中国では農業の現場でドローンの利用が急速に広がる中、思わぬ事故が起きた。
湖南省永州市祁陽市で、農薬を散布していたドローンのプロペラが通行中のバイクの乗員の頭に当たり、その後死亡する事故が発生した。中国の裁判記録で明らかになった。
判決によると、操作していたのは資格を持つドローン操縦者で、2025年6月、地元農家の依頼を受けて水田で農薬散布を行っていた。
しかし作業前、本来必要とされる安全対策は取られていなかった。立ち入り禁止の範囲は設けられず、安全確保の担当者も配置していなかった。周囲の確認も、農家に任せるだけだったという。
作業開始から約1時間後、操縦者は周囲の状況を十分に確認しないまま、農道にドローンを着陸させようとした。そのタイミングで通りかかったバイクの乗員の頭に、高速回転するプロペラが直撃した。
被害者は当時ヘルメットを着用しておらず、頭に大けがを負い、病院に運ばれたが数日後に死亡した。
操縦者は翌日、自ら警察に出頭。その後、遺族に対して63万元(約1300万円前後)を支払い、和解が成立した。
裁判所は、安全確認を怠った過失は重大だと認定し、過失致死罪で懲役1年6か月、執行猶予2年の判決を言い渡していた。
中国では農薬散布ドローンの普及が進む一方で、トラブルも各地で起きている。農薬が広範囲に飛び散り、牛が死んだとみられる事例や、周辺の畑に薬剤がかかって作物が枯れるといった被害が報告されている。
さらに、散布された農薬の影響で、受粉に必要なミツバチが死に、収穫量が落ちたとする声も出ている。散布ルートを外れたドローンが別の農地に薬剤をまいてしまうケースも指摘している。操縦者が分からないまま被害だけが残る例もあり、不安が広がっている。
便利さの裏で、安全管理が追いついていない現状が浮き彫りになっている。

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