中共による「統一」の強行は民主主義の破壊と地域の不安定化を意味すると国際社会に訴えるべきである。
沖縄を「戦略的防波堤」と位置づける長期的ナラティブ
さらに長期的な戦略として、レポートは沖縄の防衛を日本の内政問題に留めず、国際的な共通利益として再定義することを提案している。
「沖縄は自由と民主主義の最前線であり、その主権維持はインド太平洋全体の安定に不可欠な『戦略的防波堤』である」というカウンターナラティブを展開することで、中共の「内政干渉」論を無力化し、国際社会の関与と支援を引き出す狙いがある。
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