「真相を明らかにしろ」
大型商業施設の前には大勢の市民が集まり、花束を手に追悼を続けた。しかし当局は大勢の警察を投入し、献花を没収、抗議者を連行した。一人の経営者の死は、思いもよらぬ形で街を揺るがす事件となった。
西安の大型商業施設「賽格国際ショッピングセンター」で、スポーツ用品代理店を経営する厳鵬氏が飛び降り自殺した。厳氏は約400店舗、従業員約1千人、年間売上約8億5千万元(約170億円)の企業を率いる地元有数の経営者だった。
遺族によると、厳氏は約1千万元(約2億円)の高額な罰金を科されたうえ、契約更新を拒否され、店舗の退去も求められた。経営は急速に悪化し、財産を売却し、貯蓄も使い果たしたが借金は返せず、重いうつ状態になっていたという。
公開された遺書には、「私は4年間苦しみ続けてきた。一度も規則違反をしたことも、やましいことをしたこともない。当時は西安の商業施設の誰もが同じ販売方法をしていたのに、処分されたのは私だけだった」と記していた。さらに、「理不尽な高額処分で人生を追い詰められ、財産をすべて売り払い、貯金も使い果たしても借金は返せなかった。訴訟を抱え、資産を差し押さえられ、高額消費も制限され、毎日のように借金の取り立てに追われた。従業員にも家族にも申し訳ない。もう限界だった」と、4年間にわたる苦しみを綴っている。

事件後、ネット上では、この事件の背景を知るとする関係者や事情通から情報が相次いだ。「当時は他の店舗も同じ販売方法だったのに、処分されたのは厳氏だけだった」「これは商業トラブルではなく、一人の経営者を追い詰めるための罠だった」「賽格では以前にも同様の飛び降り事件が起きており、今回で4人目だ」といった投稿が拡散した。ただし、これらの内容は独立した形では確認されていない。
現場には「真相を明らかにしろ」と多くの市民が集まり、一部では中国国歌を歌って抗議する人も現れた。当局は大勢の警察や機動隊のような警備部隊を配置し、抗議参加者を連行。
翌日には歩道橋や地下鉄の出入口にも警察を置き、献花に訪れた市民を取り囲んで花束を没収した。配送業者にも注文画面の提示を求めるなど厳戒態勢を敷いたが、それでも人々は商業施設周辺に花を供え続けた。
さらに当局は事件に関するネット投稿を相次いで削除し、「デマを流した」として3人を行政処分した。
警察が献花まで止めても、追悼に訪れる市民は後を絶たなかった。多くの人がこの事件を、単なる一人の自殺ではなく、理不尽に追い詰められても声を上げにくい中国社会の現実として受け止めたからだ。

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