中国で、銀行の中に「結婚窓口」が登場した。銀行員が結婚証を出すわけではない。役所が銀行内に窓口を設け、そこで正式な結婚手続きができるというものだ。
なぜ、銀行に結婚窓口なのか。
結婚する若者が減るなか、中国では「もっと身近な場所で、手軽に結婚手続きを」と窓口を広げている。銀行への設置も、結婚のハードルを少しでも下げようという取り組みの一つだ。
中国民政部によると、2026年上半期に結婚したのは327万5000組。前年同期より26万4000組、7.5%減った。一方、離婚は約5万組増えた。2013年に年間1346万組を超えていた結婚件数は、今では半分の水準である。
少子化に危機感を強める中国では、各地が結婚を後押ししている。新婚夫婦に現金や商品券を配り、結婚休暇を増やし、観光地でも手続きできるようにする。そして天津市では8月、国有大手の中国郵政貯蓄銀行の支店内にまで、結婚窓口が設けられた。
ネットでは「結婚前に相手の口座残高を確認するの?」「結納金をそのまま預金できるね」と皮肉も飛び出した。
若者が結婚から遠ざかる背景には、住宅費や子育て費用、仕事や収入への不安だけでなく、先の見えない将来への不安や、結婚・出産を当然とする生き方への価値観の変化など、さまざまな理由がある。
つまり、若者がためらっているのは、結婚の「手続き」ではなく、その先の「暮らし」だ。 結婚届を出せる場所を増やしても、将来への不安まで軽くなるわけではない。
そう考えると、銀行にまで広がった結婚窓口は、どこか象徴的でもある。結婚してほしい政府と、結婚後の未来に踏み切れない若者。その距離は、窓口を近くするだけでは埋まりそうにない。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。