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激変する中国 軍事パレード前の統制と経済低迷が映す中国

沈黙する街と増えるハンドル 北京タクシー運転手に「政治トーク禁止令」

2025/08/16
更新: 2025/08/16

中国共産党が9月3日に北京で行う軍事パレードを前に、北京市内のタクシー会社が運転手に対し、乗客との政治的な会話を一切禁じる「トーク禁止令」を出していたことが明らかになった。

国家指導者や国際情勢への言及は称賛も含めて禁止され、会話は行き先や天候などに限定されている。

こうした規制は天津など北京周辺の都市にも広がり、運転手には「不審乗客の通報義務」まで課され、かつては政治や世相を語り合った車内も、いまでは監視カメラと録音装置に囲まれた沈黙の空間へと変わった。

一方、中国経済の悪化と失業率の高止まりは都市部の労働市場を大きく変え、配車アプリ運転手はこの4年間で約1.6倍に増加し、2024年10月には748万人に達している。しかし、1日あたりの平均受注数は57%減の10件まで落ち込み、収入は減少傾向だ。元経営者や高学歴の元会社員までもが生活維持のためハンドルを握り、需要の飽和は深刻さを増している。

軍事パレードを控えた北京では、橋や電柱に監視員が臨時配置され、地方からの陳情者は一斉に排除。街頭の検問やネット検閲も強化され、息苦しい空気が広がっている。

沈黙を強いられる運転席と、職を求めて増え続けるハンドル。街を覆うのは静けさと競争の圧力だ。中国はいま、息苦しい。 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!