中国共産党の重要会議「四中全会(しちゅうぜんかい)」を前に、各地で異議者や人権活動家への監視が強まっている。
こうした動きは党の大会や記念日など「敏感な時期」には毎回のように行われる恒例措置だが、今年は「旅費がない」として「強制旅行」をやめ、自宅での監視に切り替えられた。財政難が治安維持の現場にまで及んでいる。
なお、四中全会とは、共産党の最高指導部が年に一度ほど集まり、経済や社会の方針を決める重要会議である。今回は10月20日に北京で開かれる予定で、景気悪化や失業対策などが主な議題とみられている。
会議を前に、北京では独立系ジャーナリストの高瑜(こうゆ)氏や人権派弁護士の浦志強(ほしきょう)氏らが自宅前で公安に見張られ、外出を禁じられている。四川や貴州でも陳情者や、政府の姿勢を批判してきた独立系学者が軟禁状態に置かれ、「経費がないから家にいろ」と通告されたという。
例年、中国当局は「維穏(いおん)」と呼ばれる治安維持活動を行ってきた。「維穏」とは、表向きは「社会の安定を保つ」ための対策だが、実際には反政府的な動きや抗議を抑えることを意味する。重要会議の前には、地方の陳情者を北京に近づけないよう隔離し、北京在住の異議者には外出や発言を禁じるのが恒例だった。
しかし今年は、多くの公安関係者が「もう旅費が出ない」と漏らしており、保安員の数も減っている。財政難による「維穏」経費の枯渇が、体制維持の限界と当局の統制力の弱まりを浮き彫りにしている。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。