「民族団結進歩促進法」7月施行 中国の越境弾圧に新たな法的根拠か

2026/06/24
更新: 2026/06/24

中国で今年3月に可決された、いわゆる「民族団結進歩促進法」が、7月1日に施行される。なかでも物議を醸しているのが、第63条の「域外適用条項」だ。政界関係者からは、この法律が中国共産党(中共)の新たな手段となり、政治的な監視や国境を超えた弾圧をさらに世界へ広げる恐れがあるとの警告が出ている。

中共の習近平党首は今年3月、全国人民代表大会で、「民族団結進歩促進法」に署名し、同法を成立させた。法律は全65条からなり、教育、言語、宗教など幅広い分野を対象としている。さらに香港、マカオ、台湾、海外華人までも、いわゆる「中華民族共同体」の枠組みに組み込まれている。

専門家からは、同法は表向き「民族団結」を掲げているものの、実際には少数民族に対するこれまでの高圧的な統治を制度化し、政治的統制の範囲をさらに広げるものだとの見方が出ている。

中国の人権派弁護士、游飛宇氏は「これまでは、越境逮捕や国境を越えた脅迫、圧力などについて、多くの場合、理論的な根拠が欠けていた。だが今、中共は、この法律を世界中で執行できると考えている。少なくとも理論上は、『自分たちには法的根拠がある』と言えるようになったと考えているのだ」と述べた。

かつて北京大学で教鞭をとった袁紅氷氏は同法について、中共の基本的な特徴である「良い言葉は言い尽くし、悪いことはやり尽くす」という本質を示した「専制的な悪法」であると断じた。同法が表向きには「民族団結」と名付けられているものの、その実態は各少数民族に対して文化的ジェノサイドを実行するための、最新の法的・政治的意志の表れにほかならないと批判している。

人権派弁護士の呉紹平氏も「一部の学者にとっては、中国の民主化問題を研究しただけでも、この法律に抵触したとして、中共による越境弾圧を受ける可能性がある」と語った。

分析によると、この法律は「香港国家安全法」と似た構造を持つ。いずれも「分裂」や「転覆」といった定義のあいまいな罪名を用い、国外にも適用できる仕組みを設けている。違いは、「香港国家安全法」が主に香港を対象としているのに対し、「民族団結法」は、中共の統制をさらに世界規模に広げる可能性がある点だ。

游氏は「中共は、世界中を自分たちの管理下に置きたいのだ。極端に言えば、地球全体を管理しようとしている」と批判した。

実際、中共が海外で影響力を行使する動きは、すでに新しいものではない。国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」はこれまでに、中国の地方公安当局が世界53か国に少なくとも102か所の海外警察拠点を設置していると明らかにしている。

游氏はさらに、「最近の『国家安全法』『反スパイ法』『香港国家安全法』『データ安全法』、そして今回の『民族団結進歩促進法』を見ると、この法律は、これまでの一連の法律を総括するような位置づけにある。いずれも一貫した流れの中にあり、中国共産党の強い不安感と、安全保障上の焦りを反映している」と指摘している。