イラン新指導者 ホルムズ海峡を「交渉のテコ」に 米はタンカー護衛検討

2026/03/13
更新: 2026/03/13

イランの新たな最高指導者に就任したモジュタバ・ハメネイ氏は、就任後初となる声明を発表し、世界の原油供給の約5分の1が通過する要衝ホルムズ海峡の封鎖を、対外圧力の交渉材料として利用し続ける姿勢を示した。イランの国営通信社イスラム共和国通信(IRNA)が報じた。一方、米国はエネルギー輸送の安全確保に向け、有志連合による船舶護衛構想を明らかにしたものの、イランへの軍事作戦が続く中で直ちに護衛を安全に実施するための軍事的条件が整っていないという課題を抱えている。

モジュタバ・ハメネイ氏は、2月28日の米国とイスラエルによる空爆で死亡した父アリ・ハメネイ師の後継として最高指導者に就任した。初の書面声明では「殉教者の血の報復を控えることはない」と述べ、長期的な報復を続ける構えを示した。さらに、国際海運への圧力を維持する戦略として、ホルムズ海峡封鎖の可能性を強調し、「ホルムズ海峡を閉鎖するというレバレッジは今後も使用されなければならない」と主張した。

これに対し米国は、エネルギー輸送の安全確保に向けた対抗策を検討している。ロイター通信によると、ベッセント米財務長官は、軍事的準備が整い次第、米海軍が国際有志連合と協力しホルムズ海峡を航行する船舶の護衛を行う方針を明らかにした。ライト米エネルギー長官も12日、供給不足による価格高騰を防ぐ観点から、軍によるタンカー護衛の試みが「比較的近いうちに実現する」との見通しを示した。

現在もホルムズ海峡ではイランや中国などのタンカーが航行を続けている。ベッセント長官は、海峡に機雷が敷設されていないことは確認できていると説明し、航行自体は維持されているとの認識を示した。

ただし、護衛構想の実現にはなお時間を要する見通しだ。ライト長官自身も、護衛任務の実施について「今すぐには実現できない」と述べており、米国は現在進行中の対イラン軍事作戦において、護衛任務を安全に遂行するための軍事的条件をまだ満たせていない。

ベッセント長官は護衛計画の前提条件として、米軍がイラン上空の制空権を完全に掌握することと、イランのミサイル再建能力を完全に無力化することの二点を挙げた。これらの脅威が排除されない限り、民間船舶の護衛に海軍艦艇などの戦力を安全に投入することは難しいとの認識を示している。

米国はイランとの軍事作戦を進めながら、適切なタイミングで有志連合による海峡安定化措置を実施する構えであり、エネルギー輸送の安全確保と軍事作戦の両立という難しい舵取りを迫られている。