ベルギー政府は最近、中国企業傘下の企業による同国のヘリコプター運航会社「NHV」の買収計画を阻止した。中国資本による重要インフラ関連企業への影響力拡大に対し、欧州各国が警戒を強める中、投資審査制度が機能したかたちだ。
民間および準公共分野のヘリコプター・回転翼機産業を扱う国際専門メディア「RotorHub International」は今月5日、NHVが同日、アイルランドの「GDヘリコプター・ファイナンス(GDHF)」への売却計画について、ベルギー連邦投資審査委員会(ISC)の介入により中止されたと発表したと報じた。
NHVはベルギー西部オーステンデに本社を置き、企業向け(B2B)のヘリコプター運航サービスを展開。従業員は450人を超え、海上施設支援や航空サービスなどを手掛ける同国有数のヘリ事業者である。
買収を計画していたGDヘリコプター・ファイナンスは、アイルランドの首都ダブリンを拠点とするヘリコプターのリース・金融サービス企業で、中国企業の捷徳集団(GDATグループ)の傘下にある。
両社は昨年12月に買収契約を締結し、規制当局の承認など必要条件を満たした上で、今年第1四半期の取引完了を予定していた。しかし、ベルギー連邦投資審査委員会が審査の結果、買収を認めない判断を下したことで、計画は白紙となった。
ベルギー連邦投資審査委員会は、エネルギーなど国家の基幹分野に関わる企業に対する非EU域外からの投資を審査する機関である。外国企業による投資が対象企業の支配権取得につながる場合、安全保障や戦略的利益への影響を精査する役割を担う。
今回の案件では、買収主体であるGDヘリコプター・ファイナンスの背後に捷徳集団が存在することから、当局の警戒を招いたとみられる。
NHVの売却方針を巡っては、ベルギー国内でも懸念の声が広がっていた。特にフラマン語圏のメディアは、NHVが同地域における重要な航空インフラの一角を担う企業であるとして、買収の行方を注視していた。
一部報道では、NHVは国家航空会社に匹敵する存在と位置付けられ、2018年にベルギーのVLM航空が経営破綻して以降、フランデレン地域における事実上の代表的航空事業者としての役割を果たしてきたとされる。
今後の焦点は、NHVが新たな買収候補を探すのか、またEU域外の投資家の中から、同社の取得に意欲を示し、なおかつベルギー当局の承認を得られる企業が現れるかに移る。
NHVは、買収計画の中止後も事業運営に影響はなく、通常通り業務を継続していると強調した。
同社のラース・ヘンリク・トールグレン最高経営責任者(CEO)は、規制当局の判断を受けて声明を発表し、「NHVは引き続き強固で独立した企業であり、戦略、運営方針、顧客やパートナーへの約束に変更はない。今後も安全で信頼性の高いヘリコプターサービスの提供に注力していく」と表明した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。