中国共産党(中共)が実施した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)試射は巨浪3ではなく巨浪2改良型との見方が浮上。第二列島線突破を想定した対米けん制と西太平洋での軍事的意図、中露連携の影響を関係者証言から読み解く。
中国共産党は最近、海上から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射を実施した。同時に、山東省青島において中露合同軍事演習「海上連合2026」を開始している。
軍関係者に近い筋によれば、今回発射されたのは巨浪2の改良型であり、外部で指摘されている巨浪3ではないという。今回の試射は第二列島線の突破を想定した訓練であり、西太平洋地域に対する軍事的威嚇の意図があるとみられる。
ミサイル試射 関係者は巨浪2改良型と指摘
事情に詳しい黄安陽(仮名)は取材に対し、中国共産党が最近海上で発射したのは巨浪2改良型のSLBMであり、一般に推測されている巨浪2標準型や巨浪3ではないと述べた。
黄氏は「中共側は米国に対し、中共海軍がすでに遠洋打撃能力を第二列島線の外側まで拡大していると印象付けたいのだ。実際には、まだその段階には達していない。巨浪2改良型は完成から配備まで約10年と比較的新しく、近年、外部からの中共海軍に対する評価が低下していることもあり、自らのSLBM戦力が第二列島線を越え得ることを示したい意図がある。周辺国のみならず、米国にも同様のシグナルを送っている」と指摘した。
公開情報では、今回の試射に用いられたミサイルの型式は確認されていない。海外メディアでは巨浪3とする見方と巨浪2とする見方が分かれている。ロイターは7月8日、米国務省関係者の話として、巨浪3である可能性に言及した。一方、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、巨浪2であれば最大射程に近い試験であり、巨浪3であれば射程は1万キロを超える可能性があると分析している。
黄氏は、中共当局はミサイルの具体的型式を公表していないとした上で、自身の情報では今回の試射は巨浪2改良型であり、巨浪3ではないと断言した。また、中共側は現段階で巨浪3の公開試射を行う段階には至っておらず、もし新世代SLBMを早期に公開すれば、米国および同盟国の強い反応を招くことを懸念していると述べた。
094型原潜とSLBM戦力の現実
巨浪2は中共の第二世代SLBMであり、通常は094型戦略原子力潜水艦に搭載される。基本型の射程は約7000キロとされ、中国近海から発射した場合、米本土への抑止力は限定的である。また、同潜水艦は第一列島線内の対潜網の制約を受けやすい。
軍事愛好家の趙翼氏は取材に対し、巨浪2基本型は射程が限られているため、094型潜水艦が中国近海または南シナ海にとどまる場合、米本土の奥深くをカバーするのは困難だと指摘した。一方で、グアムやハワイの一部、アラスカの一部地域には脅威となり得るという。
趙氏は「米東海岸や本土深部を攻撃するには、094潜水艦は第一・第二列島線を突破し、中部太平洋へ進出する必要がある。巨浪2改良型の射程が8000~9000キロに達すれば、第二列島線外側から米西海岸に圧力をかけることが可能となる。さらに東海岸を射程に収めるには巨浪3が必要であり、射程は少なくとも1万キロ以上が求められる」と述べた。
また「今回発射されたのは巨浪2改良型である可能性が高い。基本型は2005年から2012年にかけて複数回の発射試験に成功し、2015年には実戦配備された。一方、改良型については少なくとも2回の試射失敗があったと聞いている」と語った。
軍事評論家の朱家耀(仮名)は「現時点で094型潜水艦が巨浪3を安定的に運用できるかについては見解が分かれている。仮に094A型が改良を完了していれば技術的には可能性はあるが、公開情報では今回の試射が巨浪3であるとの確認はない」と指摘した。
専門家が指摘する中国の戦略的誤算
近年、ロシア艦艇は日本周辺や台湾東方海域に頻繁に出現している。これに加え、中共の軍用機や艦艇、海警船も台湾海峡、東シナ海、南シナ海、西太平洋で活動を活発化させている。台湾当局は、中共によるグレーゾーン行動が現状変更を進め、日本やフィリピンの安全保障にも影響を及ぼしていると指摘している。
朱氏は、中共軍の一連の海上活動は、米国および西側に遠洋作戦能力を誇示する意図があり、ロシアとの連携を通じて対抗構図を演出していると分析する。
しかし同氏は「ロシアはウクライナ戦争で余力が乏しく、中共がロシアと連携を強めるのは相手を見誤っている。国内状況が厳しいほど、対外的に軍事能力を誇示しようとする傾向がある。米国、日本、フィリピンに対し、経済問題を抱えつつも西太平洋で緊張を高める能力があると示したいのだ」と述べた。
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